浴衣を着て外出前に鏡を覗いてみたら、なんと脇の下の下着が丸見え状態。
どうしたものかとクラクラしますね。
今回は、そもそもどうして女性の着物や浴衣の脇の下があいているのか、オススメのインナーや、上手な着付けや対処方法をご紹介します。できれば着付けの段階から気をつけたいものですが、応急処置法もあるので、覚えておくと便利です。
浴衣の脇の下が開く理由は?
着物を着慣れないと、脇の下が見えるという事実に気がついた際に驚愕するものですが、浴衣も含めて着物というのは脇の下が開いているものなのです。
この開いている部分は「身八つ口(みやつぐち)」と言います。女性と子どもの着物だけにあり、男性用の着物にはありません。
女性用の着物では開いているものとはいえ、着物の下に着ているブラジャーやインナーが見えて良いということではありませんし、人体の急所の一つですから油断すべきところでもありません。
身八つ口が開いている理由には諸説ありますが、動きやすさや機能的理由な理由であると考えられています。
- 風通しを良くして着物にこもった熱を逃がして体温調節する
- 脇から手を入れて襟のズレを直す
男性の着物はない理由は、女性のとの着こなし方の違いがあるためと言われています。
- 襟合わせが深くて前が大きく開いているため着物に熱がこもりにくい
- 帯の幅が狭いので熱がこもりにくい
- きっちり胸の下で帯を締める女性と違い、男性は腰の位置でゆったりと着付けする
いずれにしても、開いているものは開いているのですから、恥ずかしくないように対処する必要があります。
脇の下が丸見えにならないために 〜 着付けが肝心!
着付けの際に、身八つ口を畳こむように処理しておくと、脇の下がぽか〜んと開かずにすみます。正面から見ても帯周りがスッキリします。
着付けでは1つ1つの過程で丁寧にシワを伸ばすことが大切
浴衣インナー、浴衣の順に着付けしていく際に、それぞれの紐(腰紐、胸紐)を締める度に、上下左右のシワは両脇にきれいに伸ばします。この時、背中心がズレないように注意しましょう。
身八つ口も同様です。
簡単な流れ
- 後ろ身頃のシワや余る部分を左右に伸ばし、体の側面に沿って前側に寄せます
- 前見頃のシワや余る部分を左右に伸ばし、体の側面に沿って背中側に寄せるようにし、先ほどの後ろ見頃の上に被せるようにします
- 衣紋をしっかり抜き(指3本〜こぶし1つ分程度)、襟を再度整え、胸紐を締めます
- 胸紐を締めてから、もう一度前後左右のシワを伸ばし、後ろ見頃の余りは体の側面に沿って前に、後ろ見頃の余りは体の側面に沿って後ろに寄せます
※ 後ろ見頃が先、前見頃の余りは後ろ見頃の上に被せるようにします - おはしょりを整えます
- 伊達締めを締めて、シワがあれば左右に伸ばし整えます
身八つ口は、前後の余りを被せるようにすると、閉じることができます。この過程を丁寧にこなすと、背中のシワもなくなり、正面から見ても帯の上のダブつきもなくなり、身八つ口も閉じる、、ということになり、仕上がりがグッとよくなります。胸元の着崩れ予防にもなりますよ。
脇の下が丸見えにならないために 〜 着付けの後の対処法
身八つ口を閉じるように着付けしても、腕を大きく動かすとどうしても着崩れしてきますので、動作や仕草にも配慮が必要です。
浴衣で「脇が見える」は動作・仕草でカバー
浴衣や着物など和装の場合、洋服の時と違って二の腕が見えるほど腕をあげません。
- 腕を肩の線より上にしない
- 脇から腕を離さないように動かす
- 遠くの物を手に取る場合は袂を押さえながら手を伸ばす
洋服が中心である現代生活では、あまり気にすることもないのですが、これは和装の時の基本的な所作です。
腕を動かす時には、意識して動かすようにすれば、袖が肩あたりまでズルっと落ちて二の腕あたりまで腕が丸見えになったり、脇から下着が見えたりするようなこともありませんし、着崩れ予防にもなります。
浴衣で「脇が見える」はちょこっと直しでカバー
帯を締めてから脇の下が見えるのが気になったり、身八つ口のたるみが気になったら、次の手順で直しましょう。
身八つ口のたるみの簡単ななおし方
- 身八つ口の後ろ身頃の余りを、体の側面に沿って前に寄せます
- 身八つ口の前身頃のあまりの、体の側面に沿って後ろに寄せ、後ろ見頃の余りの上に被せます
- 帯が下がらないように片手で軽く押さえておきます
- もう片方の手で、おはしょりのわき線を下方向に軽く引きます
- 手を交換して、反対側のおはしょりのわき線を下方向に軽く引きます
- おはしょり全体を整えます
帯を締めた状態でなおす場合には、それぞれの作業で強く引っ張りすぎないように気をつけましょう。あくまで、軽く引く程度で調節します。
浴衣のインナーで女性向けおすすめは?
浴衣の着付けや動作に気をつけていても、うっかり脇の下が見えてしまうことはあり得ます。見えても恥ずかしくないインナーを選ぶなど、配慮しておく方がいいでしょう。
暑い時期の浴衣ですから、できるだけ薄着にしたいものですが、浴衣用の肌着や代わりのインナーを着用することで、汗対策と透け対策ができます。
- 吸水性のあるインナーを着用することで、浴衣の汚れを予防できますし、直接汗が浴衣につかないことで、浴衣がまとわらず着心地もよくなります
- 浴衣は、生地の厚さや地色によっては、インナーが透けやすい場合があります
インナー着用は、重ね着と同じで暑苦しいようなイメージがあるかもしれませんが、選び方を間違えなければ、むしろ動きやすく、着心地もよくなります。
おすすめの浴衣用インナー 〜 ワンピースタイプ
【着物用スリップ(浴衣下)】
【肌襦袢】
おすすめの浴衣用インナー 〜 セパレートタイプ
【キャミソール】
カップ付きのキャミソールであれば、下着のラインも気にならないのでおすすめです。普段使いしているものでもいいのですが、浴衣や着物では衣紋を抜くので、背面の開きが大きいものでないと見えてしまうので、気をつけましょう。
【裾除け】
【ステテコ】
ステテコは、腿の内側や膝の裏側の汗対策にもなります。座る時間が多い場合にはオススメです。
和装ブラは必要?
着物の着付けサイトなどでは、着用当然のように紹介されている和装ブラ。胸が大きい方は、補正も兼ねて利用するのもいいでしょう。
ただ、着物や浴衣を次はいつ着るのかもわからない、、というような場合には、わざわざ揃えなくても構わないでしょう。
ポイント
- 和装ブラは、カップ付きインナーやスポーツブラなどで代用できます
- ワイヤー入りは避けましょう
帯で締め付けられるような感じもあるでしょうし、胸元がうまく収まらず着崩れしやすくなります - レースなどの装飾が多いもの、派手な色柄はさけましょう
浴衣の生地によっては、下着の装飾が表に響いたり、透けたりします
まとめ
着物や浴衣に慣れていないと、脇の下が開いていることには驚きますし、理解し難いものがあるかもしれません。高温多湿の日本の風土や機能性から、女性と子どもの着物には身八つ口ががあります。
だからといって、ぽか〜んと開けて脇の下が丸見えというのはよろしくありません。洋服の場合には、肩や腕を出していると涼しげに見えますが、和装で身八つ口が開いていると、むしろ厚苦しくだらしなく見えてしまうものです。着付けや動作でカバーできるものですから、気をつけましょう。
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