エタノールはスプレー容器に入れて使うのが便利ですよね。
だから、エタノールを購入後に詰め替え容器を探す人が多いのですが、実際に容器を買いに行くと「アルコール不可」の注意書きが多いのですよ(ノД`)・゜・。
そして、迷うポイントは次の2つです。
・プラスチックの種類はPP、PE、PET等があるけどエタノールにはどれが適しているか?
・100均の容器は安いから駄目なのか?
そこで今回は、エタノールをスプレーボトルに詰め替える場合にどんな容器なら大丈夫なのか、商品や素材の違いに着目してまとめました。
エタノール容器にPPは?使える素材と使えない素材は?
ポリエチレン(PE)はエタノールを入れることが可能ですが、市販のエタノールの容器を確認すると、市販のエタノールは容器が高密度ポリエチレン(PE)、蓋がポリプロピレン(PP)というパターンが一般的です。
また、エタノールだけでなく様々な薬品類や洗剤等の容器も同じ材質のことが多いです。(醤油や日本酒などの食品に使われる容器の材質はポリプロピレンやPET容器もあります。)
ところで容器選びをする場合に欠かせないのがプラスチックの基礎知識です。プラスチックにはPPやPEの他に10種類以上あるのですが、主に容器の材質として使われるものは次の5種類があるので一度確認しておきましょう。
(2)ポリプロピレン(PP)
(3)ポリ塩化ビニル(PVC)→硬質・軟質の2種類有り。
(4)ポリエチレンテレフタレート(PET)
(5)ポリスチレン(PS)
このうち、エタノールを入れることが出来るのは、
(1)ポリエチレン(PE)
(2)ポリプロピレン(PP)
(3)ポリ塩化ビニル(PVC、ただし硬質のみ)
(4)ポリエチレンテレフタレート(PET、ただし「アルコール対応可」のみ使うのが無難)
です。
我が家で購入したエタノール(上記写真)の容器も、次の写真の通り、PEとPPが使われていました。
容器に一般的に使われるPEは高密度PEで白色に近い半透明となり低密度PEは透明です。
高密度ポリエチレン HDPE (High Density Polyethylene)
硬質ポリエチレンともいう。 比重0.942以上、荷重たわみ温度130℃以下。
用途: 洗剤容器、水道・ガスパイプ、魚網・漁船用ロープ、レジ袋、ビールケース低密度ポリエチレン LDPE (Low Density Polyethylene)
軟質ポリエチレンともいう。 比重0.91-0.92、荷重たわみ温度100℃以下。
用途: ホース、食品包装、ゴミ袋、内包緩衝材(プチプチ)、マヨネーズ容器引用:株式会社KDA
(3)のPVCは硬質と軟質があり、軟質は使えません。
(4)のPETについては基本的にアルコール類には使えるとされていますが、PET容器によっては「アルコール不可」と書かれているものもあるため、購入前に必ず商品の「使用上の注意」を確認してください(2020年3月訂正)。
PETについてはプラスチック業界の一般的な性能表ではアルコール対応可となっていますが、ワインや焼酎用のペットボトルは容器内部をコーティングすることで長期間品質を保つことができています。ですので、PET容器といっても使おうとしている容器に内部コーティングがされているか、どの程度なのかは分からないので、一般ユーザーとしては製造メーカーの注意書き「アルコール対応可」か「不可か」を頼るしか方法がありません(2020年3月修正)。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
→エタノールはペットボトルで保存できるか調べました【PET資料まとめ】
(5)のPSは酸やアルカリに対しては問題ありませんが、アルコールを長期間入れて使うと中身が変性するのでエタノールも当然使えません。
また、その他エタノールが使えないプラスチック素材としては次のような種類があります。
- アクリル樹脂(PMMA)…長期間使うとヒビが入り割れたり異臭が生じます。PETよりもアルコールには弱いです。
- SAN樹脂(AS)…何度も使うと容器が不透明になります。
- AB樹脂(ABS)…長期間使うと膨張します。
上記でお分かりのようにプラスチックには「ポリ」という接頭語が多く使われているのですが、これは「分子が沢山」あることを意味します。
エタノールの容器に100均のスプレーは使えるの?
100均のスプレー容器はエタノール不可の商品がほとんどで、「アルコールを多量に含むものには使用できません」という注意書きがあります。
ですので100均で探すのは難しいと思っていましたが、最近はエタノールOKのスプレー容器も出てきています。全ての100均にあるかは不明ですが、先日ダイソーに行ったらアルコールが入れられるボトルが販売されていました。
お店によって品揃えは異なるのでどこのダイソーでも大丈夫か分かりませんが、可能性はあるので安く入手したい場合は、先ずはダイソーで探してみてくださいね。
ただし、100円ショップのスプレー容器の多くの材質は、本体がPET、スプレー部分がPPやPE、蓋がPPという物が多いです。以前私が実際に購入したのは無印良品でしたが、こちらも同様の材質でした。
注意書きがあるにも関わらず暫くの間入れてしまった場合、スプレー容器そのものには問題がなさそうに見えても、中に入れたエタノールの品質に問題が生じる可能性があります。
今回、どうなるか試したかったので入れて使っているのですが、2週間経過した時点では、見た目ではまだ何も変化がありません。(PETの強度にも関係しているかもしれませんが、穴が開いたりヒビが入ったり、中身が変性する可能性もあるので真似するのは止めてくださいね。また、直射日光が当たる場所や夏で気温が高い場合などは特に注意が必要でしょう。
アルコールは遮光性のある容器の方が良いという話ですが、同じアルコールであるメタノールは確かに光で変性するのですが、エタノールは光で変性するという記載がなく、変性することはなさそうなので、透明容器に入れても問題ないのかもしれません。)
エタノールを確実に入れられるスプレーボトルは?
100円ショップ等でエタノールOKの容器が見つからない場合は次の方法がおすすめです。
最初に100mlの消毒用エタノールでスプレー容器入りの商品を買い、それが使い終わった時点で詰め替えて使う方法。
ちなみに、ネット通販だと送料が高く感じて勿体ない気がしたので、地元のドラッグストアに同じ商品があればそこで買う方が安上がりですよね。でも、私の住んでいる街や周辺のドラッグストアを探したところ、残念なことにスプレー容器タイプは1軒もありませんでした。エタノールを購入する人は多くないのでスプレー容器タイプというのは置きづらいのかもしれません。
また、エタノールのスプレー式が見当たらなければ、アルコール除菌スプレー等を購入して使い終わった後に入れ替えるという方法もあります。
エタノールの詰め替え用ボトルだけ購入するには?
詰め替え用容器で一番確実なのが下記の商品です。リンク先の説明を見れば分かりますが、エタノールも対応しているという記載があります。ただ、これは500mlか1000mlサイズしかありません。
小さいサイズは次の商品がPEで30mlとなっています。
ガラス製を探すなら、次のような香水アトマイザーがあります。
さいごに
プラスチック容器は様々な種類がありますが、その種類によってはエタノールを入れると容器が劣化してしまい、短期間でヒビ割れしたり溶け出すケースがあります。スプレー容器を購入する場合はよく注意書きを読んで選びましょう。