実印については、成人式、就職、結婚などを機に作った方が良いのでは?と考える人が多いのですが、実印は何に使うものでしょうか。本当に必要あるのでしょうか。
今回は、実印をいつ作るべきか、三文判でも問題ないのかなどについてお話しします。
実印は何に使うの?
実印はこちらの記事でもお話ししたように、役所に登録した判子の印影で唯一のものであるため法的効力が高いです。
そのため、重要な契約を締結する際には契約書類に実印を押すだけでなく、押印した印鑑が実印である証明として、役所で入手した印鑑証明書を添付することが多いです。
→認印とは?シャチハタ不可の理由や見分け方は?三文判との違いは?
実印の使う場面としては次の事項があります。
- 不動産を購入・売却するとき
- 不動産を借りるとき
- 自動車を購入・売却・廃車にするとき
- ローンを組むとき
- 年金を受け取るとき
- 生命保険、損害保険加入するとき
- 保険金を受け取るとき
- 遺産相続するとき
- 公正証書を作成するとき
また、会社の場合は上記以外に会社設立時や清算時などにも必要です。
実印はいつ作るべき?
実印は15歳から役所に届け出て登録することが可能です。
女性の場合は結婚すると姓が変わる可能性が高いため、独身で作る場合は結婚して姓が変わっても使えるように、下の名前だけで作ることが多いです。
実印は重要な契約の際に使うため、一般的にはハンコ屋で手彫りの高級な判子を注文して、出来たものを役所に持参して登録手続きします。
材質により費用は異なりますが、その多くは数千円以上かかることから、成人式や就職を機に親がお祝いとして作ってくれるケースもあれば、結婚の際に結納返しなどとして作るケースもあります。
いずれにせよ、実印を登録すると役所で印鑑登録証(カード)が発行されます。
実印と印鑑登録証(カード)は銀行通帳等と同様に、大切に保管しておく必要があります。マイナンバーカードがあればコンビニで印鑑証明はとれますが、役所では印鑑証明が変わらず必要です。
とはいえ、実印を使う機会は滅多にありません。盗難の場合に悪用される可能性もあるため、必要にならない限り作らない方が安全です。
以上のことから、男性は結婚後に車や家を購入する時になって実印を作る人が多いですし、女性の場合はローンを組む時に連帯保証人にならなければ一生作らないで終わる人が多いです。
実印登録する判子は偽造防止のため手彫り印の方がおすすめですが、手彫り印は三文判と異なり注文を受けてから作るため、数日間かかります。そのため、実印が必要になることが分かったら早めに作るようにしましょう。
実印は三文判で登録してもいいの?
実印は三文判でも登録可能なケースが多いです。(シャチハタは不可です。)
市区町村によって取り扱いが若干異なりますが、規定としては「同一印影が大量生産されるものは登録不可」となっています。
そのため、大量生産される三文判を拒否される可能性はあります。ただ、実際には、申請された三文判が本当に大量生産されているものかを判断するのは窓口担当者には不可能なので、基本的には申請者が提出したものを拒否されるというケースは少ないです。
基本的に判子は、同一のものがないのが望ましいのですが、機械の大量生産だと同じものが出回りますし、手彫りにしても、今の技術ではコンピュータで印影をスキャンすれば、目視や残像で判別できないような殆ど同一の判子を作ることは可能といわれています。
ですが、やはり三文判は偽造が容易※ですから、実印登録する判子としては、偽造し難い手彫り印が望ましいです。
※偽造が容易とは言っても、実際にハンコ屋で判子を複製依頼することはできません。複製依頼を受けたら店の信用に関わるからです。くれぐれも、安易に複製しようと考えてはいけません。
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実印は銀行印と兼用してもいいの?
実印と銀行印の兼用は避けた方が良いです。
「大事な判子を2つも作るのは高いし管理が面倒だから実印と銀行印を両方兼用すれば良い」と考える人もいますが、実印は上記のような高額な契約時でない限り使わないのに対して、銀行印は預金引出しや振込等の用途で使うため、使用頻度が多くなります。
万が一、銀行からこれらの書類が流出した場合は悪用される可能性もあるのです。
さいごに
実印は法的効力の高い印鑑なので、役所に実印登録した場合は印鑑証明証(カード)と一緒に失くさないよう大切に保管しなければなりません。成人式や就職を機に作る人もいますが、必要にならない限り登録しない方が安全でしょう。
ただ、実印ではない単なる三文判だから法的効力が無いかというと、そういう話ではありません。三文判であっても契約に合意して書類に押印した場合には当然有効となります。何らかの事情により裁判になった場合に、実印の方が「契約者本人が間違いなく押したものである」という点で信憑性が上がるというだけです。
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