印鑑を作ろうと考えるタイミングは人によって様々ですが、次のようなきっかけがありますよね。
・赤ちゃんが生まれたとき
・子供がお年玉をあげる年齢になって管理させようと考えたとき
・子供が成人式を迎えたとき
・社会人になったのできちんとした印鑑を作ろうと考えたとき
・不動産購入で実印を作る必要ができたとき
このような時に悩むのが、どんな材質がおすすめなのか、大きさで一般的な基準はどの程度か、書体の選び方は何を考えれば良いか、ということです。
そこで今回は、材質や大きさ、書体の選び方をまとめました。
印鑑の材質で一番のおすすめは?
印鑑には様々な材質が使われていますが、代表的なものとしては、柘、黒水牛、牛角、象牙がありますが、自分が何を一番優先するかによって異なるため、絶対的なおすすめはコレです、ということが言えません。
ここでは、主な視点として3つを取り上げます。
価格優先するなら?
安い順におすすめは次の通りです。
(1)柘(ただし国産本柘植は高級なので象牙と同レベルになります。)
(2)黒水牛
(3)牛角
(4)象牙
朱肉の付き具合を優先するなら?
付きやすい順に次の通りです。
(1)象牙
(2)柘
(3)牛角
(4)黒水牛
材質の強度を優先するなら?
強い順に次の通りです。
(1)牛角
(2)象牙
(3)黒水牛
(4)柘
では次に、1つずつ材質についてご説明します。
代表的な材質について
◆象牙
象牙は印章の中では最高ランクの価格で、黒水牛よりも強度があります。朱肉を長年使っていると象牙の白に染みついて汚れが目立ってしまいます。これを風情があると考える人には向いていますが、潔癖症の場合は気になってしまうと思いますし、安い象牙でも1万円以上はかかってしまうため、そこまでこだわらない場合は別の材質のほうがおすすめです。
◆黒水牛・牛角
黒水牛や牛角は柘よりも強度はあるものの、乾燥に弱く朱肉が付きにくいという短所があります。ただ、黒水牛は比較的安価なわりに高級感のある黒い艶のある材質であることから非常に人気があり、実印や銀行印の定番となっています。
◆柘
強度の点で弱い柘ですが、会社の実印等では比較的多く使われています。また、弱いといっても、軽い材質のため落としても欠けにくいといわれています。実印や銀行印は使用頻度が低いため、さほど問題ないと考えて選ぶ人もいます。
その他の材質について
◆チタン
チタンは頑丈で強度は最も高く、朱肉も付きやすいので近年人気が出てきています。ですが、強度がある故に機械でしか彫れないという短所があり、手彫りの美しさを出せません。そのため好き嫌いが真っ二つに割れています。値段も高いので、チタンが好きという人でなければ無理に選ぶ必要はないでしょう。
◆黒檀
木の中では緻密で強度があり耐久性にも優れており昔から珍重されています。白檀よりは希少価値も乏しく安いのですが、使えば使うほど艶が出て味わいがあることから好む人もいます。
◆琥珀
琥珀は模様が美しく女性に人気の材質ですが、天然琥珀だと強度が弱いため、通常は人工樹脂を含めて強度を高めたもので作ります。
◆天然石
ラピスラズリ、アメジスト、ローズクオーツ、水晶などパワーストーンとして知られているものは女性に人気があります。実印や銀行印は重要な書類へ押すことから、風水を気にする人もいて、風水では天然石が良いとされているのですが、天然石は落とした際に欠けてしまう可能性が非常に高いため、あまりおすすめできません。
◆おしゃれはんこ
和風柄や柄模様の和紙を入れたりする印鑑や、くまもんやキティちゃんのようなキャラクター物の印鑑など、女性や子供に人気の商品です。下記商品はケースが印鑑とお揃いなので、子供の印鑑を親が管理する場合にも区別しやすく便利です。
印鑑の大きさは一般的にどのサイズにする?
印鑑のサイズは用途や、性別、文字数によって変わります。
- 用途別→大きい順に、実印、銀行印、認め印としてサイズを変えて作る人が多いです。
- 性別 →男性の方が女性よりも手が大きいことから一回り大きいサイズを選ぶ傾向があります。
(手の大きい人が細い印鑑だと押しづらさを感じます。) - 文字数→小さい印面に彫る文字数には制限があります。そのため、長いフルネーム等の場合、希望サイズが不可能なケースもあり、大きいサイズにする必要があるかもしれません。ハンコ店で注文時に希望サイズと文字数の確認をきちんとしましょう。
◆実印
実印は、男性の場合15~18mm、女性の場合13.5~16.5mm程度を選ぶ人が多いです。ちなみに、市町村の印鑑登録可能サイズは8mm~25mmです。(但し、市町村により条例が異なり若干異なるケースがあります。そのため、実印を注文する場合は必ず役所で確認してからサイズを決めましょう。)
◆銀行印
銀行印は、男性の場合13.5~15mm、女性の場合12~15mm程度を選ぶ人が多いです。
◆認印
認印は、男性の場合12~13.5mm、女性の場合10.5~12mm程度を選ぶ人が多いです。
印鑑の書体の選び方は?
印鑑の書体としては、篆書体、吉相体、隷書体、古印体、楷書体、行書体、草書体などの種類がありますが、印鑑の用途別に選ぶことが多いです。
実印・銀行印→容易に偽造されない複雑なデザインがおすすめ
認印→誰が見ても姓を確認できることが大切
偽造防止の点から考えると、篆書体が最もオーソドックスで人気があり、実印に最も多く使われている書体です。一方、楷書体や行書体は比較的単純なデザインになってしまうため偽造しやすく品位を疑われる可能性もあるため実印にはおすすめできません。
では次に、用途別に書体を考えてみましょう。
実印や銀行印に多い書体
◆篆書体
篆書体は象形文字からできた古い書体で、複雑な形なので偽造されにくいことから特に実印に多く使われています。また、銀行印や認印に使うケースも多いです。ちなみに、銀行紙幣の印にも篆書体が使われているので、篆書体がどんなものか知りたい場合は財布から紙幣を出して確認して下さいね。
◆吉相体
篆書体を基本としてデザイン化された書体で、上下左右斜めの八方に広がっているのが特徴です。(八方篆書と呼ばれることもあります。)銀行印に使う人が多いです。
※吉相体は稀に文字確認ができないという理由で実印登録できない可能性もあるため、実印にはおすすめできません。
認印に向く書体
認印は読みやすいことが大切なので、隷書体や古印体が使われることが多いです。
◆隷書体
隷書は中国秦の時代に使われていた、篆書体を元に簡略化した読みやすい書体です。読みやすいことから認印として使われることが多いです。
◆古印体
古印体は日本で開発された書体で、隷書に丸みを加え、読みやすくした書体です。
縁起を気にする場合は書体や彫り方を用途別に選ぶこともあります。(文字を周りの円につけるか否かの違いによっても吉相が異なるようです。)
さいごに
印鑑の材質、大きさ、書体はそれぞれ複数ありますが、用途や予算、好みによって1つ1つ考えていくと絞られてくるはずです。
材質については男性に人気なのが深みのある黒色の黒水牛、女性の場合は見た目の華やかな琥珀やおしゃれはんこ等です。
また、大きさについては好みもありますが、手の大きさから男性は押しやすい大きいものを、女性は小さめを選ぶことが多いです。
書体については用途(実印、銀行印、認印)に応じて相応しい書体を検討した方が良いでしょう。
◆銀行印を作る場合はこちらの記事がおすすめです。
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