ノロウイルスに罹ると嘔吐や下痢があります。
感染者の症状も心配ですが、そちらに気を取られてウイルスが大量に含まれている嘔吐物や下痢便を放置してしまうと、周囲の家族が感染する可能性が出てくるため、嘔吐物等は出来るだけ早く処理しなければなりません。
今回は、二次感染を防ぐために重要な、消毒液の作り方や選び方、嘔吐した床掃除、カーペット消毒方法についてまとめました。
ノロウイルス嘔吐時の消毒液の作り方は?
ノロウイルスに効果があるのは次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒薬です。
エタノールや逆性石鹸はノロウイルスやロタウイルスには効果がありません。
市販品ではピューラックス、ミルトン等がありますが、家にある塩素系漂白剤のハイターやブリーチ等を使って濃度調節する方法もあります。
用途によって適切な濃度があり、次の2種類があります。
- 嘔吐物の処理用→0.1%(1000ppm)
- 日用品の消毒用→0.02%(200ppm)
ここではミルトン、ハイター、ブリーチの場合の分量について記載します。
【ミルトンを使う場合】
- 嘔吐物の処理用→0.1%(1000ppm)=水500mlにミルトン50ml
- 日用品の消毒用→0.02%(200ppm)=水500mlにミルトン10ml
【ハイターやブリーチを使う場合】
- 嘔吐物の処理用→0.1%(1000ppm)=塩素系漂白剤50倍=水500mlにハイター等を10ml(ペットボトルキャップ2杯弱)
- 日用品の消毒用→0.02%(200ppm)=塩素系漂白剤250倍=水500mlにハイター等を2ml(ペットボトルキャップ半分弱)
日用品の消毒用については特に頻繁に使うようになるためスプレー容器に入れておく方が便利です。
また、塩素系漂白剤を直接触ると皮膚を傷めるため使い捨てビニール手袋等を使って触るなど、取扱いに注意してください。
この消毒液は作り置きせず、使う際に作るのが原則です。
時間が経つと濃度が薄くなってしまうので1~2週間で使い切るようにしましょう。
また、ハイター等次亜塩素酸ナトリウムは手で直接触れないので取り扱いに注意が必要ですし、金属を消毒した際に水拭きしないと後で腐食する可能性があるので少々不便です。
近年、ノロウイルス対策で注目されている成分に次亜塩素酸水があります。この選び方についてお話しします。
ノロウイルスに効果のある次亜塩素酸水の選び方は?
ノロウイルスに効果のある次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性(ph12以上)で人間が直接触れることが出来ないのですが、市販品の次亜塩素酸水はph調整して弱酸性(ph5.0~6.5程度)となっているため直接手で触れる安全な成分です。
また、ドアノブ等の金属に使っても腐食の心配がありません。
様々なメーカーが次亜塩素酸水を製造販売しています。成分も似ているので、どれを選んでも大差はありませんが、料金以外に次の2つをチェックしておく方が良いでしょう。
(1)濃度
200ppm(ドアノブ等の消毒等)の商品が多いのですが、ノロウイルスでは嘔吐した際にも使える高濃度の物があると便利です。
(2)使用期限
ハイター等の次亜塩素酸ナトリウムは安定しているので長期保存が可能ですが、次亜塩素酸水は非常に不安定で、効果も薄れやすいです。そのため、使用期限が製造日から3ヶ月や6ヶ月という商品が多いです。
次の商品は高濃度500ppmで希釈して使えますし、冷暗所保存だと約1年間保存できるとされています。
ノロウイルス嘔吐時の床掃除方法は?
嘔吐物を処理する際、処理する人以外は近づかないようにしましょう。
(処理中にウイルスを吸い込むと飛沫感染の可能性があります。)
放置すればするほど感染拡大するため、直ぐに処理しなければなりません。
処理の手順についての方法を記しておきます。
- マスク
- 使い捨て手袋(頑丈で破けないもの)
- 使い捨てペーパータオル(ボロ布、雑巾等)
以下の2つはあれば使った方が良いでしょう。
- 使い捨てガウン(エプロン)
- ゴーグル等←目の防御のため
(1)嘔吐物等の片付け
嘔吐物や下痢便が飛び散るのを防ぐため、ペーパータオルを嘔吐物等の上からかぶせてから次亜塩素酸ナトリウムをスプレーし、ペーパータオルと一緒に嘔吐物等を静かに包んで取り除きます。
(2)次亜塩素酸ナトリウムによる消毒
次亜塩素酸ナトリウム(上記「日用品の消毒用」)をペーパータオル等に浸して、床の嘔吐物等がついた箇所を中心に拭いて約10分後に水拭きします。
(3)廃棄物の処理
使ったペーパータオル等はビニール袋に入れ、次亜塩素酸ナトリウム(上記「嘔吐物等の消毒用」)を加えて廃棄物が十分に浸るようにしてから口を縛って捨てます。
上記(1)の嘔吐物等を片付ける際、よく拭き取らないと残ってしまうことや臭いが染みついてしまう可能性がありますが、 次のような凝固剤があると素早く固めて処理することができます。
以上の方法が基本ですが、カーペットを消毒する場合は、次亜塩素酸ナトリウムを使うと色落ちの可能性があるため、これを使わず次の方法で行います。
ノロウイルス嘔吐でカーペットの消毒方法は?
85度以上1分以上の加熱による消毒を行います。
基本の流れは上記処理方法(1)~(3)で、(2)の次亜塩素酸ナトリウムでなく、スチームクリーナーや当て布によるアイロンで「85度以上、1分以上の加熱」を行います。
ただ、実際には1箇所につき2分間加熱しないと85度以上にならないため、広範囲の消毒には向きません。
広範囲を消毒したい場合は、次の方法がおすすめです。
ペットシーツを使う消毒方法(千葉県長生保健所が考案した方法)
- ペットシーツ(厚手がおすすめ)
- レジャーシート(無ければ断熱プチプチや大きいビニール袋でもOK)
- タオル2枚
- 熱湯
(1)ペットシーツの吸水可能量を確認して計量してお湯を沸かします。
(2)嘔吐物を雑巾等で全て静かに拭き取ります。
(3)ペットシーツの吸水面を上に向けて消毒したい範囲にかぶせます。
(4)熱湯をペットシーツに注ぎます。(シート全体が熱くなります。)
(5)ペットシーツの上にレジャーシートをかぶせてタオルを2枚かぶせます(=保温)。
(6)冷めたら終了、ペットシーツを捨てて片付けます。
(2)でビニール袋に片付けた嘔吐物等は、(5)の保温中で手が空いたタイミングで次亜塩素酸ナトリウムで浸してから処分しておきましょう。
ペットシーツは保温性が高いため火傷をしないよう、嘔吐物を処理する人以外は近づかないようにして下さい。
さいごに
ノロウイルスの嘔吐は二次感染を防ぐため、素早く処理することが大切です。
使い捨てマスクと手袋は忘れず着用しましょう。