子供がノロウイルスに罹ったらしくて夜になってから嘔吐のみを繰り返すと、お母さんは様々な心配や不安でいっぱいになりますよね。
- 嘔吐がいつまで続くか
- 脱水症状が心配だけど水分の与え方が分からない
- 病院受診の目安で急ぐべきか、朝まで待つべきか
今回は、ノロウイルス疑いのある子供の初期対応についてまとめました。
ノロウイルスで嘔吐はいつまで続くの?
ノロウイルスの嘔吐症状は通常6時間程度で治まることが多いです。
ノロウイルスの主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢で熱は38度以上になることは少ないです。
突然の嘔吐から始まることが多く、最初の6時間くらいが最も吐き気が酷く、嘔吐や下痢を数回から酷い場合10回以上繰り返すこともあります。
ノロウイルスは感染から発病までの潜伏期間が1~2日程度で、嘔吐から下痢と症状が変化して1~2日程度で終わることが多いです。
では次に、症状別の対応方法についてお話しします。
第1段階「胃の症状」→吐き気が酷い時
吐き気が治まるのをひたすら待つのみ。
ここでは次の2つのことに注意して下さい。
- 発病直後の吐き気が酷い時に吐き気止めは使わない←吐けないと逆に苦しいから
- 吐いている間は飲食を全て断つ←更に吐いて苦しくなる
吐くと口の中が気持ち悪いし喉が渇く!どうしたら良いの?
喉が渇いても何も飲ませてはいけません。
嘔吐中は胃腸が暴れまわっているような状態で、喉が渇いていても胃は受け入れ態勢が整わないため吐き出してしまいます。
そうなると、飲んだ分だけでなく胃液まで吐き出すことになり、体内に必要な水分や塩分がどんどん出て不足するだけでなく、粘膜もやられて、さらに苦しく不快になります。
吐くと喉が渇くので子供に飲み物が欲しいと言われることがありますが、ここで飲ませると吐くことになり、余計に辛い思いをします。
ですので、おもちゃや他の興味のある物で子供の気を逸らすことが重要です。
どうしても我慢できない場合は、キャンディ、ラムネ、小さい氷の欠片程度なら大丈夫なのでゆっくり舐めさせましょう。
ただ、この大きさでも小さい子供は窒息する可能性もあるので大きさに注意して与えて下さいね。
第2段階「腸の症状」→下痢が始まった後の対応は?
脱水症状に気をつけて水分補給していきます。
嘔吐は3~6時間程度で治まり、その後下痢が始まることが多いのですが、その段階から脱水症状にならないよう注意しなければなりません。
嘔吐がストップして1~2時間経過した段階で吐き気がなく、少し元気が出てきた場合は少しずつ水分補給をしましょう。
では、次に嘔吐が治まった段階での水分の与え方についてお話しします。
嘔吐後の水分の与え方は?
嘔吐が治まって1~2時間経過したら少しずつ水分補給するのですが、飲み物のおすすめは次のような物があります。
- 経口補水液
- お茶
- 湯冷まし
- 薄めたリンゴジュース
子供が飲みやすそうな物を選んで、大さじ1杯(15ml)程度を飲ませて約30分様子を見ましょう。
その後吐き気が出なければ大さじ1~2杯(15~30ml)飲ませて約30分様子を見ます。
この調子で間隔をあけて、少しずつ量を増やしていきます。
もし途中で吐き気が出た場合は胃腸が暴れまわっているため鎮まるまで約1時間水分を断ち、様子を見て大さじ1の水分から再開します。
嘔吐後の食べ物の与え方
水分がしっかり摂れるようになった段階から食べ物を少しずつ再開します。
(1)最初はお腹に負担が少ない次のような「形のないドロドロした物」がおすすめです。
- 柔らかいおかゆ
- リンゴのすりおろし
(2)次に少し形のある、柔らかい物に移行します。
- 柔らかく煮込んだうどん
- ゼリー
- 豆腐
(3)その後、徐々に消化の良い固い物、普通の食べ物へと移行します。
子供の嘔吐で病院に行く目安は?
1~2回の嘔吐程度で救急病院へ行ってもそこで治る訳ではないので慌てて受診しなくて大丈夫です。
ノロウイルスには特効薬がなく、整腸剤によりウイルスの対外排出を促す対処療法になります。
吐き気が治まらない場合は吐き気止めを、下痢が治まらない場合は下痢止めを処方されることもありますが、初期の段階では薬がなくても心配する必要はありません。
というのも、初期で嘔吐や下痢で薬を使ってしまうと、お腹の中に沢山ノロウイルスがいるのに出せなくなり、ウイルスが増加して余計に悪化する可能性があるからです。
吐き気止めは数時間経っても治まらず胃液を吐いてしまうくらい酷い状態が続いている場合に使うケースがあります。
また、下痢については吐き気よりも長引く傾向があるため、数日間経っても治まらない場合に医師に相談して処方されるケースがあります。
もし夜間に嘔吐した場合で1~2回程度だったら慌てて夜間救急病院へ駆け込む必要はなく、翌朝になるのを待ってかかりつけ医を受診した方が良いでしょう。
もし激しい嘔吐が6時間程度で落ち着かず苦しそうな場合は、他の病気の可能性も考慮して病院で受診する方が良いかもしれません。
嘔吐した場合で直ぐに受診した方が良いケースとしては、次のような症状があります。
- 6~12時間以上嘔吐が続いたり、嘔吐物が緑色になる
- 激しい腹痛が断続的に起きる
- 激しい頭痛がある
- 便が黒かったり血便が出る
- けいれんが起きる(これは発症後2~3日後の下痢症状の時に出やすい。)
- 長時間ずっと顔色が悪くグッタリしている
- 体に力が入らない
- 意識がはっきりしない
子供の嘔吐で点滴するケースは?
嘔吐や下痢が続くと脱水症状に陥る可能性もあるため、少しずつ水分補給を続けていくことが大切ですが、もし全く水分補給が出来ない場合は病院で点滴をしてもらうことを考えた方が良いかもしれません。
ただ、町の小さな小児科ではあまり点滴をせず、地道な水分補給の指導をされて終わることが多いです。
というのも点滴は口からの水分補給が出来ない場合に血管に直接水分を届けるものであり、胃腸への負担なしに水分栄養補給が出来ることや、嘔吐の心配がないのは良いのですが、針を刺して投与するため小さい子供には痛いし怖い思いをすることになるからです。
もし点滴を考えるのであれば、総合病院等の大きい病院の方がやってもらえる可能性は高いです。
また、勘違いしやすいのですが、点滴は脱水症状になった段階で行うものであり、脱水症状の予防としては意味がありません。
その理由としては、水分の体内貯金はできないからです。
点滴を行う時点で脱水症状でない場合、血中内に水分が行き届いているため、余分な水分は直ぐに尿となり体外排出されてしまうのです。
子供の尿の回数や量が減って元気がなくなった場合には受診して点滴の必要性を確認した方が良いでしょう。
ただ、体調の悪い中何度も病院に行くのは辛いので、出来るだけ上記水分の与え方に添って根気よく水分補給をして、脱水症状に陥らないようにしましょう。
まとめ
子供が突然嘔吐をした場合、お母さんは子供の体調の心配や嘔吐物の処理、感染予防などやることが一杯で大変ですが、ノロウイルス(疑い)の場合は慌てて病院へ行かずに吐き気が落ち着くのを待っても大丈夫なことが多いです。
子供の苦しそうな様子を見ているのは辛いでしょうけど、嘔吐がある場合は水分の与え方が非常に重要ですので、吐き気が治まるまでの我慢と、その後のこまめな水分補給を根気よく行ってくださいね。