入院中にお見舞いに来ていただいた人には見舞い返しを考えますよね。
でも、退院したけどまだ療養が必要で会社を暫く休職しなければならない場合は、いつ頃お返しすれば良いのでしょうか。また、のしの表書きはどうすれば良いのでしょうか。
今回は、見舞い返しを贈る時期やのしをどうするか、見舞い返しに相応しい品物はどんな物か、また、思い浮かばない場合に商品券でお返ししても良いのかなどをお話しします。
見舞い返しの時期は?
入院中にお見舞いをいただいた場合は、退院してから10日を目安に「快気祝い」として贈るというのがここ最近の一般的なマナーです。
昔は、見舞い返しは退院後「忘れた頃に」贈ると言ったものですが、今はお見舞いした人に対してきちんと退院した報告をしておかないとまた病院にお見舞いに行ってしまう可能性もあるので早めに行う傾向があります。
本来、快気祝いは内祝いの一種で「自分の病気や怪我が治ってめでたいため、お世話になった人や親しい人へお祝いのお裾分けをする」という意味で、お見舞いをいただいていない人へも贈る習慣がありました。ですが、現在は「お見舞いに来てもらった人へ退院報告やお見舞いのお礼をする」というように意味が変化しています。
ただ、今はどちらの意味で考えるかは人や地域によっても異なります。
例えば、内祝いの一種と考える場合は、完治していて直ぐに社会復帰できる場合は「お見舞いに来てくださってありがとうございました。おかげで職場復帰できました。」と退院してすぐに言えるのですが、退院はしたけどリハビリ中できちんと職場復帰できていなかったり、完治するかどうか分からない癌のような病気だった場合は退院してすぐにやらなければならないものではありません。お返しをするとなると品物選びが大変ですし、神経を遣って疲れるものですから、ある程度体調が良くなってから、と考えて少し落ち着いた段階で考えても大丈夫です。
一方、「お見舞いへのお礼」と考える場合は、退院後すぐに贈って区切りをつける方が自分の気持ちがスッキリするから早めに贈るという方法もあります。また、完治する見込みがない場合でも、本人がお礼を伝えたい、と考えた場合は、「退院した報告」「(退院してなくても)見舞いに来てくれたお礼」という形で贈る方法もあります。
これは、のしの表書きの種類によってどんな意味か判別できるので問題ありません。
次に、のしについてお話ししていきます。
見舞い返し のしはどうするの?
見舞い返しの場合、のしは紅白結び切りにします。
表書きは、退院後の経過によって次の(1)(2)にして、下段は入院していた本人の氏名を記入します。
(1)全快した場合
→全快内祝、全快之内祝、快気祝
(2)退院したけど完治でない・療養が必要な場合
→快気内祝、快気之内祝、退院内祝、御見舞御礼、謝 御見舞
癌のような、退院したけど完治ではない場合や、退院が見込めないけど本人がお礼の気持ちを伝えたい、という場合は「御見舞御礼」「謝 御見舞」にすれば良いでしょう。
また、残念ながら退院できずに亡くなった場合は、香典返しの際に多めの金額にして「志」か「満中陰志」とします。
見舞い返しの相場と品物
見舞い返しの相場は、一般的に見舞金や見舞い品の1/3から1/2程度と言われています。
5000円のお見舞いをいただいた場合、半分だと2500円ですが、半端な場合は3000円でなく、2000円と考えて問題ありません。
そもそもお見舞いやお返しというのはお互いに気持ちのものであり、それを金品に代えて贈り合うものです。お見舞いする側は入院している人への心配と励ましであり、お返しする側は、お見舞いに対する感謝と治ったことの喜びを伝えるためのもの。ですから、お金にすると「いくらに相当する」という決まった額はありませんし、きっちり1/2でないと駄目、というものではないのです。
見舞い返しにおすすめの品物は?
見舞い返しの品物としてはゲン担ぎの意味もありますが、「病気が後に残らない」「病気がきれいに治った」ということで石鹸や洗剤のような水に流す物が相応しいとされていましたが、今の世の中、石鹸や洗剤は好みが様々なのでこれらを選ぶ人は多くないです。(固形石鹸よりも液体石鹸を好む人が多かったり、エコにこだわったり、香りの好みや洗剤の落ちやすさ、銘柄などに煩い人も多いのですよね。)
どちらかというと、和菓子や洋菓子で日持ちする物や、ドリップコーヒー、紅茶など、食べたり飲んだりして消える物がおすすめですし、消耗品ならタオルや、タオルハンカチ類が多いです。
複数名で見舞金額がバラバラな場合は?
連名でいただいたお見舞い金額でバラつきがある場合、基本的には1つ1つ半返しを考えるのでなく、一律で構わないと言われています。
一人当たりの金額が少額な場合は「××株式会社××部御一同様」で個別包装のお菓子を贈るケースが多いです。もし一人当たりの金額が多くて一律にするのを躊躇するなら、個別にお返しする方法もあります。ただ、職場で1人ずつ別の品物を渡すと目立ってしまう可能性があるので次の方法が良いでしょう。
- お菓子等と一緒に、いただいた金額に応じて商品券等(金券類)を渡す
- お菓子等を職場でお返しし、金額の多い人だけ別途プラスαのお返しを自宅に郵送する
見舞いのお返しに商品券でも良いの?
目上の人に現金や商品券は突き返すというイメージになるので失礼だとされてきましたが、最近は現金でなく商品券については寛容になっている傾向があります。人によっては、カタログギフトや不要な消耗品をもらうよりも喜ばれることも多いです。
上のケースのように、連名でいただいて金額がバラバラな場合で個別に半返しを考えたいのであれば、商品券やクオカードのような金券類で調整するのは便利ですし、小さいパッケージなので手渡す際に目立ちにくいです。
また、数万円という高額なお見舞いをいただいた場合は、数千円のお菓子の詰め合わせと一緒に商品券を贈る方法もあります。
さいごに
お見舞いのお返しはマナーとしては退院後10日以内に、といわれていますが、完治していない場合ではまだ落ち着いて贈る気分でないかもしれません。お返しは確かに災害見舞でなければ「するのが当然」という風潮はありますが、見舞い返しは本来、喜びや感謝という気持ちの表れなのです。
体調が芳しくない場合は無理せず、体がもう少し良くなってから、と考えても相手に失礼なことではありません。まずは体をしっかり養生しましょう。
ただ、「区切りをつけたい、お見舞いしてもらったのにいつまでもそのままではいかない」と義理人情を大切にしたい気持ちがあれば、いったん「治っていませんが退院の報告と感謝の気持ちを伝えたい」ということで快気内祝を贈る方法もあります。
どちらも間違いではありませんし、誰かに非難されるものでもありません。
ご自身の気持ちをじっくり考えて時期を選び、見舞いにきてくれた人々へ感謝の気持ちを伝えましょう。
◆お見舞い文例については次の記事が参考になりますよ。