車検でファンベルトのヒビがあった場合、通らないのでしょうか。交換時期の目安はあるのでしょうか。
また、タイミングベルトについては交換時期や費用はどの程度でしょうか。
今回は、ファンベルトとタイミングベルトの交換についてまとめました。
車検はファンベルトのヒビがあると通らないの?
ファンベルトは車検の項目に含まれていないため、多少ヒビがある程度であれば車検そのものは問題ありません。ただし、次の車検まで安全面を保証しますよ、という意味ではありません。ひび割れは劣化したという状態ですし、そのうち駄目になる可能性が高いです。
ちなみにファンベルトって何?という方のためにご説明すると、ファンベルトはエンジンの回転をウォーターポンプ※やオルタネーター(発電機)に伝えて作動させる働きがあります。
(※ウォーターポンプはエンジンを適正な温度に保つため、冷却水を循環させる装置のことです。)
なぜ”ファン”かと申しますと、昔の車(FR:後輪駆動が多かった)ではエンジンを冷却するためのファンを回すベルトだったからです。
今のFF(前輪駆動)の自動車ではエンジンが横に向いて取り付けられているのでファンは電動です。なので、FFの車ではファンを廻さないけれど、名残でファンベルトと呼んでいます。
車検でファンベルトの交換時期と費用は?
ファンベルトの交換目安はゴムの材質やベルトの張り具合等によって異なりますが、状態が良くても5万kmもつかどうかという感じなので、通常は3~4万kmで交換します。(ただ、あまり車を使わない場合でも劣化は進むため、距離が短くても交換するケースはあります。)
また、交換の目安で走行距離以外には次の現象があります。
- 見た目→ヒビ割れ
- 音 →キュルキュルと鈴虫の鳴くような音が出る
この「音」については、ファンベルトが滑って鳴るため、特にアイドリングから発進して速度が乗るまでの間が気になるはずです。
ファンベルトが切れたらどうなるの?
ファンベルトで回している物が何かによって切れたときの影響は変わります。
- ファンだけ回している時に切れた場合→オーバーヒート
- オルタネーターを回している時に切れた場合→エンスト(発電できなくなるため)
- パワステポンプを回している時に切れた場合→パワステが利かなくなる(パワステポンプが止まるため)
道路を走っていない状態ならさほど困る状況にはならないかもしれませんが、走行中に切れた場合は後続車との事故の可能性もあり危険です。
ファンベルトの部品代や交換工賃は数千円で済むので、指摘された時に交換した方が良いでしょう。
車検でタイミングベルトの交換時期と費用は?
タイミングベルトはエンジン部品の呼び名で、エンジンの点火やバルブ開閉などのタイミングを図っている部品のことで、「カム・ベルト」とも呼ばれています。タイミングベルトが切れたら車は走れません。
ちなみに「タイミングベルトが切れる」状態というのは、ベルトがプチンと切れる状態ではなく、ベルトの凹凸がすり減ったため山を飛び越し滑ってカムシャフトを正常に動かせなくなる状態のことです。
タイミングベルトの交換の目安としては使用年数10年または走行距離10万kmとなっています。ただ、エンジンオイル漏れやラジエーター液漏れなどがあってタイミングベルトに付着した場合などは交換時期が早くなるケースもあります。
また、タイミングベルトの素材には心材としてワイヤーが入っていますが、歯の部分はゴム製なので10年経過すれば使用頻度が少なくても劣化します。そのため、車をあまり使わない場合は走行距離が6~8万km程度でも交換になることもあります。
タイミングベルトの交換は3~4万円かかりますが、切れたらもう手遅れなので、必ず10万km未満で指摘された時に交換しましょう。
また、交換についてはディーラーで行うのが安心です。というのも、タイミングベルトはファンベルトと異なりエンジンの動きをきちんと調整しなければならないためです。
タイミングベルトが切れるとどうなるの?
タイミングベルトは切れる前兆が全くありません。
切れる場所も走行中なのか、エンジンブレーキを使っている時か、発進しようとして切れるか、全く予測できない時に突然切れます。アクセルを踏んでも反応が無い場合は「タイミングベルト切れ」のケースが多いです。
タイミングベルトが切れると、エンジンが止まり、ブレーキが非常に重くなります。特に油圧パワステの場合はハンドルが異常なくらい重く感じます。
タイミングベルトが走行中に切れた場合はエンジンが止まる以外にも、吸気排気バルブが曲がったり、バルブでピストンを突いてしまう等の悪影響があります。こうなるとレッカー牽引で移動して修理するしかありませんし、下手をすると後続車との衝突などの事故になる可能性もあるので、切れる前に交換することが重要です。
さいごに
車検制度は現状で問題がないかどうかの判断であり、今後2年間乗れるという安全面の保証ではないのです。そして、今後の安全管理についての責任は当然車の所有者にあります。
ファンベルトやタイミングベルトは車の運転で非常に重要な部品の1つなので、もし部品交換や整備が必要だと指摘されたら、きちんとその状態を理解して必要な整備をしなければなりません。
特にタイミングベルトについては数万円の費用がかかるため躊躇してしまうかもしれませんが、部品交換を怠ると突然切れて事故に繋がる可能性もあります。
ですから、これらの部品は指摘された時点で素直に交換した方が良いでしょう。
◆車検の記事はこちらにもあります。
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