車検でディーラーに見積もりを依頼すると、ブレーキフルードやエンジンオイル等様々な部品を交換するよう勧められます。でも、カー用品店等の見積もりだと交換部品は多くないから「ディーラーは多すぎなのでは?」と思う人も多いでしょう。
ただ、ここで問題なのは、本当に必要かどうかを自分で判断できないことなのです。
車の運転をする場合、自分で整備するのは無理でも、車検で交換すべき部品については知っておく方が良いでしょう。
今回は、車検で本当に交換すべき部品かの判断ができるよう、主な部品についてまとめ、エンジンオイルについては車検以外での交換をどうするかについてもお話しします。
車検でブレーキフルードは交換するほうがいいの?
ブレーキフルードはブレーキオイル、ブレーキ液とも呼ばれているもので、ブレーキペダルとブレーキパッドの間にあります。足でブレーキペダルを踏み込んだ分の力を、ブレーキパッドを経由してブレーキディスクに伝え、ブレーキをかけるという仕組みになっています。そのため、車における非常に重要な部品の一つです。
交換の目安は2年となっています。走行距離が短ければ2年ごとでなくても良いのでは、という意見の人もいますが、メーカー推奨は「車検毎の交換」と言われているため毎回変えた方が良いでしょう。
ブレーキフルードの色は最初無色透明で、湿気を吸ったり劣化して徐々に黄色から茶色、黒色へと変色していきます。変色してもエアが混入しなければ一応問題ありませんが、吸湿が酷い場合はブレーキシステム内が錆びたり、ゴム製のブレーキホースの劣化が進んだりする可能性もあるし、ベーパーロック現象を起こしやすくなります。
毎回の車検で交換しない場合は、次のいずれかのタイミングで交換しましょう。
- リザーバータンク内のブレーキフルードが変色してきた場合
- インジケーターの音が出始めた時
ただ、よほど車に精通している人でない限り車の変化に気付きにくいものです。自分でフルードチェッカー(水分含有量を調べる装置)での測定や分解や点検ができない場合は万が一の事故がないよう、車検のタイミングで交換してしまう方が安心です。
特にブレーキ系は必要な部品を交換しないで放置すると重大事故に繋がる恐れもあるためご注意下さい。
車検で交換すべき部品は?
車検で交換すべき部品として指摘されるのは次のようなものがあります。
部品によって、走行距離で判断するのもあれば、使用年数によって判断するものもあります。
ブレーキパッド
ブレーキパッドは新品の厚さ10mmで使用限界1mmとなっています。走行距離や期間よりも車の使い方によって寿命が左右されるため、定期点検や車検のタイミングで毎回確認するべき部品です。ブレーキパッドは車の減速停止時に摩擦を発生させる重要なパーツで、ブレーキをかける都度擦り減っていきます。
日本車の場合は限界まで使うとブレーキをかける都度異音(「ジー・ジー」)がするようになっているため、音が鳴ったらすぐに交換しましょう。
バッテリー
バッテリーの寿命は2~3年といわれていますが、車の使い方やメンテナンス次第で寿命が大きく変わります。寿命になるとバッテリーが上がってエンジンがかからなくなってしまいます。
最近ではディーラーやカー用品店等でバッテリーの状況判断できるテスターがあるケースが多いので、それで寿命を確認することができます。
エアーエレメント(エアクリーナー)
エアーエレメントの交換目安は走行距離4万km程度です。
車検費用を安くする整備工場だと交換しないケースが多いのですが、エアクリーナーが詰まると空気の流れが悪くなり徐々にエンジンに疲労がたまっていくため、なるべくきちんと交換した方が良いでしょう。
オートマフルード(オートマオイル)
オートマフルードの交換目安は5万kmごとです。きちんと交換した方がオートマの調子が良くなるし寿命も長くなります。
交換せずに乗っていても大きなトラブルは無いかもしれませんが、変速する際のショックが徐々に大きくなっていくはずです。
そして、交換時期が遅くなると交換した際にオイルラインの目詰まりする可能性がありますし、その目詰まりを防ぐためにずっと交換せずに使い続けるしかなくなる可能性もあるのです。
ラジエーターキャップ
ラジエーターキャップの交換目安は5~6年ごとです。
走行距離が短くてもゴムは古くなると硬化するため5~6年に1回は交換した方が良いでしょう。ゴムの硬化が酷くなるとそこから液漏れしてくる可能性が高いです。
タイヤ
タイヤの交換目安は溝の深さ2mmまたは5年程度です。
タイヤの溝は少しずつ摩耗して浅くなりますが、限界深さ1.6mmで、それ以下になるとスリップしやすく危険です。できれば2mm以下になった時点で交換した方が良いでしょう。(車検でも検査されます。)
また、走行距離が短くてもゴム製なので劣化していくため5年程度経ったら交換した方が良いでしょう。
ワイパーブレードゴム
ワイパーブレードゴムの交換目安は2年程度です。
ワイパーブレードゴムはワイパーでウィンドウの水を拭き取っているゴムですが、これは多少古くても使える状態ではあります。ただ、拭き取る力は低下しているため定期的に交換した方が良いでしょう。
ラジエーター液
ラジエーター液の交換目安は2年ごとです。液体の中に凍結や腐敗を防ぐ薬品(LLC)が入っているのですが、2年を超えると水垢が発生しやすくなり、錆びやすくなりオーバーヒートを起こします。新車の場合は寿命が11年のようなラジエター液もあります。
車検のエンジンオイル交換は必要?頻度は?
エンジンオイルの交換は、走行距離5000kmか半年に1回と言われています。ただ、現在は10000Kmか1年に1回という長寿命のエンジンオイルもあります。古いまま使い続けると最悪の場合、焼きつきのようなトラブルになるので決まった走行距離か期間で交換しましょう。
また、エンジンオイルフィルターについてはエンジンオイル交換2回につき1回交換することになっています。長寿命オイルの場合は毎回交換しても良いです。古いまま使い続けるとエンジン内の汚れが酷くなり潤滑不良が起きてしまいます。
ですから、この一般的な考えからすると、車検ごとに行う交換でなく、自分で走行距離や期間をチェックしつつ交換するのが望ましいのです。
ただ、実際には定期点検や車検の際にしか交換しない人も多いです。
特に走行距離が少ない場合は「そんなに走ってないからいいよね・・」と思って放置しちゃいますよね。でも、本当は良くないのです。
なぜ問題あるかについてはエンジンオイルの性質を考えれば分かります。
エンジンオイルは調理油とは異なりますが、同じ油という共通点はありますよね。そして、油は熱を受けると酸化が進み、劣化するという性質があります。
じゃあ、熱の影響を受けない場合は大丈夫なのでしょうか。
残念ながら、一度開封した場合は、殆ど使わなくても少しずつ酸化してしまいます。未使用状態ならさほど進まない酸化も、一度熱を受けてしまうとその後は自然に酸化しやすい状態になっているのです。
素人だとエンジンオイルが酸化しているか、劣化したかが分からないのですが、確実に劣化しているのですね。ですから、車のエンジンオイルは走行距離だけでなく期間も目安に交換しなければなりません。
ちなみに、調理において揚げ物をした場合、繰り返し油を使う人もいるかもしれませんが、何度も使うと色が濃く変化するし、揚げ物の風味やサクサク感が落ちてしまいます。ですから、毎回新しい油を使った方が良いともいわれています。
これと同じように車のエンジンオイルも何度も繰り返し使うと劣化するのです。車検ごとに交換すると2年間同じ油ですよね。「調理における揚げ物油を2年間使い続けますか?」という話と同じなんですよね。
走行距離が少ないのだから大丈夫じゃないの?という人もいるかもしれません。確かに2年間同じオイルでも車は壊れないかもしれませんが、粗悪品を食べ続けて長生きできるかは分かりませんし、車のエンジンもどこまで寿命があるかは不明です。
ですから、車を大事に長く乗りたいのであれば、きちんとした交換目安で交換しておく方が良いでしょう。
さいごに
車にはこの他にも様々な部品があるので、車検の勧められる部品交換は他にも色々あるでしょう。ですが、業者は車検代をボッタクリしようとして部品交換しようとしている訳ではなく、きちんとした理由があるはずです。
だから、「金額が高すぎ!」「部品交換させて稼ごうとしているんじゃないの?」などと疑う前に、「なぜこの部品を交換する必要があるのか分からないので、素人の私にも分かるように説明して下さい」などと聞いてみた方が良いですね。
- 今回交換しないと車検に通らないのか
- 今すぐは必要ないけど2年以内に壊れる可能性があるのか
- 2年間もつかもしれないけど放置すると車に悪影響があるのか
交換するにもいくつかの理由があるはずです。それを訊いてから、車の安全を考えて部品交換するか判断しましょう。
◆車検の記事はこちらにもあります。
→車検は何年おきに行うの?いつからいつまで?費用相場1500ccは?
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