小学校の卒業式で来賓となるPTA会長は祝辞を読む役割があります。
そして、どのような内容を祝辞に盛り込めば良いのか悩む人が多いでしょう。
今回は、来賓に相応しい書き方や参考例文をご紹介します。
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小学校卒業式 来賓PTA会長に相応しい祝辞の作り方とは?
祝辞を書く前に次の基本事項3点を理解しておきましょう。
1. 文章の長さとスピーチの時間
文章の長さは400字原稿用紙3枚、1200文字程度で、時間は3分以内が目安です。
卒業式や入学式における祝辞は、子供達にとっては退屈な時間になってしまうため、伝えたいテーマは1つに絞って、出来るだけ簡潔にまとめましょう。
2. 内容と目線について
来賓として招待されたのですから、その立場から招待された意図を汲みとった祝辞内容であることが大切です。
人生の訓示は目上の人が下の人を諭す言葉なので、校長のような指導者なら適切ですが、来賓としては相応しいとはいえません。
格言を使っても構いませんが、指導するような言い方でなく、人生の先輩としてのアドバイス程度にとどめましょう。
また、小学校6年生となると、学力は小学校教育なのでまだまだ子供といえますが、精神的にはかなり成長しています。諭すような言い方だと子供から見ると「偉そうに言ってる」「説教臭い」と感じられる可能性もあります。
ですから、難しい言い回しは避けますが、子供扱いせず、人生における先輩としてアドバイスする姿勢で文章を考えましょう。
3. 文章を作る時に構え過ぎない
代表でスピーチするのだから立派な文章を作らねばと悩むかもしれません。
でも、一番大切なのは卒業式も入学式も、祝福する気持ちです。
無理に背伸びをして上手な文章を作る必要はありません。
等身大の自分をさらけ出し、自分らしい「何気ないエピソード」「学校生活で得たこと」などをテーマに、これからの人生に希望と勇気を持って進めるよう、心を込めて書くことが大切です。
次のような、基本構成を守るとすっきりまとめやすくなりますよ。
祝辞の基本構成
- お祝いの言葉(卒業生や保護者へ)
- 本題
- 感謝の言葉(学校へ)
- 激励(卒業生へ)
- 年月日と氏名
(2)の本題は、具体的なエピソードを紹介しながら、結論である伝えたいメッセージへと話を持っていきます。
この具体的なエピソードは次のようなものが多いです。
- 子供達の成長(小学校入学時の様子と、学校生活で成長したと実感できる話)
- 自分の体験談(ただし自慢話にならないように。共感や親近感を得たい場合)
- スポーツ選手や実業家などのエピソード
- 格言
選び時に大切なことは聞き手がイメージしやすいことです。
小学校6年生の場合はあまり難しい格言よりも、子供達が6年間で成長したと実感できるようなエピソードの方が聞いていて飽きないでしょう。
卒業式の祝辞で時候の挨拶は?
時候の挨拶をつけるとスピーチが長引くため、省略する方が良いでしょう。
卒業式や入学式では数名が祝辞を述べるため、聞いている生徒や保護者は長くて疲れてしまいます。
ですので、来賓の祝辞はなるべく短く簡潔にすべきであり、時候の挨拶のような装飾的な文章は省くのが望ましいです。
卒業式の祝辞例文 小学校PTA会長の場合
祝辞 例1
祝辞
6年生の皆さん、卒業おめでとうございます。
そして保護者の皆様、お子様のご卒業心よりお喜び申し上げます。
皆さんは6年前の4月にこの○○小学校に入学して、
今と同じように体育館で入学式を迎えました。
1年生のとき、どんな気持ちで入学式に臨んだか覚えていますか。
周りは知らない子供ばかりで戸惑ったり、皆と仲良くなれるか
不安だった人もいるでしょう。
広い体育館や初めて入る教室に右も左も分からず
ドキドキした人もいるでしょう。
でも、小学校での6年間は毎日学習に励み自分の力を養ってきました。
そして、運動会や学習発表会では自分の力を発揮するだけでなく、
クラスの仲間と協力して成功させる力も身に付きました。
6年生の学習発表会での出し物はどのクラスも真剣で、観客の多さに驚くとともに、
皆さん1人1人の堂々とした話し方や周囲と呼吸を合わせて盛り上げる姿は、
さすが最高学年だと感心したものです。
この6年間で皆さん本当に成長しました。
ぜひ自信を持って中学へ進学してください。
中学の入学式では6年前と同じように、新しい生活に不安が出るかもしれませんが、
小学校の6年間で成長したのと同じように、焦らず1つずつ取り組んでいけば
乗り越えて、更に成長できるはずです。
校長先生はじめ教職員の皆様、6年間子供達を温かくご指導いただき有難うございました。
そして保護者の皆様、6年間PTA活動にご協力いただきありがとうございました。
この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。
皆さんの中学での活躍をお祈りしています。おめでとうございました。
○年3月○日
○○市立○○小学校PTA会長 □□ □□
祝辞 例2
祝辞
本日この○○小学校を卒業する皆さん、ご卒業おめでとうございます。
皆さんは6年前に入学した当初、ランドセルを背負うのが大変だったのではありませんか。
入学して間もない小さい子供にとっては1kgのランドセルは大きく重たく感じたことでしょう。
でも、6年間経つと身長が何十センチも伸びて体力もついたから、
ランドセルが小さく軽くなってしまいましたね。
いつの間にか、お父さんやお母さんの身長を抜いた人もいるのではないでしょうか。
また、小学校生活の6年間、皆さんは体だけでなく精神面や学習面も成長しました。
運動会では、迫力ある音楽に合わせて全員息の合ったダンス演技をする姿に圧倒されました。
更に、個々の競技だけでなく係活動では下級生の誘導をスムーズに行ったり、
競技と競技の間に準備や片付けを段取りよく行う姿を見て、
考える力や協力する力、実行する力など、様々な実力を
皆さんがこの6年間で身につけたのだと感激しました。
中学校に入ると新しい仲間との出会いだけでなく、
学習面でのハードルが上がり、部活動も加わって戸惑うことでしょう。
でも、その時には、小学校の6年間を思い出してください。
小学校では1日1日何気なく過ごしていたかもしれませんが、
皆さんは6年間で大きく成長してきたのです。
次の3年間も同じように大事に過ごせば、その時きっと壁を越えられるはずです。
ぜひ、自信を持って進んでください。
保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、心よりお喜び申し上げます。
また、6年間PTA活動に様々なご協力をいただきましてありがとうございました。
最後になりましたが、校長先生はじめ教職員の皆様、子供達を温かくご指導いただき、
PTAとしてだけでなく一人の親として、心から感謝申し上げます。
そして、今後も子供達を温かく見守っていただきますようお願い申し上げます。
皆さんの活躍を楽しみにしています。頑張ってください。
○年3月○日
○○市立○○小学校PTA会長 □□ □□
卒業式祝辞の挨拶のマナーは?
事前に祝辞の原稿をスーツの内ポケットに入れておき、壇上で取り出して読みます。
女性はスーツの内ポケットがないので、手に持って壇上に上がる方法でも大丈夫です。
祝辞にあたっての細かい流れは式場の配置や来賓や先生の数などによっても若干異なりますが、次のようなケースが多いでしょう。
司会者が「ご祝辞をいただきます」と自分を指名した後
(1)来賓席で立ち上がり、椅子の外へ出てから来賓に一礼し、職員席にも一礼する。
(2)壇上に上がり、正面の国旗に深く一礼する。
(3)中央の演壇についたら会場を一度見まわして一歩下がり、一礼する。
司会者が生徒を着席させた後
(4)祝辞をスーツの内ポケットから出して読む(上包みは内ポケットに納めておく)。
【祝辞の主な内容】
- 子供達へ「おめでとう」の言葉と伝えたいメッセージ
- 保護者や教職員へお祝いの言葉
- 年月日、自分の氏名
司会者が生徒を起立させた後
(5)祝辞を畳んで内ポケットに納めておいた上包みに片付け、壇上右上へ置く。
(6)一歩下がって一礼する。
(7)国旗に一礼して壇上から降り、職員席に一礼し、来賓席に一礼して元の席に戻る。
さいごに
祝辞を書き終えた後は、次の事項を確認しましょう。
- 誤字脱字がないか。
- 曖昧な表現がないか。(具体的な表現に置き換えること。)
- 小学校6年生に理解できる言葉か。
自分で作った文章が平凡だと感じても気にしないように。
大切なのは、子供達を祝福し、応援する気持ちを伝えることなのです。
スピーチする時に真剣に卒業生1人1人へ語りかけるように話せば、きっと子供達は受け取ってくれるでしょう。
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