一月一日という曲をご存知ですか。
これは、「年の初めの」で始まる歌なのですが、曲名の読み方で迷う人が多いです。
また、昔の曲なので、歌詞の意味も少々難しいですよね。
今回は、この曲の読み方や歌詞の意味についてお話しします。
一月一日「年の初めの」で始まる歌タイトルの読み方は?
「年の始めの ためしとて」で始まる歌曲は、「一月一日」という曲名なのですが、
「いちがつついたち」ではなく
「いちげついちじつ」という読み方で、上眞行(うえ さねみち)作曲、千家尊富(せんげ たかとみ)作詞による小学唱歌です。
文部省は小学校の祝祭日に行う儀式で歌う曲を選定し、明治26年(1893年)に「祝日大祭日唱歌」として官報で公布したのですが、その中の1曲に含まれております。
祝日大祭日唱歌についてはこちらの記事が参考になります。
実は、一月一日という曲はこの他に小山作之助作曲、稲垣千頴作詞によるものもありますが、有名になったのは千家尊福作詞のものです。
ちなみに千家尊福は出雲大社第80代出雲国造だったことから、出雲大社神楽殿東側に「一月一日」の歌碑が建っているので、もし出雲大社に行く機会があったら是非歌碑を見て下さいね。
下記は歌詞なしの楽器演奏動画です。
一月一日の歌詞は?
「一月一日」の歌詞は次の通りです。
【一番】
年のはじめの 例(ためし)とて
終(おわ)りなき世の めでたさを
松竹(まつたけ)たてて 門(かど)ごとに
祝う今日こそ たのしけれ【二番】
初日のひかり あきらけく
治まる御代の 今朝の空
君が御影(みかげ)に 比(たぐ)えつつ
仰ぎ見るこそ 尊けれ
[/su_quote]
引用元:https://ja.wikisource.org/wiki/%E4%B8%80%E6%9C%88%E4%B8%80%E6%97%A5
二番の歌詞は「あきらけく」と「治まる」が明治の元号を表すことから大正2年に次のように変わりました。
【二番変更後】
初日のひかり 差し出でて
四方(よも)に輝く 今朝の空
君が御影(みかげ)に比(たぐ)えつつ
仰ぎ見るこそ 尊けれ
引用元:https://ja.wikisource.org/wiki/%E4%B8%80%E6%9C%88%E4%B8%80%E6%97%A5
戦前の小学唱歌とはいえ、1964年から2010年のお正月にかけて47年間フジテレビで放送されていたバラエティ番組「新春かくし芸大会」でテーマソングとして使われていたため、大人の大多数が一度は耳にしたことがあると思いますよ。
一月一日の歌詞の意味は?
一月一日の歌詞の意味は次のような内容です。(意訳です。)
【一番】
一年の初めに行う決まりごとの風習として
今の天皇陛下の御代が、終わりなく繁栄し続けることを願って
門松を家ごとに門に立て並べて
ご近所みんなでお祝いする今日は とても楽しいことですね
【二番】
初日の出を見ていると、徐々に光が空に差してきます
四方が曇りなく輝く今朝の空模様は元旦に相応しく、めでたいですね
この空の様子と重ねて天皇陛下のお姿を思い浮かべると
このように空を仰ぎ見ることが、天皇陛下を称える尊い気持ちになります
一月一日の祝日 昔の過ごし方はこうだった!
昭和時代になると、一月一日(四方節)、紀元節、天長節(昭和天皇の誕生日4月29日)、明治節(11月3日)の4つの祝日には家の門柱に国旗を掲げて小学校へ登校して儀式をするようになりました。
この時、子供たちは儀式に出席することから、当然きちんとした服を着て登校する決まりでした。
この儀式では、天皇陛下と皇后陛下の写真を掲げて最敬礼したり、君が代や「一月一日」のような儀礼唱歌を歌います。
その後儀式が終了すると、子供達に先生から紅白の菓子が配られて下校という流れだったのです。
祝日なのに学校に登校するというのは、今の感覚からすると不思議ですよね。
さいごに
戦後生まれの私達にとって「一月一日」という歌曲は「新春かくし芸大会」の楽しいイメージでしかありませんが、「一月一日」の菓子の意味や時代背景を知ると、当時の天皇制について少し実感できるでしょう。
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