目上の方へ一言メッセージを添えたい場面って色々ありますよね。
でも、「来月会えるのが楽しみです」と言いたい場合はどのような言い方が適切なのでしょうか。
- お会いするのを楽しみにしています
- お会いできるのを楽しみにしております
- お目にかかるのを楽しみにしております
- お目にかかれるのを楽しみにしております
このような言葉がなんとなく浮かぶけど、どう違うのか、どれが良いのか分からないと思う人は非常に多いです。
今回は、敬語の使い方で
- 「お会いする」「お会いできる」「お目にかかる」の違い
- 「楽しみに」の使い方と、更に上品な表現
以上についてお話しします。
◆「度々ご連絡してすみません」についてはこちらの記事をどうぞ→度々ご連絡してすみません、で敬語の使い方は大丈夫?メールの時は?
「お会いできるのを楽しみに」の敬語は問題ない?
「会えるのが楽しみです」を敬語にする場合、
このような場合は、敬語の中でも自分の行為をへりくだって相手に敬意をあらわす言い方である謙譲語を使います。
この文章を分解すると「会う」の謙譲語である「お会いする」に「できる」と「楽しみ」になるのですが、一つ一つの言葉について細かいニュアンスを考えると複数の言い方があります。そして、それぞれ微妙に謙譲語としてのへりくだる度合い等が違ってきます。
そこで、どれが良いのか迷った時のために複数の言い方を確認していきましょう。
敬語の種類については?
具体的に確認する前に、敬語の種類について一度確認しておきましょう。
敬語は大きく分けると以下の3種類があります。
- 尊敬語→相手の動作や物について高める言い方をすることで相手を立てる。
- 謙譲語→自分の動作等についてへり下った言い方をすることで相手を立てる。
- 丁寧語→語尾が「です」「ます」「ございます」等、聞き手に直接敬意を表する、丁寧な言い方。
細かく分けると、謙譲語は「動作をする相手に敬意を表すのか、話し相手に敬意を表すのか」の違いによって謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱ(丁重語)に分ける方法があります。また、丁寧語も丁寧語と美化語に分けることがあります。
お会いする お会いできる お目にかかる の違いは?

「お会いする」「お会いできる」「お目にかかる」は全て「会う」の謙譲語です。
ただし、この3つは微妙に違いがあるのですよね。具体的にご説明すると、以下のように「へりくだる度合い」が異なるのです。
- 「お会いする」→一番無難な謙譲語で幅広く使えます。
- 「お会いできる」→「お会いする」よりも少々当たりが柔らかくなります。
- 「お目にかかる」→3つの中で一番へりくだった言い方です。目上の方に対してかしこまった言い方をしたい場合に使うのが良いでしょう。
文法的な解説としては以下のようになります。
「会う」の謙譲語としての基本形は「お会いする」で、謙譲語Ⅰの「付け足し型」になります。「付け足し型」というのは、「会う」という動詞に「お(ご)~する」と前後に入れることで謙譲語にするものです。
また、「お会いできる」というのは「お会いする」+「できる(可能を表す)」となるのですが、「できる」を付け足すことで当たりが柔らかくなり、「お会いする」よりも丁寧な言い方になります。
一番かしこまった言い方である「お目にかかる」は、「言葉そのものが敬語(謙譲語Ⅰ)」です。「付け足し型」よりも、言葉そのものが敬語という方が敬語としての意味合いが強くなるのです。
また、「お会いする」+「できる」=「お会いできる」となるように、
「お目にかかる」+「できる」=「お目にかかれる」という言い方もあり、「お目にかかる」よりも更に丁寧な形になります。ただ、「お目にかかる」と同様に、かなりへりくだった上に丁寧な言い方なので、余程の目上の方に使う場合、という感じですね。
楽しみにしてます の敬語は?
一方、「楽しみに」については、「楽しみにしています」というように、「いる(居る)」に丁寧語の「ます」をつけることで丁寧な言い方(丁寧語)になりますが、目上の方への言葉としては、やはり謙譲語の「おる(居る)」を丁寧語の「ます」と組み合わせて「楽しみにしております」とします。
ただ、「楽しむ」よりも、もっとあらたまった場で使える言葉もあるのですよね。それが、「心待ち」という言葉です。古くから使われてきた雅な言葉なので、期待しつつ待っている様子が品良く伝わってくるのです。
「楽しみにしております」でなく「心待ちにしております」にすることで、目上の方への好感度を上げることに繋がるでしょう。
さいごに
その他、「お会いするのを」等の最後を「~のを」でなく、「~ことを」「~日を」「~機会を」という言い換えも可能です。
具体的には、
- 「お会いすることを」「お会いする日を」「お会いする機会を」
- 「お会いできることを」「お会いできる日を」「お会いできる機会を」
- 「お目にかかることを」「お目にかかる日を」「お目にかかる機会を」
- 「お目にかかれることを」「お目にかかれる日を」「お目にかかれる日を」
となります。これはどちらかというと実際に使う場面によってご自身の感覚でしっくり感じる言葉を選ぶのが良いでしょう。
ちなみに、かなりへりくだった、しかも丁寧な言い方としては、以下のような組み合わせがあります。
- 「お目にかかれますのを楽しみにいたしております」
ただ、かなりバカ丁寧な言い方なので、使う相手を選ぶべきです。かなりかしこまった相手でなければここまで使う必要はないですし、「お目にかかれるのを楽しみにしております」でもかなり丁寧な言い方です。ですので、目上の方であっても堅苦しくしたくない場合は、標準的な「お会いできるのを楽しみにしております」程度で十分でしょう。
「会う」の謙譲語は1つではなく、へりくだる度合いが異なります。ですので、謙譲語を使う相手との関係によって使う言葉を選ぶのが良いでしょう。
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