言葉遣い

批判を甘んじて受ける の意味は?謝罪文で誤用を防ぐ使い方は?


「批判を甘んじて受ける」

という言葉を時々テレビのニュースで聞くことがありますよね。
この言葉は、なんとなく分かるけど言葉で説明しようとすると難しいのではないでしょうか。

我が家でも、先日ニュースでこの言葉を耳にした子供が訊ねてきたのですが、きちんとした答えが言えずに困ってしまい、子供と一緒に辞書で調べてみました。

今回は、
・「批判を甘んじて受ける」の意味
・謝罪文等で誤用を防ぐための注意点
・「甘んじる」について他の使い方

以上についてお話しします。

批判を甘んじて受ける の意味は?

「批判を甘んじて受ける」の意味は、「批判に反論せず受け入れる」ということです。

「甘んじる」という言葉は馴染みのない人が多いと思いますが、元々は「甘み」と「する」という2語が合わさった言葉だったのです。そして、次のように音変化しました。

甘み・する
  ↓
甘んずる
  ↓
甘んじる

また、元々の意味は「甘み・する」という文字通り「甘いと感じる」でした。ここから「満足する」「楽しむ」という意味に繋がっています。

では現在の辞書はどうなっているのでしょうか。
「甘んじる」について辞書を見ると、以下の2つが意味として出てきます。

(1)与えられたものを大人しく受け入れる。仕方ないと思って我慢する。
(2)(与えられたものを受け入れて)満足する。楽しむ。納得する。

(この場合の「与えられたもの」は具体的なものというよりも、環境や能力などの抽象的なものになります。)

(1)と(2)は意味が随分違う気がしますよね。でも、共通していることもあります。それは、上からの命令に従ったり、物事の流れに従う等、受動的な意味で使われるという性質です。

また、使い方としては、昔は(2)「満足する」という意味で使われることが多かったのですが、時代の変化や言葉の変化により、今では「満足する」ではなく、(1)「仕方ないと思って我慢する」という意味で使われることが多くなっています。


甘んじて を誤用しないためには?謝罪文で批判されないポイント

「批判を甘んじて受ける」をよく耳にするのは、世間から何か批判を受けた時に謝罪文やお詫びの言葉として使われることがあり、それがテレビや新聞で大きく報道されるからでしょう。先日の日大のアメフト部の事件でも出てきましたし、政治家が問題発言をした際のコメントなどでも時々ありますよね。

でも、Yahooニュースのコメントを見ていると、多くの人がこの言葉に対してクレームを出しています。コメントをじっくりと読んでいると「あ、そういうクレームを言いたくなるのも分かるわ~」と思うのですが、多数が賛同していても間違うことはあるので、確認の意味でも辞書は必須ですよね。(日本語は時代の流れで意味が変わったり、誤用が正しく認定されることもあるので。)

で、「甘んじて」の意味を再度確認したところ、次のように時代と共に変化したようです。

語源は「甘いと感じる」→「満足する」の意味で使われていた。
   ↓
否定形である「甘んぜず」という使い方が増える(満足せず、の意味)。
   ↓
ネガティブな意味合いを含んだ言葉として使われるようになる。

ネガティブな意味合いについては「仕方ない」「不本意ながら」「納得いかないけど」「本心ではないけど」「言い分はあるけど」「不満はあるけど」「我慢する」というような言葉が挙げられますね。

つまり、「批判を甘んじて受ける」は、冒頭では「批判に反論せず受け入れる」とだけ書きましたが、その裏に隠されているニュアンスを補足すると、
「批判には納得いかないし、こちらの言い分はあるけど、反論せず受け入れます」
となるのです。

日本人の多くは、この隠されたニュアンスを漠然と理解しています。だから、罰を受ける時にこの言葉を使うと、
「この人全然反省していないんじゃない?」
「本当に自分が悪いことをしたと思っているのか!?」
と非難されてしまうのですね。

ただ、全面的に使ってはいけない言葉かというと、言葉をよく解釈してみると微妙な感じかもしれません。
というのも、「甘んじる」という言葉が「与えられたものに対して受動的な意味で使われる」ということです。
この場合、「満足する」という言葉だと分かりにくいのですが、相手から与えられた批判には色々な内容があるけれど、不満を言わずに「全面的に受け入れる」という気持ちを伝えたくて発した言葉かもしれないのです。

ただ、今の世の中、「甘んじる」に「満足する」という意味があることを知っている人は多くありません。それに、そういう発言をする人がそこまで言葉のセンスがあって使った言葉かは分かりません。そう考えていくと、批判を浴びた時には、使わない方が良い、という結論になるでしょう。

では、批判された際にどんな言葉が良いかというと、
「批判を真摯に受け止めます」「厳粛に受け止めます」
というような言葉の方が今の日本人には好印象を与えるでしょう。

ただ、「真摯に」「厳粛に」という言葉は確かに自分の誠実な心を表現するには良いのですが、「甘んじる」の表す「相手が与えるものへ全面的に従う」というニュアンスが出せないので、心から反省しているなら「心よりお詫びいたします」という言葉を付け加える方が良いのですよね。もっと細かく言えば、「批判」という言葉よりも、「お言葉」「ご指摘」などの言葉を使う方が自分が相手の言い分をきちんと受け入れた印象を与えます。

ということで、まとめると、

お言葉を真摯に受け止め、心よりお詫びいたします
ご指摘いただいたことを厳粛に受け止め、心よりお詫び申し上げます

このような言葉の方が好印象ですね。


甘んじる の使い方は他にあるの?

このような話をすると「甘んじる」という言葉は悪いイメージになって使いづらそうだなあと思うかもしれません。でも、基本的な使い方を知っておく方が良いので少しお話ししますね。

「甘んじる」の2つの意味、

(1)与えられたものを大人しく受け入れる。仕方ないと思って我慢する。
(2)満足する。楽しむ。納得する。

のうち、滅多に使われていない「満足する」の意味では、

・清貧に甘んずる(貧しい暮らしだけど、私欲なく行いを正しく生きる、という意味。)
・現状に甘んじる

このような言葉がよく使われていると思います。
まあ、どちらかというと、
「現状に甘んじることなく精進します」
というように、「現状に満足せず」という否定的な意味で使いますね。

さいごに

「甘んじる」という言葉は使うにはとても難しい言葉です。
「与えられたものに対して全面的に受け入れる」という意味はあるけれど、今の世の中ではどちらかというと「不満はあるけれど」受け入れる、という印象を与えてしまう言葉になってしまったため、始末書や謝罪文に使うのは避ける方が良いでしょう。
くれぐれもお気を付けください。





この記事を書いた人

運営者:祐希
もうすぐ50代に突入する主婦です。
若い頃はキャリアウーマンだったことから主婦としての常識を知らず、嫁ぎ先で親戚に後ろ指さされた経験があります。その後、優しさと賢さを兼ね備えた亡き姑にマナーや処世術を教わったお陰で主婦スキルが向上しました。
このブログでは、姑から教わったマナーの一般常識を中心に、生活に役立つこと、道具や手続き、車関係等について語っています。
【ホーム】闘う嫁のマナーノート

Twitter→@yomemanners

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