シーツは綿が良いというけど、実は麻の方がもっと優れている、という話をご存知ですか。
でも、麻は涼しいから夏向きであって、冬に使ったら寒いでしょう?
と多くの人が思うようです。
ところが、本当は、春夏秋冬使える快適な素材なのですよね。
今回は、麻が綿より快適な理由や、リネンとラミーの違い等も含めて、麻に関する基礎知識をまとめました。
シーツの綿より麻の方が優れている点とは?
綿と麻は植物が原材料なので体に優しい、吸湿性の良い天然繊維です。
毛玉が出来ない、静電気が起きにくいなどの特長は綿と麻に共通していますが、麻の方が次の点で優れています。
【強度】
麻は天然繊維の中で最強で、水に濡れると更に強くなるという性質があります。丈夫で長持ちする素材です。一方、綿は洗えば洗うほど綿繊維が落ちてしまい、安物だと特に薄くペラペラな状態になるので麻に比べて使える年数が短いです。
【通気性・放湿性】
洗濯した時の乾きが綿よりも4倍程度早いので、洗い替えシーツがなくても大丈夫なことが多いです。また、汗を掻いた時にも早く乾くためベトつかずに快適です。
吸湿性については綿も同じようにあるのですが、放湿性は麻だけの特長です。放湿性が優れているということは、生地に湿気が多く入った場合に一定以下にしようと外に湿気を逃してくれる働きがあるので、肌に触れてもベタッとしないのですよね。一方、綿は吸湿性だけ優れているので、湿気を吸った後そのまま残るのでシットリしたり、ベタついたりします。
【熱伝導率】
麻は体温の熱を奪うのが早いので、触った時に涼しさ、爽やかさを感じさせてくれます。
【その他】
麻には天然抗菌作用があり、汚れを弾いて繊維に入るのを防ぐ作用もあるので清潔だし、雑菌の繁殖も抑えることが出来ます。そのため、昔のヨーロッパではキッチンでよく使われていました。また、そのため雑菌の繁殖しやすい夏場に使う素材として非常に重宝されてきました。
麻の欠点
綿も皺になるといいますが、麻はそれよりもっと皺になりやすいと言います。これは、生地の伸びが少ない性質が原因で、一度形が変わって皺がつくと元に戻りにくくなるのです。
でも、麻には上でお話ししたように様々な長所があるし好む人も多いです。そして、そのような人にとってはこの「皺が好き」という人もいますし、「皺なんて大して気にならない」という人も少なくありません。なので、アイロン掛けせずに洗濯後にピンと張って干すだけの人が多いようです。
シーツの麻は冬でも快適って本当なの?
麻はどちらかというと春夏向けの衣料として知られていますが、これは、湿度の高い日本の梅雨から真夏に使うと麻の長所である通気性や放湿性、熱伝導率の良さなどを効果的に活用でき、涼しく感じさせる素材だからです。
だから、麻は夏だけと思い込んでいる人が多いのですが、実は冬も意外と暖かく感じる、ほぼ1年中使える素材なのです。
冬の寒い時期にも放湿性や熱伝導率の良さが役立ちます。
綿の場合は麻よりも湿気が多い状態で布団に入ることが多く、冬に布団の中に入った場合は最初に人の体温で暖める必要があり、湿気が多いとその分、体の熱が奪われることになるのですが、湿気の少ない麻だとその分奪われる熱が少なくて済むのです。
また、麻の繊維組織は中が空洞状態なので空気を多く含んでいるため、一度布団が暖まると保温性も高く持続するのです。
ただ、冬も快適に使える麻というのは質の良い素材限定になってしまいます。
日本では麻というと「ザラザラ」「ゴワゴワ」という印象を抱く人が多いのですが、快適な麻はシルクのような艶があり、肌触りも非常に良いものです。冬でもヒンヤリせず、しっとり肌に触れてくる感じで暖かさを感じるといいます。
では、どんな麻が良いのかというと、実は麻には複数種類があり、それによって全然違います。次にそのお話しをしますね。
麻のリネンとラミーで性質の違いは?
「リネン」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。
リネンというのは、病院やホテルで使うシーツ等の寝具やタオルという意味で使われるので、その名称だと思う人が多いのですが、元々の意味は、麻の一種である、亜麻(あま)の繊維を使った織物を指します。
現在は麻より綿の方が日常使う素材として主流ですが、昔のヨーロッパでは涼しい地域で育つ麻の方が主流だったことから、麻の一種である「亜麻」=「リネン」であり、それをシーツ類に用いていたのが、
シーツ類(麻以外も含む)=リネン
という意味に変化したのでしょう。
ですが、厳密には、亜麻(リネン)以外にも数十種類もの麻があります。その中で代表的なのが、亜麻(リネン)と苧麻(ちょま・ラミー)の2種類で、現在日本国内ではこの2種類が麻として流通しています。そして、その特徴は次の通りです。
・リネン(亜麻・あま)
→柔らかい、滑らか、サラサラ、肌触りが綿に似ている。高級素材。
・ラミー(苧麻・ちょま)
→硬い、ちくちく、ゴワゴワ。肌に密着しない。強度と吸収力が抜群。
つまり、冬でも快適に使える麻は、リネンなのです。
そして、かなり高級なのですよね。良い品の場合は洗濯すればするほど柔らかく、快適になるそうです。
ちなみに、かなり値段が張りますが、次のような麻があります。
さいごに
麻は涼しい素材だから冬は使えない、と思い込む人が多いのですが、ヨーロッパでは昔から高級素材としてシーツ類に使われてきましたし、冬でも綿よりも快適に使えるといわれています。
ただ、麻にはリネンとラミーの2種類があり、ヨーロッパで使われてきたのはリネン、私達多くの日本人が麻のイメージとして抱いているのはラミーであり、2つを比較すると素材の違いもありますが、値段の差も非常に大きいです。
とはいえ、麻は通気性等で綿よりも優れた点が多いし、良い商品を買えば耐久性の点でも綿より勝るので何年も劣化せずに使い続けることができます。長い目で考えればとてもおすすめな素材といえるでしょう。