節分には豆まきをしますよね。
でも、いざ当日になると、やり方を忘れて
「あれ?鬼は誰がやるんだっけ?」
とか、
「豆まきはどこから始めるんだっけ?」
「掛け声の順序はどっちが先だっけ?」
などと悩むのですよね。
今回は、節分の豆まきのやり方について多くの人が迷うであろうポイントについてお話しします。
節分の豆まき やり方は?
いつやるの?何時ごろ?
今の世の中、夜遅くまで働いているサラリーマンが多いので、最も気になるのが「豆まきする時間」ですよね。
ネット情報を色々見ると「鬼は夜遅くに出るものだから、豆まきは夜に行う」という見解が多いのですが、節分行事というのは元々平安時代の宮中行事が発端で、室町時代になり豆まきを行うようになり、江戸時代になって庶民へと広まったとされています。そして、2009年に出版された医療ジャーナリストの鈴木昶著作「くすりと民俗(2)疫病追い出す節分」によれば、節分行事が庶民へと広まった際には、「節分の当日夕暮れに柊鰯を戸口に立てたり、寺社で豆まきをしたりするようになった」というような内容が書かれています。
ですから、昔のやり方を踏襲するのであれば、「夕方日の沈む頃」と考えて良いでしょう。(そもそも、昔は電気がそんなに普及しておらず、夜遅くに豆まきを行ったとは考えられませんよね。)でも一方で、有名な成田山新勝寺などで行う節分の豆まき行事は昼間に行いますよね。これはイベントの一種ですし、人が多数訪れることを考慮しているからでしょう。
このように様々な豆まきがあることから、「豆まきは昼間行うもの」という人もいるし、「いや、夕方だよ!」という人や「夜遅くにやるよ!」という人がいても全然不思議じゃないのです。実は、節分行事は時代と共に変化し近代になって定着した行事であり、「こうしなければならない」という絶対的なルールはないのですよ。
これからお話ししていきますが、地域によって豆まきの豆の種類も違うし、掛け声の掛け方や回数も違って当たり前なんです。
夜遅く帰ってくるお父さんにとっては、日が沈む頃に豆まきをやるとなると帰宅が間に合わず、必然的に鬼になってしまいますよね。「お父さんは不在だから鬼でもいいや」という家庭なら子供とお母さんだけでやってしまうのもアリでしょうけど、折角の行事だし、家族皆が参加できるよう、帰宅が遅いお父さんが要る場合は、「鬼は夜中に来るから夜遅くにやろう」「家族全員に福が来るように」という口実で、お父さんの帰宅に合わせて夜遅くにやって家族で楽しんでも良いと思いますよ。
豆まきの豆はどんな豆を使うの?
豆まきに使う豆は大豆を煎ったもの(煎り豆)を使います。節分用の言い方として福豆という言葉が使われています。
なぜ大豆かというと、米と同じように穀霊が宿るとされて、神事ではよく使われてきたことや、米より大きいため鬼にぶつけて祓いやすい、という理由があります。また、神事にありがちな語呂合わせ(縁起担ぎ)としては、「豆は魔目(魔の目)にぶつけるもの」「魔滅(魔を滅する)」という意味にも通じることがあります。
煎る理由も語呂合わせで「豆(魔目)を射る」という意味に通じています。
現実的な意味としては、生の大豆をまいた場合に拾い忘れると芽が出てしまうのですよね。芽が出ると「魔の目」が出ることに通じるし縁起が悪いじゃないですか。
まあ、普通は節分豆まきというと、スーパーの節分コーナーで購入した煎り豆(福豆)を使う人が多いので敢えて考える必要はありません。ただ、時々「煎り豆が売り切れで豆まきが出来ない、どうすれば良いの!?」ということがありますが、その場合に生の大豆を使うのはNGなのでご注意ください。
ちなみに、煎り豆が手に入らなかった場合、自分でも簡単に煎り豆が作れるので試してみると良いですよ。作る場合はこちらのレシピが美味しいです。
→簡単おいしい!煎り大豆の作り方
豆まきの豆はいつ準備する?
豆まきの豆は「豆をまく時に袋から開ければいいや」と考える人も多いでしょうけど、「神気をいただく」という意味で、できれば撒く前に開封して桝に入れ、暫くの間神棚にお供えしておく方が良いですね。神棚がなければ家の中で高い位置に半紙などを敷いてお供えするような方法もあります。
とはいえ、これも地域によって異なるので絶対にお供えしなければならない訳ではありません。でも、お供えすると「お正月の鏡餅」と同じように、神に捧げて下したものを家族皆でいただいて1年の健康祈願をする、というイメージにも繋がるし、行事感覚を堪能できるはずです。
ただ、煎り豆を何日も前からお供えしておくと湿気るという問題があります(;・∀・)
なので、我が家では節分当日の朝に出して夕方までお供えしておくだけにしてます。この辺は臨機応変に考えて良いと思いますよ。
地域によって使う豆の種類が違う
地域によっては、大豆でなく落花生を使うところもあります。
落花生だと床に落ちても殻を開ければそのまま食べられるし、片付けも簡単です。そこで、それを知って便利だという理由で採り入れる家庭もありますし、小さい子供がいる家庭の場合は誤飲による窒息を防ぐために採り入れるというケースもあるようです。
ちなみに落花生は煎り豆と同様に「芽(魔目)が出てこない」ので縁起の意味でも問題なく使えますよ。
豆まきの鬼は誰がやるの?
豆まきでは役割として「鬼」「まく人」の二役がありますよね。
ですが、節分の鬼というのは具現化されたものではなく「目に見えない邪気」なのです。だから、本来の意味からすると「鬼」の役は不要なんですね。ただ、子供が楽しめるように、という意味で節分が近づくと煎り豆を買うと鬼の面がサービスで貰えたり、幼稚園の活動で鬼のお面を作ることもあるし、「豆まきには鬼がいるもの」という認識の人が多いです。
これはどちらが正しいかというのを考えるよりも、節分という日本の風習を楽しみながら覚えるという意味で、鬼役がいた方が親近感が湧いて良いかもしれません。
そして、現代のイメージとしては、「家長であるお父さんが鬼役となり豆をぶつけられる人」「子供が豆をまく人」というような感じですが、本来のやり方としては、
豆をまく人は、家長(多くの場合、お父さん)。
ということになっています。
ただ、家族の中で誰かが年男や年女、厄年の場合、「豆まき=鬼退治=厄払い」となるので、その人が豆をまくということになっています。
とはいえ、小さな子供がいる家庭の場合は「一緒に楽しむ」ということが何よりも大切なので、子供達が撒きたいならやらせてあげたり、家族皆で一緒に豆まきしたりして楽しむほうが良いですね。
豆まきはどこから始めるの?セリフは?
豆まきは最初に家の中に居る鬼を追い出すことから始めます。ですから、家の一番奥の部屋から始めて、順に出口である玄関へと向かって豆をまいていきます。
(1)鬼を追い出す
窓や玄関を開けて、「鬼は外」を2回言ってから、豆を外に向かって2回まきます。
(2)福を招き入れる
窓や玄関を閉めて、「福は内」を2回言ってから、豆を部屋の中に向かって2回豆をまきます。
この(1)(2)を繰り返しながら玄関へと向かうのが一般的ですが、地域によっては豆をまく回数やセリフの言い回し、撒く順序などが異なります。「鬼も内」というように、鬼を呼び込むセリフもあるそうです。
また、マンション等の集合住宅だと外に向かって投げようとすると共用部分で人に迷惑をかける可能性もあるし、窓からまくと階下に落ちる可能性もあります。ですから、撒き方は家の状況に応じて変えてくださいね。
そうそう、豆をまく腕の動きについては、投げつけるというよりも「種まきをするように」下から上へ撒くのが良いでしょう。
さいごに
豆まきは「絶対この方法じゃないと駄目」というものではなく、時代の流れと共に変わって今の形になった行事です。ですから、一般的なやり方ってどうなの?とあまり心配せず、家族の状況に合わせて皆が楽しめる時間帯や方法で楽しむのが一番です。ぜひご家族で豆まきを楽しむことで福を招いてくださいね。
◆豆まきの後片付けで悩んだらこちらの記事をご覧ください。
→豆まきでまいた豆を捨てるのはOK?綺麗な片付け方と拾った後の食べ方
◆節分の記事はこちらにもあります→節分に関する気になるあれこれ