雛人形を飾ろうと思って1年ぶりに箱を開けたら
防虫剤のツーンとしたキツイ臭いが部屋中に広がって辛い!どうしよう!?
・・・このような事態に陥ったことはありませんか。
今回は、雛人形の防虫剤の臭いがキツイ場合にどうすれば良いのか、そうならないよう、片付ける際の防虫剤の入れ方や、適切な量や種類等についてお話しします。
雛人形の防虫剤の臭いが気になる場合はどうすればいいの?
雛人形の防虫剤なの臭いが酷い場合にすべきことは、一にも二にも、換気です。
防虫剤の臭いは、匂いで臭いを誤魔化すような市販のスプレー消臭剤を使っても意味ありません。しかし、防虫剤の臭いの成分は揮発性があるので、風通しの良い場所に干しておくだけで自然に臭いが消えていくものです。
それでも、臭いが気にならなくなるまでには2~3日かかります。少しでも換気を早めるために便利なものがこの2つ。↓↓
- 扇風機
- 重曹
扇風機で臭いを早く上手に消す方法
扇風機をうまく活用することで、臭いを早く消すことができます。大事なのは、扇風機の向きです。
扇風機は窓の外へ向けると効果が高まります。初めて知ったときには、逆じゃないかと思いましたが、これには理由があるのです。扇風機を外に向けることで、扇風機の後ろから防虫剤の臭いを含んだ空気が吸い込まれて、屋外に吐き出されます。部屋にこもった空気を入れ替えて行くことで、早く臭いを消すことができますよ。
この方法であれば、窓の少ないマンションのような集合住宅でもできますね。
重曹で上手に消臭する方法
重曹は、ご存知のように自然派消臭剤です。劇的な効果も即効性もありませんが、地道に臭い成分を吸着してくれます。
◉箱の中でまず消臭
時間的に余裕があれば、雛人形を飾る前に箱の中で消臭しておきます。口が広く、ある程度の深さのあるケースに入れていくと、こぼれずにできますよ。箱の中に十分なスペースがない場合には、雛人形と重曹をいれたケースを大きなビニル袋などに入れて消臭するのもいいでしょう。
◉物も重曹も広げて消臭
臭いが酷くて広範囲の場合は、重曹を大量に(500gから1kg程度)使ってみると良いですよ。この場合は小さな空き瓶に入れるのではなく、新聞紙を広げて重曹をその上に敷くように置きます。表面積が大きくなるので、臭い吸着も早まります。仕事などで日中に換気ができない場合には、便利な方法です。
◉ 重曹の消臭効果は1ヶ月程度はあります。防虫剤の臭い取りを終えた重曹が、他の場所の消臭や、日頃のお掃除で再利用することができますよ。小瓶に分けてトイレや下駄箱等のニオイ消しに使っても良いですし、その後も洗剤代わりに掃除に使う方法もあります。
雛人形の防虫剤の種類はどれが良いの?
防虫剤は大きく分けると次の4種類があります。
- ピレスロイド系
- パラジクロロベンゼン
- ナフタリン
- 樟脳(しょうのう)
◉ 現在の雛人形の防虫剤については、ピレスロイド系が主流です。
ピレスロイド系は安全で最強かというとそうでもありません。他の種類と一緒に使うと化学反応でシミができる可能性があります。また、ピレスロイドの弱点は、金箔や銅の金具類に直接触れる変色する可能性があることです。
屏風などには金箔や金具類が使われることが多いです。しまう箱と屏風の間に十分なスペースがない場合には、防虫剤を入れない方が安全な可能性が高いです。とはいえ、防虫剤を入れないと虫の心配は否めません。しまう前には、しっかり埃を落として、風通しの良い場所で陰干しておくことが重要です。
◉ パラジクロロベンゼンは即効性があるのですが、有効期限も最長6ヶ月程度。プラスチックや金糸銀糸等に化学反応が起きるため、雛人形の防虫剤としては不適格です。
◉ ナフタリンは長期間使えるので、人形の防虫剤として使われることもあります。人形専用の防虫剤が入手できない場合は、普通の洋服用として売られているナフタリンを使っても構いません。ただし、毒性が強いことと、前に使っていた防虫剤と種類が異なる場合は、完全に成分が揮発していない場合に化学反応が起こってシミが出来たりして傷む可能性があるので注意しなければなりません。
◉ 樟脳は和服や人形の防虫剤として昔から多く使われてきています。毒性も強く、臭いも強めなので注意が必要です。
雛人形の防虫剤は色々ありますが、臭いが気にならないタイプがおすすめです。下記はちょっと値段が高いのですが、ニオイがつかないタイプだし、親王飾りの場合にシートで包めるので使いやすいです。
雛人形の防虫剤は道具にも必要なの?
道具については、防虫剤を入れても良いものもありますが、注意が必要な場合もあります。
屏風と同様に、道具に使われている金属やプラスチック樹脂などと防虫剤の成分との化学反応でシミが出来たり溶けたりする可能性があるからです。
雛人形によって材質が様々異なるので一概に言えませんが、台やぼんぼり、屏風、お道具セット等で樹脂や金糸銀糸、銅などの金属が使われているものは、なるべく防虫剤を入れずに、埃を丁寧に取って、天気の良い日に陰干ししてから片付けることが大切です。
雛人形の防虫剤の入れ方は?
防虫剤の入れ方に細かい決まりはありませんが、防虫剤の性質上、次のことに注意する必要があります。
(1)人形に直接触れないように入れること。
防虫剤の性質によっては人形の絹に触れると化学反応を起こして溶かしてしまったり変色させてしまう恐れがあります。もし防虫剤に触れてしまう場合は、あらかじめティッシュ等で包んでから入れるようにします。
(2)毎年同じ防虫剤を使うこと。
毎年同じ防虫剤を使うようにしましょう。箱の中に、薬剤の成分が残っているかもしれません。成分が残っているところに、新しい別の防虫剤が加わると、化学反応を起こして人形が傷んでしまう可能性もあるからです。
ただ、防虫剤の臭いが気になるから今年の防虫剤の種類を変えたい、同じものが売ってない、、ということもあります。その場合は、完全に防虫剤の成分が揮発してなくなるまで、箱も陰干ししてから防虫剤を入れるようにしてくださいね。
(3)防虫剤を必要以上に入れ過ぎないこと。
防虫剤は小さいので、何個も入れる方が効果がありそうと思うかもしれませんが、小さい箱の場合は1個で十分ですし、大きい箱でも2個程度で十分です。適量については、箱の裏面等にある取扱説明書に記載されています。使う前に確認しましょうね。
入れすぎると、翌年に防虫剤の臭いが気になってしまう可能性もあるので避けましょう。
(4)片付ける前にホコリ取りをしっかり行うこと。
虫を防ぐためには防虫剤、という思考に陥りがちですが、実は、埃が少なければ虫もつきにくいものです。
お雛様を飾る期間は僅か数週間ですが、その間にホコリはどんどんたまってしまいます。できれば、飾っている間も時々羽バタキなどで埃を取るようにしておく方が良いでしょう。
雛人形の片付け方
雛人形の片付け方と防虫剤の入れ方は次の手順で行いましょう。その際、素手で触らず手袋を使いましょう。
- 顔の埃を筆や綿棒で払う
- 顔に紙をかぶせる
- 人形の体の隅々まで丁寧に羽バタキ等で掃除する(着物の裾など凹凸が激しいので丁寧に1ヶ所ずつチェックする)
- 人形を箱に入れ、人形と箱の間のスペースに緩衝材を入れ(シートタイプの防虫剤の場合は人形を包んでから入れる)、刀や扇などの付属品も入れる
- 上に軟らかい紙をのせてから防虫剤を上に置く(防虫剤は上から下へ作用するため、下でなく一番上に置くこと)
さいごに
雛人形に虫がつくと大変なので防虫剤を入れるのですが、多く入れたから効果が高くて良い、ということではなく、防虫剤の臭いが酷くなったり、直接人形に触れるとシミができたり傷んだりする可能性もあります。
ですから、使う場合は防虫剤が直接人形や道具に触れないように入れるなど、防虫剤のパッケージに書かれている使用上の注意事項を守って使うようにしましょう。