神道の場合、香典返しはどのようにすれば良いのでしょうか。
熨斗の表書きは何と書けば良いのでしょうか。
また、お礼状は仏教の香典返し例文をそのまま使って良いのだろうか、と悩む人もいますよね。
今回は、神道における香典返しについて仏教との違いが分かるようまとめました。
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神道における香典返しの熨斗の表書きは?
香典返しといえば、「志」という表書きが一般的ですが、これは仏教の場合の表書きであり、神道では使いません。
では、神道における香典返しでは、どのようにするのでしょうか。
神道では、以下のようになっています。
- 水引→黒白5本の結び切り(西日本など一部の地域では、黄白のケースもあります)
- 表書き→「偲び草」または「偲草」(しのびぐさ)、「五十日祭偲び草」を使います。地域によっては「榊葉(さかきば)」や「上」のケースもあります。
ちなみに、蓮の花の熨斗紙は仏教専用なので、神道の香典返しでは蓮の花を使いません(普通の白無地の熨斗紙を使います)。
香典返しのお礼状は神道だと仏教とどう違うの?
神道における香典返しのお礼状を書く際は、仏教の香典返しお礼状と異なる言葉を使う部分があります。
特に、以下の点にご注意ください。
(1)「永眠」ではなく→「帰幽」(きゆう)
「帰幽」は神道における、人が亡くなることを指す言葉です。故人の御霊が幽世(かくりよ、冥界のこと)に帰り、その後祖先のもとに帰って祖先の神々の仲間入りをする、という考え方であり、仏教で使うような「永眠」(永久に眠る)という意味とは異なります。
(2)「四十九日法要」でなく→「五十日祭」
仏教では四十九日法要ですが、神道では通常「五十日祭」を区切りとしています(三十日祭のケースもあります)。
(3)「供養のしるし」→「偲び草のしるし」「謝意を表したく」等(「供養」を使わない。)
仏教におけるお礼状文例には「供養のしるしまでに」のような言葉を使うことが多いのですが、「供養」は仏教における考え方なので神道では使いません。ちなみに、供養は、仏や菩薩、死者、先祖等に心を込めて供物(お香、花、線香、食べ物など)を捧げることを意味します。
では、神道では供養をしないかというとそうではなく、「祖先の霊を慰める」という表現であり、「鎮魂(たましずめ)」「慰霊」等になります(ほとんど同じようなものですが、用語が違うのですね・・・)。
ですが、「供養のしるし」という文中の言葉として考えるのであれば「偲び草のしるし」(「故人を偲ぶ気持ちを表す」というような意味)等の言葉で置き換えるか、無理にお礼状に盛り込まずに、相手に対する感謝の気持ちを強調して「謝意を表したく」のような言葉を使うのも1つの方法です。
香典返しのお礼状例文
香典返しのお礼状例文を2種類ご紹介します。
【文例1】
拝啓
先般 [続柄][俗名] 帰幽の際には
ご丁寧なご弔詞並びにご芳志を賜りまして
誠に有難く厚く御礼申し上げます 本日
五十日祭を営みましたので謝意を表したく
心ばかりの品をお届け申し上げました
どうぞお納めくださいますようお願い申し上げます
書面にて失礼ではございますが
お礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
平成○年○月
[施主氏名]
謹啓
この度 [続柄][俗名] 帰幽の際には
ご丁寧なご弔詞をいただき また
ご鄭重なる御玉串料を賜りまして
誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげ様で五十日祭を滞りなく相済ませました
つきましては偲び草のしるしまでに
心ばかりの品をお届け申し上げましたので
何卒お納めくださいますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書面をもって謹んでご挨拶申し上げます
敬白
平成○年○月
[施主氏名]
さいごに
神道と仏教では使う用語が異なるため、香典返しのお礼状における文面も若干異なる部分があります。また、熨斗の表書きなども異なるので、香典返しを贈る際には注意してくださいね。
今回の記事が参考になれば幸いです。