味噌を買おうと考えてスーパーの味噌売り場に行くと、いつも全国各地の味噌が沢山並んでいて、どれが良いのか、自分がどれを選べば良いのか毎回悩んでしまう・・・という人は案外多いものです。味噌によってはパッケージの中身が見えにくくて、どんな味噌か分かりにくいですしね。
今回は、味噌の種類と選び方について、原材料である麹や、地域性、粒の有無等による分類を中心にお話しします。
◆味噌こし器を使うかどうか悩んだら、こちらの記事がおすすめです。
→味噌こし器は必要?美味しくする使い方は?使わない場合の粒は?
味噌の種類の選び方で迷う場合はどう考えれば良いの?
味噌には様々な種類がありますが、何が違うかというと、
使う原材料や麹の割合、熟成期間、麹の割合、粒の有無等
このような要因で味噌の色、味、風味などが変わってくるのです。
先ずは、原材料による違いについてお話しします。
味噌の原材料による違い
味噌の材料といえば、大豆、麹、塩の3つがあり、材料の比率からすると大豆の量が大部分を占めています。
この中の麹というのは、コウジカビ等を大豆、麦、米の3種類のどれかを使って繁殖させたものです。また、どの材料を使うかによって味噌の呼び名が決まってきます。
- 大豆麹を使う→豆味噌
- 麦麹を使う →麦味噌
- 米麹を使う →こうじ味噌(米味噌)
ところで、赤味噌と白味噌、という分類もありますよね。
これは、材料でなく製法の違いです。ただ、一般的には米麹を使う「こうじ味噌」の中の分類と言われています。
赤味噌の方が白味噌よりも、麹の発酵時間が長いのが大きな違いです。
白味噌に使う麹は米や大豆を茹でて作るのですが、茹でるということはお湯の中に糖が流れやすくなり、発酵はするけど元の色に近い状態です。一方、赤味噌の場合は長期間発酵させるため、大豆などの材料が糖と反応して赤みが強くなっていくのです。しかも、甘みが塩味に代わるし、味噌の香りも強くなるのです。
ところで名古屋の方では豆味噌である八丁味噌が有名ですが、この味噌は豆麹を長時間熟成させることから赤味噌の一種と分類付けすることもあります。
味噌の種類と地域性と甘口辛口の違いは?
ところで、味噌の銘柄を見ると、地域名の書いてある味噌も多いですよね。
例えば、信州味噌とか仙台味噌、会津味噌、九州麦味噌。地域の名前も、どんな味噌かを知るヒントになります。まず、地域によって使う材料が違います。
日本の多くの地域では米を使ったこうじ味噌(米味噌)が多く作られていますが、中部地方(愛知、三重、岐阜)の味噌といえば豆麹による豆味噌、四国や九州地方の味噌といえば麦麹による麦味噌というのが一般的です。ちなみに麦味噌は「田舎味噌」とも言われています。
下の写真は九州の麦味噌ですが、味噌の中に赤っぽい細い線が所々にあります。これが麦の粒です。(ちょっと見づらくてすみません。)
味噌の甘口辛口の違いは何が原因?
甘口辛口の違いは食塩の量と、麹の比率(大豆に対する比率)によって決まります。麹の大豆に対する比率が高ければ高い方が甘口になるのです。
ちなみに比率は以下の通りです。
- 甘味噌→塩分5~7%、麹比率15~20%
- 甘口味噌→塩分7~12%、麹比率12~17%
- 辛口味噌→塩分11~13%、麹比率5~10%
辛口味噌は甘味噌の約2倍もの塩分が含まれているのですよね。味噌汁作りの際に、同じ量の味噌を入れても塩気が濃いと感じたり、物足りないと感じたりするのは、塩分濃度の差も影響しているのですよね。
そして、同じこうじ味噌であっても熟成期間による赤白の違いや、甘口辛口などの違いもあることから、地域によって様々な味があります。
具体例をいくつか挙げると次のようなものがあります。
- 信州味噌→淡色 辛口味噌
- 仙台味噌→赤色 辛口味噌(熟成期間10ヶ月以上)
- 越後味噌→赤色、白色両方有。
- 江戸甘味噌→赤色 甘味噌(これは江戸時代の味噌であり、現代とは全然違います。現在は東京でも信州味噌が主流です。)
- 関西 →白色 甘味噌(西京味噌)
味噌の種類で粒の有無による違いとは?
あまり大きな分類項目ではないのですが、味噌汁を作る際に「味噌こし器」を使うか悩む人もいるので粒の有無による選び方もあるということを知っておくと良いですよ。
粒のある味噌を「粒味噌」、粒のない味噌を「こし味噌」と言いますが、この粒は、麹や大豆の粒を細かくすり潰して漉したかどうか、という違いです。
次の味噌は「粒味噌」です。
次の味噌は「こし味噌」です。
では、粒の有無は、その形以外には違いがないのか、というと実はそうではありません。
こし味噌は味噌こし器を使わなくて済むという利便性があります。
でも、粒のある味噌のほうが大豆や米麹の香りを堪能できるのですよね。こし味噌のように粒がない状態だと、当たりは滑らかだけど、香りや風味が少し粒味噌よりも落ちてしまうのです。
ですから、粒の有無についての視点で言えば、
- 楽する方法を選びたい(味噌こし器を使わないで済む方法)
- 美味しさを選びたい
という問題かもしれません。
さいごに
味噌選びに正解はありません。
最終的には作る人、食べる人の好みであり、生まれ育った時に食べてきたものが一番親しみ深いかもしれません。
ただ、結婚して違う環境で育った人と一緒に暮らすとなると、お互い妥協は必要ですし、その上でお互いが一番美味しいと感じる味噌を追求していくのも1つの方法でしょう。
味噌は風土を活かした味噌作りが行われてきて、どの地域の味噌も、それぞれの良さがありますし、これを機にいろんな味噌を試して「我が家に合う味噌」を家族で楽しみながら選んでみては如何でしょうか。今回の記事がお役に立てば幸いです。