「あさり、はまぐりは海で採れるため塩水で砂抜きし、
しじみは川や湖で採れるため真水で砂抜きする」
と昔、料理教室で習ったのですが、最近になり「しじみは塩水で砂抜きする方が良い」と聞いて驚きました。
でも、実際にどちらが正しいのか分からず混乱している人が多いようです。
今回は、塩水と真水のどちらが正しいのか、効果的な砂抜きのやり方や冷蔵冷凍保存方法について調べてまとめました。
しじみの砂抜きは塩水真水どっち?
しじみの砂抜きは「1%食塩水で行うと美味しさが増す」といわれています。
真水での砂抜きも可能ですが、この方法だと旨み成分が減ってしまうのです。
この理由は浸透圧にあります。
しじみにはコハク酸、アラニン、グルタミン酸等の旨味成分が非常に多く含まれているのですが、真水に浸けてしまうと浸透圧の作用でこれらが体外へ出てしまうのです。
では、美味しく食べるためにはどうしたら良いのか?というと、逆の浸透圧を利用します。
現在販売されているしじみの多くは大和しじみで生息地域は宍道湖(島根県)、十三湖(青森県)、利根川河口(千葉)等の海水と淡水の混ざった汽水域であり、塩分濃度は0.3~0.5%程度です。
ですから、逆に生息地域よりも少し濃い1.0%程度の食塩水に浸けると、しじみが体内の浸透圧を塩水の浸透圧と同じにするため、旨み成分であるアラニンやコハク酸などを作りだして非常に美味しくなるのです。
では次に、旨みを増す砂抜き方法についてお話しします。
しじみの砂抜き 旨みを増すやり方は?
【使う道具・材料】
ボウル、ザル、新聞紙
水(500ml)、塩(小さじ1=約5g)
【やり方】
(1)1%食塩水を作ります(水500mlに対して塩小さじ1=約5g)。
(2)しじみを流水の中で擦り合わせながら洗います。
(3)ボウルの中にザルを入れ、その上にしじみが重ならないように並べます。
(ザルを入れるのは、しじみが一度吐いた砂を飲み込まないようにするため。)
(4)1%食塩水を入れます。水量は、しじみが完全に浸からない程度で(大気から酸素を取り込めるよう顔を出せるようにして)窒息死※を防ぎます。
(5)新聞紙をかけて暗い場所に放置します。
(砂抜きは、夏は3~4時間程度、冬は4~5時間行います。
冬の方が砂抜きを長めにするのは、寒い季節のしじみは深く潜っているため砂を多く吸い込んでいる可能性が高いからです。
ただ、それ以上長く行うと弱ってしまい美味しさを損ねてしまうので、やり過ぎないように注意して下さい。)
(6)ザルに上げ、濡れ布巾などで乾燥を防ぎ3時間程度放置します。
(2枚貝は水に浸かっていなくても体内にエネルギーを得られるため3時間程度放置しても問題ありません。
ただ、乾燥すると弱ってしまうため、濡れ布巾等で包んでおくことは非常に大切です。
しじみは通常は底に潜って生息していて、水に完全に浸かっていても窒息死しません。
でも、通常生息していた水域よりも濃い濃度の塩水に浸けるということは、しじみにとってかなりのストレスになります。
そして、止水状態になるため、水中の酸素が不足して酸欠で死ぬ可能性もあるのです。
そこで、砂抜きする際は、しじみを水面すれすれで顏を出せるような状態にしてやり、大気中からも酸素を取り込めるようにしてあげることが大切なのです。
しじみの冷蔵冷凍保存方法は?
しじみは、はまぐり、あさりと同様に冷蔵庫や冷凍庫で保存可能です。
上記砂抜きを行ってから調理まで時間が開く場合は冷蔵庫か冷凍庫で保存しておきましょう。
ちなみに、冷凍保存した場合、旨味は増すのですが、歯ごたえは若干落ちます。
これは、はまぐりやあさりも同じです。
冷蔵保存、冷凍保存いずれの場合も、砂抜き後に貝が生きているか確認します。
半開き状態の場合は死んでいる確率が高いので、触ってみて閉じるかどうか確かめ、どうやっても閉じない物は死んでいるため捨てましょう。
冷蔵保存
ジップロックに入れて乾燥しないようにして保存します。
美味しさは増すのですが、身が徐々に痩せていきます。
3日以上食べない場合は冷凍保存の方が良いでしょう。
冷凍保存
冷凍すると旨味成分は生の状態よりも4倍以上になるといわれています。
冷凍保存は2~3ヶ月程度が目安です。
ジップロックに入れて冷凍庫で保存します。
冷凍保存したしじみを調理する際は、解凍しないで凍ったまま沸騰した湯の中に入れて加熱します。
(急に加熱する方が開く確率が高いため。)
まとめ
しじみには、汽水域に住む大和しじみの他に、淡水域に住む真しじみもいると言われています。
そして、真しじみは、食塩水でなく真水で砂抜きさせるそうですが、実際にはスーパーや魚屋に出回っているしじみは、ほぼ全て大和しじみだそうです。
ですから「しじみは食塩水で砂抜きする」と覚えておいて問題ありません。
◆あさり・はまぐりの砂抜き方法や、貝の開く仕組みはこちらの記事をご覧ください。
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