あさり、はまぐり、しじみ等の2枚貝を加熱すると「生きていれば開くし、死んでいれば閉じたまま」といわれていますが、実は、貝が開くか開かないかだけで生死は判別できません。
でも、2枚貝を調理加熱するとなると、貝が開くか開かないかは気になります。砂抜きする際にも砂をきちんと吐くかという問題以前に、元気に活動しているかの識別は開閉を見てしまうものです。
今回は、そもそも貝を加熱すると開くのはなぜか、加熱して開かない場合でも食べれるのか、砂抜きで開かない場合の疑問や不安についてまとめました。
貝を加熱すると開くのはなぜ?
2枚貝を加熱すると開くのは蝶番(ちょうつがい)と貝柱が次のような相反する働きをするからです。
(1)2枚貝の通常の状態
蝶番にある靭帯(じんたい)は常に殻を開こうと引っ張る働きをしています。
一方、貝柱は蝶番が開こうとするのを防ぐため、内側から殻を閉じようと引き寄せる働きをしています。
(2)死んだ場合
貝は死んで時間が経つと口が半開き状態になります(死後硬直が解けた状態)。
これは、貝柱の閉じようとするエネルギーが無くなったため伸び切ってしまい、蝶番の開こうとする働きを防げず開いてしまうのです。
(3)加熱した場合
加熱した場合、次のようになります。
- 生きている貝→貝柱のたんぱく質が変化して縮むことに加え、接着力が弱くなるため殻から外れてしまい、口が開きます。
- 死んだ貝→たんぱく質が腐敗して機能しなくなり、加熱しても身が縮まないため、口が開きません。
- 冷凍した貝→冷凍すると貝は死にますが、冷凍した為たんぱく質の腐敗を防いでいることに加え、貝柱を動かすためのエネルギーはまだ残っているため、生きている貝と同様に加熱すると口が開きます。ただし、ゆっくり解凍した場合はエネルギーが別の部分で消費されて無くなるため、加熱した段階では開く力が残らず、開かなくなります。
まとめると、
- 生きている貝は加熱すると開く
- 死んだ貝は加熱しても開かない
となりますが、生きていても加熱した時に開かない貝もあるということです。
この原因としては次の2つが考えられます。
- 蝶番(靭帯)の開けようとする力が弱い
- 貝柱の閉じようとする力が強すぎる
貝が開かない場合でも食べれるの?
では、貝が開かない場合には、こじ開けて食べることはできるのでしょうか。
生きているけど蝶番や貝柱の力のバランスが悪かったために開かなかった、という可能性もあります。
でも、生きていたか死んでいたのかは誰にも分かりません。また、いつ死んだかも分かりません。
ちなみに、死んだ貝は臭いが強烈です。
貝は死ぬと腐敗菌の増殖が非常に早くすぐに傷み、毒素が発生します。
そのため、死んだ貝の殻を無理に開けると臭いし、他の貝と一緒の鍋でやると他の貝まで食べられなくなるため、こじ開けて食べようとするのは危険です。加熱しても口を開けない貝は、口を無理に開けたりしないで捨てる方が無難でしょう。
貝は加熱すると皆どうせ死ぬのだし、元々死んだ貝を食べるのと同じじゃないの?と思うかもしれませんが、この毒素は加熱してもなくならないため、食べるとお腹を下す可能性が高いです。
貝を砂抜きしても開かないのは失敗?
スーパーで買ったはまぐり、あさり等の砂抜きをしようとしたら、なかなか口を開かない、砂吐きしない、ということがあります。
これを見ると、貝が死んでいるのか、食べられるのか、心配になります。
でも、貝が閉じているのは生きている証拠です。逆に、殻が開いてしまったら死んだということです。
きちんと計量して3%食塩水を作った場合は、死んだ訳ではなく、水が冷たすぎてビックリして閉じてしまっただけという可能性が高いです。
貝はとても臆病なので、適温である15~20度程度の水を用意した方が良いのです。
貝の快適な環境を作って暗い場所で放置しておけば少しずつ舌を出して動き出します。
まとめると、
- 水温は15~20度のものを用意する
- 水は貝が全部浸からない程度にする(深いと窒息死する)
- 暗い場所で静かに放置しておく
これらを確認して、暫く様子を見て下さい。
まとめ
貝が開くか開かないかというのは非常に気になるところですが、加熱していないで口が開いているのは死んでいる、閉じているのは生きている状態です。
逆に、加熱した場合、基本的には開けば食べられるのですが、閉じた状態イコール死んでいたもの、とはなりません。
蝶番や貝柱の強さによって、生きていた貝だけど加熱しても開かなかったという現象があるからです。
ただし、こじ開けて食べるというのは危険行為なので、やはり開けずに捨てるのが無難なようです。
◆実際の砂抜き方法はこちらの記事が参考になります。
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はまぐり 砂抜きのやり方と砂抜き後の保存方法 3%食塩水の作り方