お寿司を食べるときに、手が食べるの正しいのか、箸で食べるのが正しいのか、どちらで食べる方が美味しいのかは、どちらでもいいような気もしつつ、せっかくだから美味しい方で、、など、気にし始めたら気になることの一つです。
食べ始めたらまた気になるのが、お醤油の付け方や食べる順序。
せっかくのお寿司です。味わい尽くすためにも、気になることは確認し、余計なエネルギーを使わないようにしたいものです。
お寿司の食べ方〜手と箸どっちが正解?
早速の結論ですが、
寿司の正しい食べ方は、手と箸どちらでも良いのです!
握り寿司の始まりは立ち食いファーストフード
寿司には握り、(手)巻き、稲荷、ちらし等様々な種類の寿司があります。その中でも握り寿司は歴史は浅く、江戸時代に誕生したとされています。
当時の「握りずし」は、江戸前(東京湾)で獲れた魚貝を下処理したものを、お酢と塩で味付けしたすし飯で握られており、その大きさは現在の2~3倍と大きかったようです。そして、屋台で立ったまま、手で食べるのが普通。
仕事中にゆっくり休憩できない職人たちが、屋台に立ち寄り手軽に手づかみでパクッと食べる、当時のファーストフードのような位置付けです。現代の駅前の立ち食いそばのような感覚でしょうか。
明治後半にもなると、漁法や流通の発展に加え、製氷産業が盛んになったことで、魚の保存状態が劇的によくなります。生の刺身を扱える寿司屋が増え、寿司種(寿司ネタ)に煮切り醤油を塗って出す現代的な江戸前寿司が確立されました。
明治になると、ネタが刺身に塗って出す、現代では一般的な提供方法は、この時代に確立されたスタイルです。
大正時代なると、電気冷蔵庫を寿司屋でも使い始めます。寿司種(寿司ネタ)の種類もさらに増え、サイズも小さくなっていきます。さらに、関東大震災の影響で寿司職人が全国に散らばり、刺身+酢飯スタイルの握り寿司が全国に広まったと考えられています。
寿司屋のあり方自体も、立ち食いスタイルの屋台から、店舗のカウンターや座敷などで座って食べるようになると、箸を使って食べるようになったのです。
寿司屋のあり方も、サイズも変遷したのですから、「手で食べなければならない」ものでも、「手で食べてはいけない」ものでもないのですね。
お寿司は手で食べると美味しい理由
お寿司好き、お寿司通の中には、「寿司は手で食べるほうが美味しい」と言う方もいらっしゃいます。
・すし飯がこぼれにくい
・すし飯がふわっとしたまま食べられる
・醤油をつけやすい
などが理由のようです。
すし飯は、ご飯粒の間に空気を入れ、ふんわり緩めに握られています。親指・人指し湯・中指の3本で上と左右の3方向から摘むようにすると、崩さず潰さずに食べられます。
私も何度か試しました。確かに、ふんわりしたまま、食べやすいのですが、手が汚れるのがどうにも苦手。結局、箸派で落ち着いています。
お寿司の上手な醤油のつけ方、食べ方は?
お寿司をそのままお醤油につけると、すし飯が崩れたり、お醤油がつき過ぎたりしますね。上手な付け方を覚えておけば安心です。
握り寿司の上手な醤油の付け方・食べ方は?
- お寿司を一度横に倒し、親指、人差し指、中指の3本で寿司を優しくつまみます
箸の場合も同様に、一度横に倒してからつまみます - 寿司種(寿司ネタ)を下に向け、寿司種(寿司ネタ)先の方に醤油を少しつけます
- そのまま(寿司の上下は逆さのまま)口に入れ食べます
決まり事ではありませんが、寿司種(寿司ネタ)を下にして口に入れると、舌に寿司種(ネタ)があたることで、より美味しくお寿司の味を楽しめます。
置かれたままの形でつまみ、お醤油につけがちですが、すし飯が崩れやすく、また醤油皿にすし飯が落ちたりもします。寿司種(寿司ネタ)につけることで、お醤油のつき加減も調整しやすいですし、崩れにくくなりますよ。
私も随分とオトナになってから知ったものですが、正に驚愕、目から鱗でした。。
薬味などが乗った握り寿司の上手な醤油の付け方・食べ方は?
薬味などが寿司種(ネタ)に乗った握り寿司の場合は、横に倒すと薬味などが全部落ちてしまいます。
付け合わせの生姜(ガリ)に醤油をつけ、その醤油付き生姜(ガリ)を刷毛(ハケ)のようにして、握り寿司に醤油をつけ(塗り)て食べましょう。
食べる時も、無理に寿司種(寿司ネタ)を下にせず、そのまま食べてもいいでしょう。
軍艦巻きの上手な醤油の付け方・食べ方は?
いくら、ウニなどの軍艦巻きでは、横に倒すと寿司種(ネタ)が落ちてしまいますね。この場合も、上述の薬味などの乗った握り寿司と考え方は同様です。
付け合わせの生姜(ガリ)や、軍艦巻きのきゅうりなどに醤油をつけます。その醤油付き生姜(ガリ)やきゅうりを刷毛(ハケ)のようにして、軍艦巻きにに醤油をつける(塗る)、あるいはそのまま軍艦巻きに乗せて一緒に食べます。
太巻きなどの上手な醤油の付け方・食べ方は?
太巻きやかんぴょうやマグロなどの細巻きでは、海苔の部分や、切り口にお醤油をつけましょう。
そもそも、巻いてある寿司種(ネタ)に味がついている場合もありますので、つけてもつけなくても構いません。
寿司種(寿司ネタ)をはがして醤油につけるのは?
上述のように、お寿司は横に倒してお醤油をつける、あるいは付け合わせの生姜(ガリ)などに醤油をつけるとキレイに美味しく食べやすいとされています。そのため、寿司種(寿司ネタ)をはがして醤油につけるのは、あまりオススメできません。
小難しい板前のいるようなお寿司屋さんだと、内心「チッ」とかされているかもしれませんね。。決まり事ではありませんが、ご注意ください。
寿司の食べ方の順序はあるの?
「寿司は左から食べるのがマナー」と言われることがありますが、本来、寿司を食べる順序に「こうしなければならない」というルールはありません。
ただ、味のさっぱりしたものから食べはじめ、味の濃いものに移っていく方が、味の違いをより楽しめるでしょう。
味の濃い穴子や脂の多いトロなどを先に食べてしまうと、さっぱりした味わいのタイヤヒラメなど白身の魚の味がわかりにくくなるからと言われています。
・白身から赤身へ
・さっぱりからこってりへ
・握り寿司から巻物へ
・お椀もの(お吸い物やお味噌汁)、巻物は終わりの合図
「巻物は終わりの合図」とも言われます。巻物を注文することで板前さんに食事の終了告げるともされています。お椀ものも同様です。
「おきまり」(松竹梅など、お店側からのおすすめコース)で、一皿盛りで出てくる場合には、左から順に食べられるように並べられていることもあります。
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握り寿司は、江戸の職人さんたちのファーストフードのようなものです。時代に共に、進化し変化してきました。
いまでは、高級系と回転寿司やデリバリーなどのお手軽(低価格)系に二極化しているとも言われています。寿司マナーなどいろいろ言われていますが、そもそも食べ方にも注文の順にも決まり事はありません。
そうはいっても、せっかくですから、美味しくキレイに食べたいものですね。今回ご紹介したものもひとつの基本的な作法や考え方です。マナー講師や、気難しいあるいは格式高い寿司屋では、異なる作法もありますが、批判されたり、後ろ指さされるようなものではありませんので、ご安心ください。