あなたはスープを飲むときのマナーに自信がありますか。
スープを飲むときは手前から奥に向かってスプーンを動かす人もいれば、逆に動かす人もいます。また、スープをすくった後のスプーンをどのように運んで口に入れるか、最後の置き方などの細かいことまで自信を持っている、という人は意外と少ないようです。
というのも、スープの正式な飲み方にはイギリス式とフランス式があって、ごちゃ混ぜになっている人が多いからなのですよね。
今回は、スープを飲むときのスプーンに関するマナーを中心に調べてまとめました。
スープを飲むときのマナーについて
スープの飲み方のマナーは、イギリス式とフランス式の2種類がありますが、日本には明治時代に洋食文化とともにイギリス式のマナーが入ってきたので、現在もこちらが主流となっています。
イギリス式とフランス式の違いは色々あるのですが、最もよく知られていることは「すくい方が真逆である」ことで、次のようになっています。
【イギリス式】
スプーンをお皿の手前から奥に向かってすくいます。
【フランス式】
スプーンをお皿の奥から手前に向かってすくいます。
(もう1つ、スプーンをお皿の横から中央へ向かってすくう、という説もあります。)
イギリス式とフランス式、なぜこのようにマナーが全く真逆かというと、どちらも相手への思いやりから生まれたマナーなのですが、次のように着眼点が異なるからなのです。
【イギリス式】
相手にお皿の裏側が見えると失礼という考え方。
そのため、そうならないよう、スープの残りが少なくなったら皿の手前を持ち上げて(傾けて)スープをすくいます。
【フランス式】
相手にスープがはねたりこぼれたりしないようにという考え方。
そのため、スープを奥から手前にすくいます。また、お皿の奥を持ち上げて(傾けて)スープをすくいます。
スープを飲むときのスプーンを口に入れるのは駄目?
スープのスプーンの動かし方についても、イギリス式とフランス式では異なります。
【イギリス式】
スープをすくった後のスプーンの向きはそのままで、スプーンの左横を口につけて飲みます。(この方法だと、手首は回転させる必要がありません。)
【フランス式】
スープをすくった後のスプーンの向きは、自分に対して直角・・・つまり、スプーンの先端が口に向くようにします。このようにすると、口を大きく開けなくてもスープを口に入れやすくなるし、こぼさなくて済むのですよね。(この方法だと、スプーンの先端から飲むため、手首を45度回転させることになります。)
そして、スプ―ンを口に入れるかどうか、の問題については、
スプーン全体をパクッと口に入れるのはNGで、
スプーンの端を少しだけ口に入れるのが正解です。
つまり、
・イギリス式ではスプーンの横側を少しだけ口に入れる
・フランス式ではスプーンの先を少しだけ口に入れる
となります。
ただ、スープを「ゴクゴク飲む」のは厳禁ですから、実際には口に入れるというよりも、下唇にそっと触れるように乗せてスプーンの柄を少し傾けてスープを流し込むという方法になります。
ちなみに、スプ―ンには楕円形だけでなく丸い形のものもありますが、丸いスプーンの場合はどこに口をつけて飲んでも大丈夫です。
アメリカのスープのマナーは?
ところで、イギリス式もフランス式もスプーンを口に入れるのは駄目ですが、実は、アメリカのマナーではOKです。飲むというよりも口に入れてスープを食べるという感覚なのでしょう。アメリカ式はイギリス式とほとんど同じやり方なのですが、この「スプーンを口に入れる」という点で違いがあります。
まあ、かしこまったテーブルマナーが必要な場合には、日本人の場合、多くの場合はイギリス式であり、時々フランス式の人もいる程度なので、あまりアメリカ式というのは登場しません。ですから、スプーンを口に入れるかどうかの問題については、イギリス式とフランス式共通の「端だけを口に入れる」という認識の方がスマートかもしれません。
スープの飲み方で最後は?
スープを飲み終える際の注意点として、以下のことを覚えておきましょう。
(1)スープをパンにつけて食べない
美味しいから最後まできれいに味わいたい、とスープにパンをつけて食べる人もいますが、実はマナー違反です。スープは料理に添えるソースと異なり、それだけで完成された料理なので、そのまま食べるものです。
(2)スープは最後に少し残す
残り少なくなると上でお話ししたようにイギリス式では皿の手前を(フランス式では皿の奥を)少し上げて飲むのですが、やり過ぎは美しくありません。お皿を急な角度で傾けて最後まできれいに飲むというのは完全にマナー違反ですから、そこまでしないようにしてください。
スープのスプーン 置き方は最後どうするの?
さて、最後に飲み終えた時のスプーンの置き方ですが、基本的にはナイフやフォークの置き方と同じように、以下のいずれかの方法で置きます。
・スープ皿の円を時計に見立てて「4時」になるように置く。
・スプーンをお皿に、自分に対して平行に置く。
いずれにしても、スプーンの腹を上向きにして置きます。逆に、スプーンの背を上に向けると「スープが不味かった」という意味になってしまうのでご注意ください。
ちなみに、カップの場合には、カップの受け皿の手前か奥※に、横にして(自分と平行にして)、スプーンの腹を上向きにして置きます。
※受け皿の手前か奥のどちらにするか私自身あやふやだったのでマナー本を複数確認したところ、
・どちらでも良い
・手前に置く
・奥に置く
という3つの見解がありました。
カップスープの場合の根拠として紅茶のマナーがあります。紅茶のカップは飲み終えた後に奥に置くことから、それと同じようにする、という見解と、紅茶とスープは別だから手前に置く、という見解と、そこまでこだわらなくて良い、という3通りの考え方があるようです。
いずれにせよ、これらは全て、「給仕の人がお皿を下げるときにスプーンを落とさないように安定感がある置き方をする」という配慮からきているので、平らな皿の置き方が2通りあるのと同様、そこまで厳密に考えず、横向きなら手前でも奥でも大丈夫そうですね。
さいごに
スープを飲むときのスプーンの使い方は、日本では「皿の手前から奥にすくう」というイギリス式が主流ですが、「奥から手前にすくう」というフランス式でも間違いではありません。
イギリス式とフランス式のマナー動作は確かに真逆ですが、元々は食事をする際に周囲の人を不愉快にさせない、相手への思いやりから成り立ったものだから、どちらでもスムーズに食事できるなら良いのです。
実際の食事の場面で忘れてしまった場合は、どっちにすべきかしら等と考え過ぎずに「相手を嫌な気分にさせないようにするにはどう動かすのが良いのか」と考えてスープを飲んでみましょう。
そうそう、飲むときの基本は、音をたてないことです。
日本の蕎麦やうどん等の麺類以外は音を立てないのが万国共通のマナーなので、これだけは忘れないでくださいね、