https://yomemanners.com

*この記事にはプロモーションが含まれています

食事のマナー

スープを食べる(飲む)ときのスプーンの使い方や最後の置き方は、それよりも大切なことは?

洋食のテーブルマナーには、大きく「イギリス式」と「フランス式」に分けられます。

フランス料理店で食事をするのであれば、フランス式の作法に則るのがベストでしょうが、イタリア料理、ドイツ料理、日本で「洋食」と括られる食事をする際には、何式の作法に則ればいいのかは、マナー講師により作法もわかれそうです。一部マナー講師によると、「最近はフランス料理が広まっているのでフランス式が主流」との説を見かけたこともありますが、そうなんですか??知りませんでした。

いずれにしても、テーブルマナーに関する唯一の答えはないわけですから、あまり力まずに、楽しく美味しく食べることを第一に考えるのがベストでしょう。

スープを食べる(飲む)時はイギリス式、フランス式?

まず、基本事項の確認になりますが、日本では公式(公的)な晩餐会ではイギリスのテーブルマナーが採用されています。

明治6(1873)年、天長節(天皇誕生日)の晩餐や御前会食における公式料理はフランス料理と定められました。ただし、テーブルマナーは皇室外交でも関係の深かったイギリス式が採用されたことによります。

あらら、というか、いいとこ取りなのか、ご機嫌伺いなのか、スタートからテーブルマナーの境界線が曖昧なのは、日本らしいと言えば日本らしいですね。

ですから、日本国内で西洋料理を食べる時には、イギリス式でも良さそうですが、これといった定めやルールが存在するわけではありません。人として食事をする際の、最低限の作法を守ることが最優先であり、相手に対する配慮です。

【最低限の食事作法】
・食器やカトラリーはガチャガチャ音を立てない
・口にものを入れたまま喋らない
・音を立てて食べない・・・ズルズル、くちゃくちゃ、いずれもです
・テーブルに肘をついて食べない
・食器は持ち上げない
・器に口をつけない・・・持ち手のついているスープカップは別

フランス式やイギリス式をゴチャ混ぜにしないのがスマートと言えるでしょう。正式なコース料理でなければ、どちらかの作法だけを覚えておくのが、省エネな解決法です。

イギリス式でのスープの食べ方

・スープはお皿の手前から奥にむかってすくいます
・スプーン横側(左横)を口につけ、スプーンを傾けて流すように飲みましょう
・スープが少なくなったら、皿の手前を少し持ち上げて(相手側に傾けて)すくいます

フランス式でのスープの食べ方

・スープはお皿の奥から手前、もしくは横から中央にむかってすくいます
・持ち上げたスプーンの先端が自分の方を向くように回転させます
・スプーンの先端を口につけ、スプーンを傾けて流すように飲みましょう
・スープが少なくなったら、皿の奥を少し持ち上げて(自分側に傾けて)すくいます

カップ式の器の場合の食べ方

持ち手のついたカップ(ブイヨンカップやタスカップ)であれば、持ち手をもって持ち上げても構わないとされています。

この場合でも、最初から持ち上げて飲むのでなく、できればスープが残り少なくなった時に、持ち上げるのが好ましいとされています。スプーンも、スープスプーンよりも小さなブイヨンスプーンが用意され、食べやすくなっていることと思います。

スープを食べる(飲む)時にもっと大切なことは?

イギリス式、フランス式に関わらず、スープを食べる時の注意事項、要はNGとされることはあります。むしろ、こちらを覚えておく方がよほど大切です。

スープはスプーンからすすらない

スープは、スプーンを下唇にしっかりつけてから、傾けて口の中に流し込むようにしていただきます。

スプーンはパクッとまるまる口にいれない

イギリス式でもフランス式でも、スープは食べるものですが、スプーンを全部口に入れることはありません。スプーンを下唇にあてて、スープを流し込むようにします。

ミネストローネのような具材たっぷりの場合や、スープの浮き身を食べる時はスプーンも必要分口に入れますが、丸ごと入れるようなことはありません。ブイヤベースのように、大きめ具材の場合にはフォークとナイフで食べ、スープだけをスプーンでいただきます。

スープはスプーンいっぱいにすくわない

スプーン一杯にスープをすくうと、口に運ぶまでにこぼれやすくなります。一度にすくう分量を、スプーンの7〜8分目程度にとどめることで、こぼれにくく食べやすくなります。

すくった後、そのスプーンお皿のふちにそっと置くようにあててみます
スプーンの裏についたスープがなくなり、口に運ぶときに滴る(したたる)心配がなくなります。

スプーンに息を吹きかけて冷まさない

スープが熱い場合でも、息を吹きかけて冷ますようなことはしません。比較的冷めているスープの表面をなぞるようにすくうのがコツです。

スープをパンにつけて食べない

どんなにスープが美味しくても、最後にスープをパンにつけて食べることはありません。スープは、料理に添えるソースではなく、そのものが完成された料理であり、そのまま食べるものなのです。

スープは食べきれず残っても構わない

スープ皿を傾けても、最後までスープをすくいきることはできませんので、多少残しても問題ありません。むしろ、すべて食べ切るためにスープ皿を大きな角度に傾けたり、器を持ち上げることの方がマナー違反とされます。また、少量のスープをなんとかすくおうとすることで、食器とスプーンがあたり音を立てやすくなりますので、ほどほどのところで終わらせるのがいいでしょう。

スープスプーンの最後の置き方は?

スープを食べ終えた(飲み終えた)時のスプーンは上向きのまま置きます

置く場所は
・スープ皿(スープボウル)の中、4時の位置
・スープ皿の敷き皿の上に、自分に対して並行に
・ブイヨンカップ(小さめで持ち手のあるカップ)の場合にはソーサーの上

いずれかに置きます。

敷き皿やソーサーに置く場合には、手前あるいは奥に置くと見解が分かれるようです。要は唯一の正解がない、つまりどちらでもいいと解釈して良さそうです。

*****

スープスプーンに限らず、ナイフとフォークの使い方にも、イギリス式、フランス式には違いがありますし、ドイツではドイツの作法があります。

フランス料理をコースでいただくような場合には、フランス式にするのが作法でしょうが、そうでなければ神経質に気にすることもないでしょう。むしろ、せっかくの食事ですから、楽しく美味しく食べることに意識を向けなければ、作り手にも食事にも一緒に食べる相手にも失礼です。

食事の作法は年齢、性別、生まれ育った環境でも異なります。上流階級の方と正式な形で食事をするのであればともかく、日常的な食事ではカチカチに作法に捉われる必要もないでしょうし、相手に対してもそれを要求するのも厳しいものがあります。

少なくても、音を立てない、カトラリーや食器をカチャカチャさせない、食器に口をつけない、姿勢良く、、など最低限の作法に則れば、相手に不快な思いをさせることはないでしょう。

-食事のマナー