蕎麦、うどん、ラーメン、素麺、、果てはパスタ(スパゲッティ)まで、あらゆる麺類をすすって、ズルズル食べる方もいらっしゃいますが、少しだけ気をつけましょう。
やりすぎると、今ではヌーハラ(ヌードルハラスメント)認定、、、となってもおかしくない時代に変わりつつあるようです。不快な思いをしたり、させたり、◯◯扱いされたり、余計なエネルギーを使わずに済むよう、基本的な作法はおさえておきたいところです。
蕎麦をすする理由は?
音を立ててすする食べ方は、日本独自の食文化です。
特に、蕎麦は「音を立てて食べるのも美味しさのうち」とか、「粋な食べ方」とか、「蕎麦は啜って噛まずに飲み込むことで、喉越しを楽しめる」とか、様々なすする正当な理由があります。実際に、美味しくなる理由もありますので、ご紹介します。
蕎麦はすすって食べる方が美味しい理由は?
◎ 麺に汁がよく絡む
麺はすすって食べる方が、汁やつゆ、スープによく絡み美味しくなります。
これは、過去にテレビ番組で検証されたものです。麺とスープが同量のラーメンを2食用意し、①音を立ててすすって食べる、②音を立てずに食べる ことで、残ったスープの量を比較検証したのです。
【残ったスープの量】
①音を立ててすすって食べる・・・237g
②音を立てずに食べる ・・・263g
すすって食べた方がスープの残りが少ない、つまりスープが麺によく絡んでいたことが確認されました。ズルズルの音はともかく、すすって食べた方が麺とスープやつゆがよく絡み美味しくなる、というのは本当なのです。
◎ 香りが広がる
すするということは、麺と一緒に空気を吸うことになります。空気を一緒に吸い入れることで、鼻から空気が抜け、香りが広がり美味しく感じることができます。
◎ 火傷予防になる
「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」は料理の鉄則ですが、ラーメンや温かい蕎麦・うどんでは、熱々で提供されます。
熱い麺をすすることで、外気を同時に吸い入れることとなり、火傷予防の効果もあるようです。火傷をするような熱さでは味もよくわかりません。少し温度が冷めることで、味がわかりより美味しく食べることができるようになります。
蕎麦っていつからすすっていたの?
現代の一般的な「蕎麦」の形状、つまり細長い麺としての蕎麦は、江戸時代になってからと言われています。
蕎麦粉は古くから日本にありましたが、それ以前は団子のような形状をしたものを食べていました。団子状ですから、すすることは不要ですね。小麦から作られる「うどん」は、蕎麦よりも前から麺状ですが、今よりももっと太かったためすすって食べるようなものではなかったようです。
江戸時代になり、蕎麦切りと呼ばれる麺の形になり広まります。当時は屋台での立ち食いスタイル。テーブルもなく食器を左手で持ち、右手で箸を持ち、立ったまま短時間でささっと啜って食べる。その威勢よくすする食べ方が江戸っ子に受け、さらに食べ終えたらさっさと店を出るところまでが「粋な食べ方」と捉えられるようになったとか。
落語でも出てきますね。落語家が扇子を箸に見立てて、「ズズズ」と「蕎麦をすする」仕草は落語の中でも代表的なもののひとつです。食べる仕草や音で、そばの太さまで表現するほどですから、音は大事なのですね。
麺類を音をたてて食べるのはハラスメント?
ズルズル大きな音をたてて食事をするとヌーハラ認定されることもありますので、注意が必要です。
ヌードルハラスメントってなに?
ヌードルハラスメント(ヌーハラ)とは、麺類を食べるときに音を立てることで相手に不快な思いや苦痛を与えること、らしいです。
これがハラスメントなのかどうかはともかくとして、あまりにズルズル大きな音を立てて食べるのは、見ていて気分のいいものでもありませんし、中には不快にさえ思う方もいるでしょうから、程度の問題として理解しておくのが良さそうです。
ただ、日本国内であっても、ラーベンや蕎麦、うどんなど、日本の麺類以外で、ズルズル音をたてて食べるのはいかがなものか、と言われても仕方がありません。和食であっても、カジュアルな店ならいいですが、会席などの改まった席でズルズルするのは、ふさわしい作法とは言えないでしょう。
要は、TPOをわきまえて食べるのがオトナとして大切なのです。
そもそも食事では音を立てないが基本
蕎麦、ラーメン、うどんなど、日本国内でカジュアルに食べる麺類は特別枠です。
それ以外の食事や、会席などの改まった場では、音を立てずに食べるのが基本の作法です。たとえ、日本国内であってもスパゲッティは啜って食べるのは作法から外れますし、ズルズルすするのは論外ということになります。
音を立てずに麺類を食べる方法
音を立てずに麺類を食べることは難しくはありません。慣れです。。
1. 少量の麺を箸ですくう
2. 口に入れたら、麺の下の方を箸でおさえるように持つ
3. 3回くらいにわけて静かにすすって口に運ぶ
※ 麺は噛み切らないように気をつけましょう
郷に入っては郷に従え〜外国人も麺類を啜る時代に突入?
音を立てて「すする」食べ方は、 日本独自の食文化とも言われてます。そのため、すすって食べる食文化のない外国の方からみれば、ありえない食べ方なのです。
ただ、海外でラーメンや蕎麦などの人気の高まりもあり、観光客が日本のラーメンや蕎麦専門店で食事をする機会も増えています。母国ではNGでも、日本に来たらすすって食べる外国人もいるそうで、、、
郷に入っては、、ではありませんが、日本の食文化を尊重していただいているようで、個人的には微笑ましく感じています。中には、不快に思う方もいるでしょうが、文化ですからある程度は受け入れてもらうしかないでしょうね。。
郷に入っては郷に従え〜相手方のマナーは尊重する
蕎麦やラーメンをすすることを外国人観光客に受け入れてもらうのと同様、日本人も他国に行けばその国の作法や食文化を尊重しなければなりません。
他国に行ったら麺をすすって食べない
日本ではOKでも、他国ではすすって音を立てて麺類をたべる食事の作法はありません。たとえ、日本食レストランであれ、ラーメン専門店であれ、海外で食べる時はその国の作法に従いましょう。要は、ラーメンでもすすっても音を立てずに食べる、ということです。
なお、パスタはすすること自体がNGです。スパゲッティなどの長めのパスタは、フォークでクルクル巻いて一度に口に入れるのが作法です。
中国でも麺類はズルズル食べない
ラーメンから繋がるのが、お隣中国。中国でも、麺類はすすって食べますが、ズルズル音を出して食べるのはありえませんので、ご注意を。
【麺類の食べ方】
・右手に箸、左手にレンゲを持つ
・少量の麺をすくい、一度レンゲに入れて(乗せて)からたべる
◎ スープの跳ね返りを防げます
◎ ズルズル音をさせずに、静かに食べやすくなります
スープを飲む時も、作法があります。
【スープの飲み方】
・スープを飲む時は、箸をおき、レンゲに持ち替える
・レンゲを横向きのまま口元まで持っていき、傾けるようにして飲む
× 左手に持ったレンゲでスープをそのまま飲まない
× レンゲの先を口に垂直に向けて飲まない
× 基本的に食器を持ち上げたり、食器に口をつけることはない
中国に限らず、東南アジアではレンゲやスプーンに麺を乗せて食べることが多いですね。食べにくそうだな、、など、勝手に思っていたこともありましたが、音も立てずに、スープもはねずに、上手に食べることができる方法です。熱々のものを熱々のうちに食べる文化ではないことも、理由の一つかとは思います。
左でものを食べてはいけない国もある
イスラム教国、インド、ネパールなどいくつかの国では、左手は「不浄の手」。食事では左手を使わず、右手のみ使います。
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ラーメンや蕎麦は、音を立てて啜って食べるのが基本、音を立てずに食べたら美味しくない、など、信仰のように頑なな方もいらっしゃいます。
私個人としては、もともとすするのが苦手ですし、目の前で大きな音で啜って食べられることも、好みません。ハラスメントとまでは思いませんが、気持ちのいいものではないと思っています。
日本では、ラーメンやそば・うどんなどの麺類は、ズルズル音を立てていい特別枠ですから、他人の食べ方に目くじらを立てて批判するのも上品なことではありません。ただ、不快に思う人がいることも事実です。そして、特別枠以外のメニューであれば日本国内といっても音を立てずに食べるのが基本です。
片方から見れば他人の食べ方に対して不寛容で、他方から見ればマナー違反なのでしょうが、グローバルスタンダードを理解しておくことは、これから生き抜く上で不要なエネルギーを浪費しなくてすむ方法のひとつです。マナーというよりも、「省エネに生き抜く知恵」あたりでおさえておきたいものですね。