引越しの日程を決めたら、なんと「三隣亡」。このまま引越ししても大丈夫?
暦の記載のあるカレンダーには、大安仏滅などよく知られた言葉の他に、月に2~3回「三隣亡(さんりんぼう)」というものがあります。
三隣亡、、隣三件亡くなるって、ものすごく縁起が悪そうです。実際、仏滅よりも悪い日とされているのです。そのため引越し日が大安でも三隣亡だと良くないとか、近所への挨拶も良い顏されない、と言われているのです。
引越し日が三隣亡にあたる場合、本当に避けた方が良いのか、ご近所への挨拶はどうするのか、気をつけることはあるのか等をご紹介します。
三隣亡とは?
三隣亡(さんりんぼう)は、六曜の仏滅等と同じように縁起の悪い日として知られています。
特に建築に関することが大凶で、この日に家作り、地鎮祭や上棟式等を行うと火難があったり、隣三軒まで災いが及ぶ等といわれています。
辞書での【三隣亡】意味も、微妙です。。「根拠がない」と明記していたり、いなかったり、、
もともと陰陽道(おんみょうどう)に基づくものであるが、日本に入ってから文字を独自に曲解し、この日に建築(とくに棟上げ)することを忌む風が広くあり、火事になるなどという。近世に陰陽師(おんみょうじ)などといわれる人々が広めた俗信で、いまも気にする人があるが、もちろん、なんの根拠もない。
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
暦の上での忌みの日の一つ。この日に建築すれば火難を受け,隣3軒を滅ぼすとされて忌まれる。
また,この日には約束ごとをしないなどの地方もある。
出典:ブリタニカ国際大百科事典
暦注の一。この日に建築をすれば火事を起こし、近隣3軒を焼き滅ぼすといって忌む。
出典:小学館 デジタル大辞泉
引越しも建物に関することなので避ける、結婚式については家を築くことから建築と同様に見なされるため避ける、などども言われていますが、該当するのは実際の「建築」。引越しも、結婚式も、入籍も、根拠も縁もありません。
三隣亡は根拠のない迷信?
引用1の「小学館 日本大百科全書」にもありますが、実はコレ全く根拠がない迷信です。
「三隣亡」自体歴史が浅いのです。江戸時代より前の古い暦注解説書には記載さえなく、江戸時代以降になって注目されたと伝わります。その当時は「三輪宝」の字を使った吉日で「屋立てよし」「蔵立てよし」注記されるほどの吉日。←これは史実
ある年、暦の編者が「よし」が「あし」(悪し)と書き間違えたことで、そのまま意味が逆になったとか。← ここの記録がありません。
そのため「三輪宝」では都合が悪いので「三隣亡」に書き換えられました。←これは史実
「よ」と「あ」の書き間違いはともかく、漢字の書き換えがあったことは事実です。元の漢字が最強に不吉な意味を持つことは考えにくく、そのため根拠のない迷信とされます。
三隣亡の決め方
三隣亡が不吉な日であることは迷信としても、暦には記されてるものです。その決め方を見てみましょう。
三隣亡は選日と呼ばれる暦注(吉凶判断)の1つで、十二支の組み合わせで決まります。日毎変わる十二支と、年の十二支に基づく2種類があり、次のようになっています。
【普段の三隣亡】
1、4、7、10月→亥の日
2、5、8、11月→寅の日
3、6、9、12月→午の日
※月は現在のカレンダーによる月や旧暦月でなく、二十四節気(立春、立夏等)による節切りに基づきます。
【年による三隣亡】
干支が寅、午、亥の年。
ちなみに、選日には三隣亡の他、八専(はっせん)、三伏日(さんぷくび)、犯土(つち)、不成就日(ふじょうじゅび)、一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)等があり、この中では、一粒のモミが万倍にも実るという意味の一粒万倍日が仕事始めや種まき等に良い日とされています。
2024年の三隣亡はいつ?
2024年の三隣亡です。
1月:3(水)、7(日)、19(金)、31(水)
2月:5(月)、17(土)、29(木)
3月:15(金)、27(水)
4月:12(金)、24(水)
5月:11(土)、23(木)
6月:4(火)、7(金)、19(水)
7月:1(月)、17(水)、29(月)
8月:15(木)、27(火)
9月:11(水)、23(月)
10月:5(土)、9(水)、21(月)
11月:2(土)、7(木)、19(火)
12月:1(日)、16(月)、28(土)
引越し日が大安だけど三隣亡なら大丈夫?
そもそもで、三隣亡と引越しは関係ありませんので、引越しに影響はありません。引越し屋さんに聞いても、同じことを言われるはずです。(ただし、一部地域には根強い信仰があるので注意が必要です)
それでも気になる場合には、「引越日」をそのものを小ワザを使って変更します。
通常の仏滅や赤口の場合は、日をずらして先に小さい荷物を移動すればその日に引越日になる、という験担ぎがありますが、同様にすれば気分的にも問題ないでしょう。
三隣亡の引越しでご近所さんに影響はない?
ご近所さんはどうでしょう?
三隣亡については六曜と異なり、迷信とはいえ「隣三軒滅ぼす」とされているため他人にまで類が及ぶ迷信なのが困った点です。
そのあたりが気になる場合には、引越日が大安であれ避けるほうがいいかもしれません。もしくは、可能であれば、実際の引越日前に小物でも運び入れ、その際にご挨拶をしてしまう、、という方法もあります。
避けたほうがいい地域は?
特に地域性もありますが、京都、新潟県、群馬県、山形等の一部の地方では特に気にする人が多いようです。中には「三隣亡に土産を貰うと没落し、贈った側は繁栄する」という言い伝えが残る地域もあるとか。。
近所付き合いを重んじる地域であれば、後々の関係を考えると三隣亡を避けた方が良いということになります。あれこれ気にし始めたら何も出来なくなってしまうとはいえ、後々何かあった際に「三隣亡に引っ越してきたから」と言われてしまうと厄介です。
この場合には、引越しの日程を調整する際に、引越しや屋さんに確認しておけば間違いありません。
三隣亡の引越しで近所への挨拶は?
三隣亡に引越しをする場合、上記のように「お土産を貰うと没落する」などのような言い伝えもあるため、引越しの挨拶には心配りが必要です。
面倒でも、無難なのは別な日に少しだけ荷物を運び入れ、ご挨拶をし、引越しの既成事実を作ってしまうことです。
「今度こちらに引っ越してきた××と申します。
〇日に荷物を運ぶのでお騒がせするかと思いますがよろしくお願いします。」
このような感じで伝えておけば、引越しは挨拶した日だと隣近所に認識してもらえるので問題ないでしょう。
まとめ
三隣亡は仏滅などと同じように単なる迷信に過ぎません。ですが、仏滅と大きな違いは「隣近所まで類が及ぶ災い」という意味なので、自分だけの判断で迷信だから気にしないでいいや、と決められないところにあります。
年単位の三隣亡についてはカレンダーへの記載がないので引越しには問題ないでしょうけど、日単位の三隣亡は、多くのカレンダーに記載されているため、気にする人は相当気にするようです。ですから、自分が三隣亡について気になった場合は、相手との今後のお付き合いを考えて出来るだけ避ける方向で考えた方が良いでしょう。