遠方のお墓だと、お墓参りに行くのが毎回大変ですよね。
いっそのことお墓を移す方が良いのでは・・・と思ったことがありませんか。
でも、お墓を移すと「祟りがある」とか「よくない」という噂もあり心配な方ももいるでしょう。
お墓を移すには手続きが大変だろうし、新しいお墓が高くて購入できないのではないか、と不安になるかもしれません。
我が家は、先日遠方にあるお墓の墓じまいをしました。その際にかなり調べましたので、遠方のお墓の管理や対処方法、お墓を移すときの手続きや費用などを、わかりやすくご紹介します。
遠方のお墓の管理はどうする?
お盆、春秋のお彼岸、年末やお正月などにはお参りをしたいものですが、実家が遠方にあるなどで、なかなかお墓参りにも行けない方は増えつつあります。これも、社会生活の変化に伴うものですから、仕方がないと言えば仕方がありませんね。我が家もそうでした、、、
だからといって、ご先祖様のお墓をほったらかしにするわけにもいきません。自分や家族以外の誰かにお墓参りやお墓のお掃除などの管理をお願いする方法を検討してみましょう。
お墓の近くに住む親戚にお願いする
お墓の近くに親戚が住んでいれば、その方にお墓参りに行ってもらえるようお願いする方法があります。
血縁関係が深い方(親の兄弟や祖父母の兄弟など)であれば、ご自身もそのお墓にお参りする可能性がありますので、お願いしやすいですね。でも、その方が引越しされたり、高齢になったり、亡くなられたり、、など、お墓とも自分とも血縁関係の深い方は時間が経つにつれ少なくなります。
墓地の管理事務所に依頼する
墓地によっては、管理事務所に依頼することもできますが、枯れたお花を捨てる程度と思っておくといいでしょう。
寺院や、公営霊園などであれば、管理費に含まれるのは共用部分の管理・清掃です。通路、駐車場、水道、トイレなどです。個別のお墓の管理や清掃までは対応してもらえません。
お墓参り代行サービスに依頼する
お墓の掃除やお墓参りまでお願いしたいのであれば、お墓参り代行などのサービスに依頼するのが、面倒なこともなく確実です。
地域の業者、ダスキンなどの大手清掃サービス会社、石材店、個人請負など、お墓参り代行サービスは近年増えつつあります。「お墓参り代行 ○○市(地名)」などで検索すると表示されます。お墓のお掃除やお供えの花の画像や映像も送ってもらえる業者もありますので、安心ですよ。
ライフスタイルの変化もあるので、昔からの慣習を今後も続けられるとは限りません。ご自身が無理なく続けられ、納得する方法を選ぶことが大切ですよ。他の誰かに頼むのが難しい、自分で管理したいなどの理由から、お墓のお引越しをされる方も増えています。
お墓を移すのはよくないの?
「お墓を移すのはよくない」という噂もあるようですが、仏教ではお墓を移すとバチがあたるいうような考え方はありませんので、ご安心ください。
人の移動が少なかった時代には、多くの人は生まれた地で育ち、生まれた地や嫁ぎ先で亡くなりました。生活そのものがあった土地に埋葬されているのですから、思い入れもあると考えるからでしょう。
仏教では、位牌やお墓が開眼供養によって魂の拠り所となります。お墓を移す際には、お墓の閉眼供養を営み、お墓から魂を抜きます。魂を抜いたお墓は、ただの石に戻るのです。故人の魂は、供養によって納まるところに納まっているのですから、心配は不要です。
お墓を移す際には、菩提寺での閉眼供養などの供養だけでなく、行政手続きも必要です。菩提寺や霊園とも相談し、適切に対応するようにしましょう。
お墓を移す、改葬の手続きは?
実際にお墓を移す場合、どのような手続きがあるのでしょうか。
改葬とは?
改葬とは墓地・霊園等にに納めた遺骨を、他の墓地・霊園等に移すことです。移す先は、お墓に限らず、納骨堂、寺院や霊園の永代供養墓地、樹木葬や散骨などの自然葬も含まれます。
行政手続きに必要な書類を揃え、改葬許可を申請する
遺骨の埋葬は、「墓地・埋葬に関する法律」で手続きが定められているため、菩提寺や墓地管理者に断りなく他の場所に移す(改葬する)ことができません。そのため、さまざまな手続きや費用が発生することになります。
今の墓地の管理者への依頼事項
今の墓地の管理者に、お墓の引越しについて相談しましょう。その際に、必要な手続きや費用も確認します。
菩提寺の墓地の場合には、お墓の引越しをする場合には、閉眼供養と離断料のお布施が必要になります。
※ 離断料は、寺院によって高額を提示する場合もありますので、よく確認しましょう
今の墓地の管理者には、改葬許可申請書に必要事項を記入や押印してもらい、埋葬証明書(遺骨埋葬証明書、収蔵証明書等)を発行してもらう必要があります。自治体によっては、埋葬証明書が改葬許可申請書に含まれる(一体化)している場合もあります。
お墓を移す以外にも対応方法がいつくかありますので、必要な書類の手続き、費用も含めて相談してみることをオススメします。
新しい墓地(改葬先)への依頼事項
遺骨を納める墓地や霊園と契約し、使用許可書(受入証明書等)を発行してもらいます。
自治体への手続き
改葬許可申請書、埋葬証明書(遺骨埋葬証明書、収蔵証明書等)、使用許可書(受入証明書等)等、必要書類が揃ったら、自治体に申請します。その際に、お墓の名義人本人であれば身分証明書、名義人以外が申請する(名義人が親で自分が申請する、代理人をたてるなど)場合には、委任状も必要です。遺骨と申請者の関係確認のために、戸籍謄本等が必要になることもあります。
遺骨が古く詳細がわからない、現在のお墓が墓地管理者のいない「地域墓」などの場合には、他の書類が必要な場合もあります。申請前に、自治体担当者に確認し、適切な書類を準備しましょう。
必要な書類が揃っていれば、自治体から「改葬許可証」が発行されます。
墓じまいをする
寺院や霊園に、自治体発行の改葬許可証を提示すると、お墓から遺骨を取り出すことができます。お墓は、僧侶に閉眼供養(魂抜き)をしてもらいます。閉眼供養を営むことで、故人の魂の拠り所であったお墓(墓石)は、ただの石に戻ります。
墓石の撤去、解体は石材店に依頼しましょう。お墓のあった区画を更地に戻して、寺院や霊園の管理者にお返しします。
新しいお墓に納骨する
お墓から取り出した遺骨は、新しいお墓に改めて納骨します。この際に、前のお墓の自治体が発行した「改葬許可証」の提出が必要です。
必要に応じて、お墓の開眼供養、納骨法要を僧侶に、納骨作業や石碑への名入れを石材店に依頼にします。
お墓ではなく、納骨堂に納める場合、樹木葬や散骨などの自然葬、寺院や霊園で永代供養をしていただく場合には、それぞれに必要な手続きや供養をします。
お墓を移す・改葬にかかる費用はどのくらい?
墓じまいに関わる費用は、宗教や宗派、地域、新旧の墓の管理者の考え方、今の墓地の解体・撤去費用、新しい墓地の使用料、墓石代になどによってもかなり異なります。どのような費用が発生するかの目安としてご参照ください。
今のお墓の墓じまいにかかる費用
- 閉眼供養は、年忌法要などと同額程度と考えていいでしょう
- 離断料は、菩提寺の考え方によって、大幅に異なります
- 墓の解体・撤去費用は、墓地の広さや、墓石や石碑の大きさ、数量、石材店によっても異なります
- 遺骨を取り出す際に、石材店に依頼するのが一般的ですが、別途費用が発生することもあります(2〜3万円程度)
新しい墓地や霊園にかかる費用
新しい墓地や霊園で、どのように納骨するかによって費用は大幅に異なります。
- 墓地使用料
- 墓石購入費
- 墓石建立(工事)費
- 開眼供養、納骨法要
私の実家の墓じまいをした際に、随分と調べたのですが、お墓の引越しや墓じまいは、思った以上に手続きもあり、費用もかかるものでした。
既存のお墓を片付け、更地にするだけでもそれなりに費用がかかりますし、寺院や霊園によっては指定石材店に依頼するしかないケースも多々あります。お墓を引越しするにも、その引越し先を「お墓」にするのか、納骨堂にするのか、永代供養にするのかでも、まったく異なります。
まずは、お墓をどうするか、これからどうするか、誰が管理するかを、家族や血縁の深い親族とも相談するといいでしょう。