喪中はがきは本人が亡くなった場合でも使えるのでしょうか。
喪中はがきを送る時期になってから、
「そういえば、自分の分だけでなく、亡くなった父が年賀状でやり取りしていた人へも連絡しないといけないよね・・・でも、自分の知らない相手なのに喪中はがきを出してしまって大丈夫かなあ?」
・・・等と悩む人が多いです。
今回は、喪中はがきや、似たような挨拶状である「死亡通知」、「寒中見舞い」の違いと、どのような文例が相応しいのか等をまとめました。
喪中はがきは本人が亡くなった場合に使えないの?
本人が亡くなった場合でも喪中はがきを使ってお知らせするのは可能です。
ただ、「喪中はがきでなく死亡通知にすべき」という考え方もあり、どちらの見解にも一理あり両方とも広く使われているため、どちらを選んでも良いです。ただし、地域によってはルールがあるため、その場合はそれに従いましょう。
でも、どっちでも良いと言われると困りますよね。
そこで、なぜ両方とも使われているのか考えてみましょう。
身内が亡くなったことを伝える挨拶状は以下の3種類があります。
- 死亡通知
- 喪中はがき
- 寒中見舞い
この3種類は本来、送り先と送る時期と目的が異なります。
では、どのように違いのか、詳しく確認しましょう。
死亡通知 喪中はがき 寒中見舞いの違いは?
死亡通知と喪中はがきと寒中見舞いの違いは以下の通りです。
【死亡通知】
死亡通知は、遺族が故人の関係者に「故人の死を知らせる」挨拶状です。送る時期は葬儀に呼ぶ目的であれば「葬儀の前」、葬儀に呼ばない場合は「葬儀の後」や「納骨後」など区切りの後に速やかに送るものとされています。
【喪中はがき】
喪中はがきは、遺族が自分の関係者に「年賀状欠礼を伝える」挨拶状で、11月~12月頃に送ります。
【寒中見舞い】
寒中見舞いは、元々「松の内が明けてから立春までの間に送る挨拶状」のことですが、今では、年賀状の返事が遅くなって松の内が明けてしまった場合や、喪中に年賀状を貰った場合の返事等として使うようになっています。
送る時期の違いで判断できることは?
送る時期の違いから判断できることは以下の通りです。
・年内に出す場合→死亡通知か喪中はがき
・年明けに出す場合→寒中見舞い
喪中はがきvs死亡通知 どちらにするのか?
喪中はがきと死亡通知を比べてみると、送り先と目的は以下のように異なります。
・喪中はがき→遺族が自分の関係者に送る「年賀状欠礼」
・死亡通知→遺族が故人の関係者に送る「故人死亡のお知らせ」
でも、これだけでは、年末頃に送る場合はどちらを選べば良いのか分かりにくいですよね。そこで、次のように意見が真っ二つに割れています。
「葬儀から何ヶ月も経過している場合には死亡通知はおかしい。」
「喪中はがきは年賀状を送るのを失礼するという挨拶状なので、自分が今まで年賀状をやり取りしていない相手に送るのは間違いだし、伝えるべきことは年賀状欠礼でなく故人の死亡情報だ。」
では、実際の葬儀のマナーはどうなのでしょうか。
でも、こういうことってマナー本に書くようなことでもないのですよね。だって、今回こういう事態になってしまったことが失敗なのですから。そもそも、故人の知り合いに死亡通知を速やかに出さなかったことが失敗だし、その時点で相手に失礼をしてしまっているのです。そんな失敗したときのカバー方法が明記されているマナー本なんてありませんよね。
ですから、自分の考え方一つで決めて良いのです。
- 死亡通知で出したければ死亡通知で出せばいい。ただ、時期が遅れたのでそのお詫びを丁寧に伝える方がいい。
- 喪中はがきで出したければ喪中はがきで出せばいい。ただ、自分がお付き合いしてきた相手でない、言わば初対面の人に送るため、本人に代わって送りましたという内容を入れる方が分かりやすい。
ただ、これだけなのですよ。だから、相手に通じればどちらで出しても良いのです。
【世間の実態はどうなっているの?】
インターネット情報サイトでは「誰に」という点から死亡通知にすべきという意見が多く見受けられますが、もう一方の「送る時期」の点から喪中はがきにすべきという意見も結構あります。
ちなみに、私個人の経験では、年末の喪中はがきで受け取るパターンが100%で、死亡通知は今のところ一度もありません。ただし、これも地域性(関東地方)なのかもしれません。
地域性の点について細かく言うと、「喪中はがきが届いた場合はお悔やみの手紙を送る程度で十分だけど、死亡通知が届いたら香典を送る」(死亡通知を送ることでお悔やみを催促していると思われる)という地域もあるそうなので、迷った時には年長者にローカルルールがないか聞いてみることも必要でしょう。
喪中はがきで本人死亡時の文例は?
喪中はがきで送る場合、以下の2通りの方法があります。
(1)印刷した喪中はがきに一文添える
(2)故人の関係者用に別の喪中はがき文面を考える
(1)の場合は、自分用として印刷した喪中はがきの余白部分に
「生前は父が大変お世話になり深く感謝しております」
と書き添えるだけで大丈夫です。
(2)の場合も同様に通常の喪中はがきの文面に加えて感謝の言葉を添えます。以下の文例を参考にしてください。
【文例】
喪中につき新年のご挨拶を失礼させていただきます
本年○月に父 ○○が○歳にて永眠いたしました
生前に賜りました一方ならぬご懇情に
故人に代わり深くお礼申し上げます
皆様には健やかな新年を迎えられますようお祈り申し上げます
令和元年○月
死亡通知で年末に出す場合の文例は?
死亡通知で出す場合の文例もご紹介します。
以下の文例を見ると、ほとんど喪中はがきと同じ内容であることが分かりますよね。
「通知が遅れたお詫び」を忘れずに入れましょう。
【文例】
本年○月に父 ○○○○が○歳にて永眠いたしました
故人の希望により 葬儀は身内で執り行いました
ここに生前のご厚情に深謝いたしますとともに
ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げます
寒さに向かう折から皆様のご健勝をお祈り申し上げます
令和○年○月
さいごに
葬儀では「故人を弔うこと」で精一杯になるものですが、遺族はそれ以外にも、故人が生前関わっていた方々に「故人の死」「生前の付き合いへの感謝」を伝え、故人の代わりに相手と付き合いを終了させるという役割があります。
こういうことは本来、生前であれば本人がやることですが、亡くなっているので当然出来ません。そこで、これらのことを残された遺族が行うべきなのです。
ですから、遺族が考えるべきことは、喪中はがきか死亡通知か、という問題よりも、故人の関係者に故人が亡くなったので今後お付き合いが出来ないことをどうやって伝えるか、そして、失礼のないよう受け取ってもらうことなのですよね。
たとえ自分が顔を知らない相手でも、喪中はがきを出すのは失礼なことではありません。受け取った相手は、その文面と送信者の名前を見れば納得するものですよ。(ああ、○○さんが亡くなったのか。本人の代わりに息子さんが送ってきたのね、と。)
また、今回はがきを送ると、故人の死を知った相手から連絡が入るかもしれません。お線香をあげたい等と言われたら遠慮せずに来ていただく方が良いでしょう。