実家の仏壇を自分の家に移動させようと考えたけど「どこに何を頼めば良いのだろう」と悩んでいませんか。
仏事を今まで親任せにしていた場合は、親が体調を崩す等しない限り何も興味ないでしょうし、知らない状態なのかもしれません。
そこで今回は、仏壇の引っ越し手順や、引っ越しにおける魂抜きと魂入れの必要性等について分かりやすくまとめました。
実家の仏壇を移動するには?
仏壇を別の家に移動させる場合に必要なのは、手間とお金、移動先での置き場所です。
まずは、菩提寺と引越し業者の2ヶ所に相談しなければなりません。
(1)菩提寺
菩提寺に連絡して、魂抜き(移動前)と魂入れ(移動後)※の法要をお願いします。お寺の都合と自分の都合を擦り合わせなければならないため、移動すると決めたら出来るだけ早く日時を決めた方が良いですね。
ちなみに、お布施はお寺によって異なりますが、魂抜き・魂入れ共にお布施が1万円から5万円程度とお車代5千円から1万円(距離に応じて)が多いようです。
(2)引越し業者
引越し業者に仏壇の引越しを依頼して、実際に運んでもらいます。運んでもらう日程は、(1)の魂抜きが終わった後です。
ミニサイズの仏壇なら自分の車でも移動できますが、大きな仏壇は重いし難しいので引越し業者に依頼する方が良いです。ただし、仏壇は非常に丁寧に扱う必要があるため小規模の引越し業者だと断られることもあります。引越費用は仏壇サイズや距離により異なりますが、2万円程度から10万円程度のことが多いようです。
金額も各社異なるため、複数の引越し業者から見積もりを取り、仏壇を丁寧に扱ってくれるか、金額的にも納得いくか、等を総合的に考えて決めましょう。
※仏壇の魂抜きと魂入れの呼び方について
魂入れと魂抜きは、宗派によって呼び方が異なります。
魂入れは、開眼供養(開眼法要)、お性根入れ(おしょうねいれ)等という呼び方もあります。
魂抜きは、閉眼供養(閉眼法要)、お性根抜き等という呼び方もあります。
また、浄土真宗の場合は魂入れや魂抜きという概念が無いため少々内容は異なりますが、この代わりのようなものとして入仏法要、遷仏法要(せんぶつほうよう)があります。
仏壇の置き場所
仏壇を置く場所としては、広さの問題以外に仏壇が傷まない場所という条件も必要です。
具体的な条件としては、仏壇は木材なので、
・直射日光が当たらないこと
・エアコンの風が直撃しないこと
・水廻りに近すぎないこと
このような問題を考える必要があります。
仏壇の雲切について
また、仏壇の上の階がある場合は「人が踏まないような位置」にする必要があります。ですが、マンション等の集合住宅ではこのような場所を確保するのは難しいかもしれません。その場合は「雲切」の対策を行いましょう。
「雲切」は「ここより上が無い」ことを示す結界です。白い半紙等に「雲」「天」「空」等の文字を書いて、仏壇や神棚の上の天井に貼る方法のことです。(仏様が見て普通に文字を読める向きにします。)
こうすると、上の階で人が踏むかもしれないという配置の問題が解消できます。
では次に、仏壇の引っ越し手順についてお話しします。
仏壇の引っ越し手順は?
仏壇の引っ越し手順は次の通りです。
(1)魂抜き法要
引越し前にお寺に来てもらってお経をあげてもらいます。これが魂抜きなのですが、魂抜きを行うことで、仏壇は単なる箱に戻り、持ち運んでも良い状態になります。
(2)引っ越し
引越し業者が運びます。ただし、ご本尊と位牌は自分の手で運びましょう。
ご本尊や位牌には魂が宿るとされているものです。運ぶ前に魂抜きをするとはいえ、やはり他人である引越し業者に触らせるのは避けるべきでしょう。
ご本尊と位牌を運ぶ際は、風呂敷や袱紗などで包んで傷つかないようにします。
(3)魂入れ法要
引越し後にお寺に来てもらってお経をあげてもらうのが魂入れ法要です。魂を入れることで、仏壇が箱から拝む対象となります。
仏壇の引っ越しに魂抜きと魂入れは必要なの?
仏壇の引っ越しをする際は、魂抜きと魂入れの法要が必要とされています。ただし、宗派やそのお寺によって魂抜きと魂入れに関する考え方が若干異なるため、引っ越しをする場合は魂抜きと魂入れが必要かを菩提寺に確認してください。
仏壇には「ご本尊をお祀りする」「位牌を安置して先祖を供養する」という2つの目的があります。また、ご本尊はお寺にあるご本尊のミニチュア版のようなもの。ですから、静かに安置しておくべきものなのです。
ですが、引っ越しする場合、仏壇を静かに持ち運ぶ、というのは難しいですよね。物凄く負担がかかってしまいます。そのため、一時的に魂を抜いた状態に戻して、単なる「物」として移動させる方が良いという考え方なのです。
とはいえ、魂抜きと魂入れの法要でかかる費用は、2回のお布施とお車代として5万円から十数万円になります。引っ越すたびに仏事にお金をかけなきゃいけないとなると大変ですよね。ですから、魂抜きと魂入れなんて省略してもいいんじゃない?と考える人もいるでしょう。
でも、仏壇やご本尊、位牌は単なる箱や人形ではなく、宗教上の信仰対象です。毎日お寺に行って拝むことが出来ないから家に本堂のミニチュア版を安置するようなものです。ですから、仏壇に手を合わせる気持ちがあるなら、その宗派の作法に則って仏壇を移動させるべきでしょう。
さいごに
仏壇が小さい場合には自分で運べるかもしれません。
ただ、仏壇はタンスやテーブル等と違って先祖の魂が入る器のようなものですから、慎重に運ぶ必要があります。畳や床などに直置きすると仏壇を見下ろすことになり失礼ですし、横に寝かせたりするのも良くありません。本来の縦置き状態のまま運ぶようにします。また、傷がつかないように仏壇を大きな布で包んで運ぶ等の配慮も必要です。
親の仏壇を自分の家に引き取る場合は介護や相続のこと等、仏壇以外のことで頭を悩ませるケースが多いため、仏壇を引っ越す際に、うっかり魂抜きのことを忘れて安易に動かしてしまう可能性があります。ですが、仏壇やご本尊、位牌はどれも大事なものですから、魂抜きと魂入れをきちんと行うようにしましょう。