「仏壇には写真を飾らない方が良い」というのは本当でしょうか。
飾るのは絶対にダメなのでしょうか。
大好きだった母の遺影を仏壇に飾って毎日手を合わせたい、というような考えの人もいますよね。その場合、置き場所を工夫すれば問題ないのでしょうか。
今回は、仏壇の写真をどうすべきかについてお話しします。
◆大きいサイズの遺影についてはこちらの記事をご覧ください。
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仏壇に写真を飾らない方が良い理由とは?
お坊さんや仏具屋さんに訊くと「仏壇に写真を飾らない方が良い」と言われるケースが多いのですが、その理由として、以下のように様々な考え方があるからです。(宗派や人によって見解が異なるので、主な見解をまとめてみました。)
- 仏壇はお寺の本堂(ご本尊を祀る場所)と同じ場所であり、写真置き場ではない。
- 仏壇の位牌と写真の両方があると、その霊が迷う。
- 仏壇には沢山の先祖の霊が入っているけど写真が1つだと(全員分がないため)不公平感がある。
- 霊が生前の写真を見て、この世に未練が残って成仏出来ない。
- 遺族が写真を見ることで悲しみを引き摺ってしまい、それを見た霊が成仏出来なくなる。
この中で、よくお坊さんに言われるのが一番最初の
「仏壇はお寺の本堂(ご本尊を祀る場所)と同じ場所であり、写真置き場ではない。」
ですが、次にこの内容について詳しくお話しします。
お坊さんの見解について
仏教的な視点から見ると、仏壇はお寺の本堂と同じものであり、極楽浄土を表すものとされています。毎日お寺に行ってお参りするのが大変なので、その代わりに家に置いてお参りするものとして仏壇が出来たのです。
一方、写真は故人の姿が写っているとはいえ、位牌と違って魂が入っているわけではありません。単なる現世の「物」なのです。写真は明治時代に普及しましたが、葬儀に遺影が採用されるに至ったのは数十年前のことであり、歴史的な重みがありません。ですから、歴史の深い仏教的には範疇外の物なんですよね。
つまり、拝むべき対象は極楽浄土にいらっしゃる仏であり、それが形になったのがご本尊や位牌です。そして、対極の現世を意味する写真というのは極楽浄土に持ち込むべきではない、ということです。
仏壇に写真を飾るのは絶対ダメ?
お坊さんに相談すると、このように写真を否定されるケースが多いです。
でも、宗派によって考え方が異なり、
- 寛容的→「置いても良い」と考えるケース
- 厳格的→「置いてはいけない」と考えるケース
この2通りがあるので、お坊さんの見解が気になる場合はご自身の菩提寺に確認してください。(厳格的に「駄目なものは駄目!」と考える代表例としては、浄土真宗があります。)
また、仏壇に写真を飾るのは否定されることが多いのですが、それ以外の場所なら問題ありません。ですから、次のような方法は大丈夫ですよ。
- 仏壇以外の場所に写真を置いて故人を偲ぶ
- 写真アルバムを見て故人を偲ぶ
風水では、幸せな思い出の写真を飾ると運気が上昇するなどと言われています。故人の写真だって、それを見て楽しかった記憶が思い起こされるのであれば心に良い作用がありますし、運気アップに繋がるかもしれません。
写真があると故人が成仏できないって本当なの?
また、多くの人が勘違いすることが、「写真があると故人が成仏できない」という見解です。
これは、写真は全て駄目という意味ではありません。「遺族が写真を見ることによって後悔、未練の気持ちが残ってしまうこと」に対する否定なのです。
人は亡くなると魂だけになって極楽浄土へ旅立つとされていますが、生前の姿を見てしまうといつまで経っても嘆き悲しむ人がいます。そうならないためにも、俗物的な写真に惑わされるのを防ぐ、という意図もあります。決して「故人のことを忘れましょう」という意味ではないのです。
裏を返せば、写真を見て悲しみに浸るのではなく、「仏になっていつも見守ってくれているから勇気百倍!」と写真を見て心が明るく、強くなれるのなら問題ないでしょう。
仏壇における写真の置き場所は?
仏壇に写真を置く場合、そもそもお坊さんの多くがおすすめしないことなので、正式なやり方はありません。ですが、ご本尊の邪魔にならない場所に置くことが基本です。
写真は単なる「物」ということを考えると、ご本尊、位牌、五具足または三具足(香炉、燭台、花立)よりも下の位置に、つまり、一番下の段に置くのが良いでしょう。
さいごに
「仏壇に写真を飾るか飾らないか」は自分の気持ち次第とも言えます。確かに、お坊さんや仏具屋さんに相談すると、避けた方が良いと言われるケースが多いのですが、もし、写真を飾ることで「天国にいるお母さんが見守ってくれているに違いない」という安心感が得られるのであれば、周囲の意見は気にせず飾っても良いでしょう。
ただ、もし「写真を置くと成仏できないかもしれない・・・」と世間の雑音を気にして迷ってしまう場合は、「成仏できないのではないか」という考え方に陥りやすくなるため、写真を置くのは避ける方が良いです。
いずれにせよ、仏壇に手を合わせることは、自分の心の平安にも繋がることですし、写真をどうするかは最終的に、自分が心から納得できる方を選んでくださいね。