浄土真宗では報恩講や法事、お盆等というと「おけそく」を用意しなければなりませんが、これが何かご存知ですか。
今まで仏事に関心が無かった人にとっては、家族が亡くなると分からないことばかりで大変ですよね。
今回は、おけそくに関して、
- おけそくとは何か?
- どこで、どの程度の値段で売られているのか?
- どのような盛り方飾り方をするのか?
このような、浄土真宗の門徒して知っておきたい基本についてお話しします。
浄土真宗の おけそく とは?
浄土真宗では、法事やお盆などの際に、丸餅を重ね盛りにして仏前にお供えするのですが、これを「おけそく」または「おけぞく」と言います。漢字では「御華束」と書きます。(「御華足」ではありません。)
仏様のお供え物としてはお餅以外にお菓子などもありますが、浄土真宗ではお餅が最高で、次にお菓子、果物の順とされています。
そして、「おけそく」は元々お供え物をのせる器のことだったのですが、いつもお餅がのっているため、次第にお餅のことを「おけそく」と呼ぶようになりました。(今でも地域によっては、器のことを「おけそく」と呼ぶことがあります。)
このお華束は白色が基本ですが、お寺などでお供えする場合は、鮮やかに赤色や青色等の食紅で色付けした沢山の丸餅を重ね盛りすることが多いです。
浄土真宗のお寺では、大事な行事の際にはおけそくを大人数で時間をかけて作っていきます。
以下の動画を見ると、おけそくがどんな物か、どれだけ心を込めて作るのかが分かりますよ。
おけそくの値段は?どこで買うの?
お華束は、和菓子店やデパート等の和菓子コーナーで注文しますが、今は浄土真宗のお寺の御用達でないとお断りされることがあるようです。
ですので、近所の和菓子店で断られた場合は、ネット通販の方が良いかもしれません。
楽天市場では、以下のような商品があります。
なかなか本格的なお華束をネット注文できる店がないので、この商品はとても人気があるようです。
ですが、お餅だとカビやすいという理由から、近年では落雁や、砂糖で作った真空パックのお華束で代用するケースも増えています。
以下のような商品があります。
また、自宅の仏間用については、スーパーで販売しているサトウの切り餅(丸餅タイプ)で代用する人もいるようです。ただ、この場合は積み重ねるのが難しくて、きれいに飾り付けができないかもしれません。

おけそくの盛り方は?
浄土真宗のおけそくの盛り方は、以下のような方法があります。
・須弥盛(しゅみもり)→真っ直ぐ縦積みにして積み上げ、上側が須弥の形のように丸みを帯びた盛り付け方法。
・杉盛→交互に積み上げていき、上側が杉の木のように尖った形になる盛り付け方法。
画像引用元:明順寺ひろば
・串盛→串に刺して盛り付ける方法。
写真引用:西蔵坊だより
・段盛→丸餅と板を交互に段重ねして盛り付ける方法。下段の方を見るとお餅だけでなくお菓子や果物が段盛にしてあって面白いですよ。
写真引用元:小長井佛具本店
・直盛(じきもり)→芯を使わずに直接盛り付ける方法。
ですが、どの方法も数が多いし広い場所が必要なので、お寺なら可能ですが普通の家庭でこれを行うのは無理ですよね。では、自宅ではどのように飾れば良いのでしょうか。次に、自宅での飾り方についてお話しします。
おけそくの飾り方 自宅における数と配置は?
自宅では、出来る範囲で心を込めてお餅をお供えすれば良いのです。上でご紹介したような丸餅を買って、可能な範囲で重ね盛りすれば良いでしょう。(丸餅が小さい場合はピラミッドのように上にいくほど数を少なくして3段積みにする「杉盛」程度で。ちょっと大きめの場合は1個を3段積みにする程度で充分ですし、大きい丸餅であれば左右に一対用意するだけでも大丈夫です。)
ちなみに数について言うと、日本では「奇数盛りが良い」という説がありますが、これは仏教とは全く関係ありません。特に浄土真宗ではこのような迷信に左右されないことから、実際にお供えする餅の数に決まりはありません。
結論としては、見た目でバランスが良ければそれで大丈夫です。ご自宅の仏壇や仏具のサイズを考慮して数を決めてください。(ただ、お寺に訊くと数を指定されることもあるので、その場合にはそれに従うようにしましょう。これは浄土真宗の規定による数という意味でなく、その地域における慣習等が含まれた答えと思われます。)
参考までにご紹介しますと、今ではお供え物はお店に注文するのが主流な世の中ですが、家の伝統を受け継いで自宅で作ってお供えする家もあります。こちらの浄土真宗のご住職のブログでは、熨斗餅を花型でくり抜いて作り、積み重ねてお華束を飾る家庭の写真が掲載されています。心のこもったお華束を見ると参考になりますよ。→住職日記
おけそくに半紙は必要?
お華束の飾り付けについては、浄土真宗では供笥(くげ)を使うのですが、丸餅を使う場合は半紙を敷いてから載せるようにしましょう。(お餅を直接供笥にのせると、くっついてしまう可能性が高いためです。)
ただし、個包装になっている砂糖で作られているお華束等の場合、餅が供笥にくっつく心配がないので半紙を置く必要ありません。
さいごに
浄土真宗のおけそくは、お供え物のお餅のことを言います。ですが、なかなか手に入らなかったり、手に入ったとしてもカビやすいことから、今では砂糖を固めたものや、落雁で代用するケースが増えています。
特にお寺の指定がなければ、上のような商品で問題ないのですが、その地域における独自の慣習の影響があるかもしれないので、一度お寺に確認した上で準備してくださいね。