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浄土真宗は初盆をしないの?仏壇のお供えや提灯飾りは?お布施は?

浄土真宗では初盆をしないという話を耳にしますが、本当に何もしないで良いのでしょうか。

また、何かするなら、仏壇にお供えや提灯飾りはどうすれば良いのでしょうか。

お坊さんに初盆法要をしてもらう場合のお布施の金額はいくらが相場でしょうか。

今回は、浄土真宗の門徒が知っておきたい初盆に関する知識をまとめました。

浄土真宗は初盆をしないの?

初盆は、家族が亡くなって初めて迎える「お盆」のことで、「新盆」と言う地域もあります。

いつもは極楽浄土にいるご先祖さまが、お盆の時期に家へ戻ってくるので先祖供養をするのですが、初めてのお盆だと、ご先祖様が帰る場所が分からず迷うといけないので、特別に提灯や灯籠を飾ったりします。

ですが、浄土真宗では他の宗派のような初盆や翌年以降のお盆がない、とされています。

では、同じ仏教なのに何故浄土真宗だけがないのでしょうか。

これは、浄土真宗の教えの根底にあるのが

「亡くなったら直ぐに成仏する」

ということなのですが、これが他の宗派と大きく異なるためです。他の宗派では亡くなった時に「霊」になり、49日後に成仏するとされていますが、浄土真宗では即身仏なので、供養という概念がありません。

そして、もう1つの大きな違いが、

「成仏した仏様は、この世にいらっしゃる」

ということです。他の宗派では、「普段は浄土にいて、お盆の時期になるとこの世に帰ってくる」のですが、浄土真宗における仏は、浄土でなくこの世に戻っており、いつも人間の苦しみを救うため見守ってくれている、という教えになっているのです。

ですから、浄土真宗ではお盆をする必要がないのです。・・・というか、
ご先祖様は既に成仏しているので先祖供養の必要がないし、
いつもこの世にいて子孫である私達を見守ってくれている。

・・・ということで、お盆の時期にわざわざお迎えする必要がない。つまり、お盆は不要であるという結論なのです。

浄土真宗の初盆で仏壇のお供えや提灯飾りは?

とはいえ、

「我が家は浄土真宗だから初盆やお盆をしません。」

・・・なんて親戚に宣言してしまうと、年配の親戚から仏事が疎かだとお叱りを受ける可能性もあります。浄土真宗以外ではお盆を意識するものですし、家族が亡くなったらお盆に何か供養をするのは当然だろうと思う人が多いですし。

じゃあ、どうするかというと。現実的には、浄土真宗のお寺でも初盆法要やお盆法要は行われているし、何らかの形で初盆を行う家庭も少なくありません。

というのも、浄土真宗は確かに先祖供養の必要はないのですが、「生きている私達自身が仏法を聞く」ということが功徳であり阿弥陀如来さまに救われるという教えです。

つまり、お坊さんにお経をあげてもらうのは先祖のためではなく自分自身が救われることに繋がるのです。そして、この機会を与えてくれたご先祖様への感謝を持つことも大切です。

初盆は特に初めてのお盆なので、故人を縁とする親戚が集まるものですし、故人を偲びつつ仏法を聞く、というのが浄土真宗の門徒としては非常に重要なことなのです。

では、実際にどのようなことを行うか、について他の宗派との違いを意識してお話しすると、以下のようになります。

【浄土真宗でやらないこと】

  • 他の宗派のような「迎え火」や「送り火」はしない。
  • 新盆における提灯や精霊棚などは不要。
  • 野菜などのお供えは不要。

【浄土真宗でやること】

  • 切籠灯籠(盆灯篭)を一対仏壇の前に下げる(無くてもOK)。
  • 打敷(うちしき。法要等の際に使う三角形の布)を仏壇にかける。
  • 供笥(くげ)に白い丸餅(お華束、おけそく)を重ね盛りする。

ちなみに、打敷(うちしき)は以下のようなものがあります。夏用と冬用があるので、初盆では夏用を使いましょう。

お華束をのせる台を供笥(くげ)と言います。似たようなもので「高台」がありますが、こちらは略式なので、用意するなら供笥にしましょう。

供笥の大きさはいくつかありますが、丸餅をのせることを考えると2寸5分くらいがちょうど良いでしょう。また、形は大谷派(お東)の場合は八角形と決まっています。本願寺派(お西)の場合は六角形ですが、八角形でも大丈夫です。

大谷派(お東)の供笥はこちらです。

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本願寺派(お西)の供笥はこちらです。

この他、仏壇へのお供えとしては、大谷派(お東)は丸餅のみを、本願寺派(お西)は丸餅以外に菓子や果物なども必要です。

◆お華束(おけそく)って何?という方へのおすすめ記事はこちらです。
浄土真宗の おけそく とは?値段は?どこで買うの?盛り方は?

浄土真宗では、提灯のような飾りをしないのが一般的ですが、例外的に飾り付けをする家もあります。これは、その地方の特産物を取り入れた飾りをつけるというような、その地方独自の要素があるからです。

もし家の慣習が分からない場合、近い親戚(浄土真宗の門徒)がいるなら訊いても良いのですが、どちらかというと、菩提寺や葬儀社に「初めてで分からないので教えて下さい」と訊くのが情報としては確実でしょう。 今は仏事に疎い家が多いし、このようなことを聞くのは恥ずかしいことではありませんよ。

浄土真宗の初盆で御布施の金額は?

浄土真宗の初盆法要におけるお布施の金額は、これも同じ浄土真宗でもお寺によって異なるので、お寺に確認するのが確実ですが、目安としては以下の通りです。

  • 自宅で行う場合→3万円程度(通常のお盆は1万円程度)
  • お寺で集まって行う場合→5千円~1万円程度

初盆法要やお盆法要は、自宅にお坊さんに来てもらうケースとお寺の本堂で集まって行うケースの2通りがあります。初盆法要は通常のお盆と異なり出席者が多いことからお寺で行うケースが多く、それ以降のお盆は自宅で行うケースが多いです。ただ、地域性もあるし、お寺の規模や檀家数等によっても、どちらになるか異なります。

御布施の金額も同様に、お寺によって異なります。自宅で行う場合とお寺で行う場合、どちらにしても、同じ浄土真宗でもお寺によって異なります。

例えば、お寺で行う場合で安いケースだと、数百円から千円程度のお布施をお賽銭箱に入れるだけで済むお寺もあります。年会費があるお寺だと、お盆法要ではお布施が不要というところもあるし、話し合いでお布施金額が決まるお寺もあります。

逆に、エレベーターなどの設備がかなり整っている場合はお布施が1万円超(初盆だと3万円程度)というようなお寺もあります。これは、お寺の維持費を檀家で負担するため、設備が整えば整うほど檀家の負担が大きくなってしまうためなのです。

ということで、お布施金額についてもお寺に「お布施はいくらくらいでしょうか」と素直に訊いてしまう方が良いでしょう。

自宅に来てもらう場合の注意事項

初盆法要やお盆法要をお寺で行う場合はお布施だけで済みますが、自宅の場合にはお坊さんに対しての気遣いとして、お車代も必要です。また、車を置くスペースを確保しておき、事前に止める場所などを伝えておきましょう。

自宅で行う場合は、お坊さんも沢山の檀家を回るため、訪問時間は15分から30分程度しかありません。なので、通常の法要と異なりお斎(御膳料)は不要で、お茶を出す程度で大丈夫です。

ところで、お坊さんは1日で何軒も回るし、どこの家でもお茶を出されて飲むことから、どこかでトイレに行きたくなる可能性が出てきます。ですから、トイレを貸す可能性を考えて、トイレ掃除をしておく方が良いかもしれません。

さいごに

浄土真宗の場合は初盆をしないとは言いますが、提灯や灯籠などの飾りをしないだけで、普通のお盆法要を行うところが多いです。

ただ、他の宗派と異なり「先祖供養」ではなく「先祖への感謝」「自分の功徳を積む」というような意味になります。また、お供えもご先祖さまではなく「ご本尊である阿弥陀如来さま」にお供えするすることを忘れてはいけません。

実際のやり方は地域性もあるため、親や浄土真宗の門徒である親戚に訊くか、お寺や葬儀社に訊くのが良いでしょう。

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