袱紗(ふくさ)は家にあるけど使い方が分からなくて
結婚式や葬儀の時に実際に使えるか心配だわ。
袱紗の包み方と渡し方について具体的な動作を知りたいのだけど・・・。
このような悩みを抱えている人は意外と多いものです。
今回は、袱紗の包み方と渡し方について、
- 結婚式(慶事)と葬儀(弔事)の違い
- お布施、お見舞い等はどっちになるのか
以上のような、ケースに応じた使い分けと、実際の台付き袱紗や金封袱紗の方法をお話しします。
袱紗の包み方と渡し方の基本とは?
袱紗は冠婚葬祭の様々な場面で使われているしハウツーマニュアル等も多いのですが、相手に金封を袱紗から出して渡す際の動作については、あまり具体的に書かれていません。
実のところ、私自身も長年気になっていたことなので、マナー本やインターネット情報をあれこれ調べたのですが、殆ど記載がありませんでした。これは、マナーの基本を踏まえて、それに沿った振る舞いをすることが重要であり、「そこまでの一挙一動に関する規定はない」というのが1つの答えなのだと思います。
では、袱紗に関するマナーの基本というと、どのようなことがあるのでしょうか。
次に袱紗を扱う上でのポイントを3つお話しします。
1.自分が(袱紗の中身の金品を)素手で触らない
袱紗というのは元々、相手に贈る大事な金品を扱うことから、
- 埃がかからないようにすること
- 自分が素手で扱わないこと
このような目的から出来た四角い布でした。ですから、ここで大切なのは、
「袱紗の上にのせたまま、金品を相手に受け取ってもらう」
ということです。
2.袱紗の向き
相手に差し出す際に向きを変えることも大切です。
「最初は自分が文字を読める向きにしておき、差し出す際に180度回転させて相手の向きにする」
ということになります。
3.袱紗を開ける時の動作
この記事を読む方の多くが、この点について最も気になると思います。というのも、マナー講座的な動画を見ると、「包み方」の紹介だけで、開け方についての紹介がほとんどないからです。そこで、詳しく書いてある人のものを色々確認したのですが、いくつかやり方が分かれているようです。
ただ、共通していることもあります。それは、
- 袱紗を開ける際に、四隅をダラッと垂らすと見た目が美しくないので避ける
- 袱紗は小さく納めるようにする
この2点です。
では次に、結婚式や葬儀における包み方や渡し方の違いについてお話しします。
袱紗の包み方 結婚式と葬儀の違いとは?
結婚式と葬儀では、使える色が異なり、結婚式では暖色系、葬儀では寒色系の色合いが使われます。この中でも紫色は慶弔兼用なので重宝され、これ1つだけを持っている人が多いです。
◆詳細はこちらの記事をご確認ください。
→袱紗の種類でおすすめは?色と材質とサイズで注意すべきことは?
ただ、紫色を使う場合であっても、包み方や渡し方が慶事と弔事で以下のような違いがあります。
【包み方】
慶事は右開き
弔事は左開き
【渡し方】
慶事は時計回り
弔事は反時計回り
【受け取り方】
慶事弔事共に、袱紗の上に熨斗袋がのせて相手に差し出しますが、受け取る側は、
慶事は袱紗ごと受け取る(熨斗袋だけをお盆に置き、袱紗を180度回転させて返す)
弔事は袱紗だけ受け取る
という動作になります。
なぜこのような違いがあるかというと、慶事では元々お返しを入れて戻すため袱紗を受け取るという理由がありました。一方、弔事では相手から何か不幸を貰うといけないのでお返しを期待ません。そのため、袱紗は渡さず熨斗袋だけを渡すのです。
袱紗の包み方でお布施やお見舞いは?
結婚式と葬儀の包み方は分かったけど、お布施やお見舞いは慶事だか弔事だか分からない・・・と悩む人もいますよね。
考え方は以下の通りです。
お布施は仏事ということで、弔事の包み方になります。
また、お見舞いについては、慶事の包み方になります。(お見舞いは紅白の水引で結び切り、熨斗付きの祝儀袋です。)
袱紗で台付きと金封 包み方の手順
袱紗の使い方の基本は分かったけど、やっぱり流れを読んだ方が覚えやすい、という人もいるでしょうし、具体的な流れをこれからお話ししますね。
*台付き袱紗と金封袱紗では、形は異なりますが、包み方の基本は同じで「慶事は右開き」「弔事は左開き」です。
台付き袱紗の包み方
【慶事の場合】
- 袱紗の爪を右側にして置きます。
- 台の赤い面を上向きにして、袱紗の中央(少し左寄り)に置き、ご祝儀袋をのせます。
- 袱紗を「左、上、下、右」の順に包みます。
- 最後に爪を裏側に引っ掛けて終了です。
【弔事の場合】
- 袱紗の爪を左側にして置きます。
- 台のグレー色の面を上向きにして、袱紗の中央(少し右寄り)に置き、不祝儀袋をのせます。
- 袱紗を「右、下、上、左」の順に包みます。
- 最後に爪を裏側に引っ掛けて終了です。
*台なし袱紗は爪が無い以外は台付き袱紗と同じなので、包み方の手順は同じです。
金封袱紗の包み方
金封袱紗の場合は台付き袱紗と基本は同じですが、以下のようになります。
【慶事の場合】
金封袱紗の右側が開くように、左手で持ち、ご祝儀袋を入れて閉じます。
【弔事の場合】
金封袱紗の左側が開くように、右手で持ち、不祝儀袋を入れて閉じます。
袱紗の開き方と渡し方の手順
袱紗を包みから出して渡す時の動きは袱紗の種類によって若干異なりますが、相手に差し出す際の回転の向きは同じで、慶事の場合時計回り、弔事の場合反時計周りに180度回転させます。
台のない袱紗
- 慶事弔事ともに、包む時の逆順に、四隅を持って開いていきます。
- 袱紗を熨斗袋くらいの大きさに手早く折りたたみ、その上に熨斗袋をのせます。(この時は自分が読める向きになっています。)
- 相手が読める向きに180度回転させて、袱紗の上にのせた状態で熨斗袋を両手で差し出します。
台付き袱紗
台のない袱紗と同様に「包む時の逆順に」開いていきますが、台付きの場合は2通りのやり方があります。
【パターン1】開けてから袱紗を元通りに戻して熨斗袋をのせる方法
【パターン2】開けてから台をお盆の代わりに見せて熨斗袋をのせて、袱紗を後ろ側に折り込む方法
上の画像だと分かりにくいのですが、左側は熨斗袋の下に紫色の袱紗がたたんだ状態であり、右側は熨斗袋の下に赤色の台が見える状態になっています。また、その下には袱紗の裏側の白い布が若干見えています。
袱紗の製造元に問い合わせたところ、「どちらの方法でも問題ありませんが、どちらかというと台付き袱紗の台を見せる方が、本来の(台付き袱紗の)良さを活かすことができますよ。」という説明を受けました。
では、この2パターンについて、ここでは慶事の場合の手順を画像でご紹介します。
【パターン1】開けてから袱紗を元通りに戻して熨斗袋をのせる方法
【パターン2】開けてから台をお盆の代わりに見せて熨斗袋をのせて、袱紗を後ろ側に折り込む方法
金封袱紗
金封袱紗を使う場合も基本的に上の方法と同じです。
- 袱紗から熨斗袋を取り出します。
- 袱紗の上に熨斗袋をのせます。(この時は自分が読める向きになっています。)
- 相手が読める向きに180度回転させて、袱紗の上にのせた状態で熨斗袋を両手で差し出します。
さいごに
袱紗を使う方法についてお話ししてきましたが、最近は、袱紗の上に熨斗袋をのせて渡す方法を知らない受付係も少なくありません。「慶事の場合には袱紗ごと受け取り、弔事の場合は袱紗を残して熨斗袋だけを受け取るものだ」と自分が思っていても、その通りに相手に受け取ってもらえない可能性があります。
ですから、「熨斗袋は袱紗や台の上に置いて渡す」のが正式というのは覚えておく方が良いけれど、「袱紗をしまって熨斗袋だけを持って渡す」方法も間違いではありませんし、近年ではこの方法で渡す人も増えています。
大切なのは「何が正しいのか」を主張することでなく「相手への思いやり」です。ぜひ、「場をわきまえて、その場に合ったスムーズな渡し方」を心掛けるようにしましょう。