冠婚葬祭マナー

香典の入れ方で中袋ありの場合 お札の顔は表裏上下どこ向きが正解?


香典の入れ方ってどうだっけ?

と葬儀のたびに迷いますよね。

今回は、香典の入れ方で中袋ありの場合に

・お札の顏の表裏上下の向きをどうするのか
・何故その向きなのか
・その他、気を付けたいマナー

以上についてまとめました。

香典の入れ方で中袋ありの場合は?

葬儀における香典の入れ方については、通常、外から順に「上包み・中袋・お札」となっていますが、上包みと中袋の表裏は揃えて、最後の「お札を裏向きに入れる」という考え方が一般的です。

また、お札の顏が上下どちらになるか、という問題については、これは上側、下側どちらでも問題ないとされています。

ということで、これを実際にやってみると下の写真のようになります。

でも、何故裏向きにするのか、上下はどっちも有りなのか不思議だと思う人もいるでしょうし、理由についてお話ししますね。


香典の入れ方で顔が裏向きの理由とは?

葬儀における香典でお札を裏向きにする理由としては、主に以下のような説があります。

  • 裏向きにすることで「悲しみで顔を伏せる」「不幸に顔を背ける」という意味を表す。
  • 弔事は日常行うパターンと逆にするため(故人の着物を左前にするのと同じ)。
  • 裏向きの方が、お金を数えやすくて(お金が急に必要になる)葬儀では便利なため。(中袋は裏面からの方が素早く開けられるし、その際に裏から見てお札が表向きになっている方が金額が確認しやすい)
  • こう見ていくと「裏向き」というのは、なるほど意味があるのだなあ、と思うものですが、実は、次のような真逆の見解もあるのです。

    • 香典を開けるのは喪主ではないため、お札の裏表は気にしなくて問題ないし、意味がない。
    • 裏向きだけは慣習なので気にした方が良いけど、顔の上下はどちらでもOK。
    • 香典は仏様や故人への供物なので裏向きなんて失礼。表向きにして堂々と捧げ、礼を尽くすもの。

今はどちらかというと、「お札は裏向き」にするという見解が主流であり、このような見解は少数派になっているようです。
ただ、他にも様々なマナーで共通しているのですが、葬儀などにおけるマナーについては、自称マナー講師が独自の解釈で人に話したことをきっかけに広まって、それが正しいものとして認識されるようになったものが様々あるのですよね。で、一度そうなった以上、それに合わせる方が無難な選択肢だという見解もあるのです。

現実的なことを考えると、香典を開けるのは受付係や親族等が多く、お札の向きなんて気にしません。ちなみに、担当者で性格が細かい人だと、お札の向きを全て揃えて喪主に手渡すこともあるけど、滅多にありませんし、そこまでやる必要はありません。
また、仏様へ捧げるもの、というのを重視すると、やはり裏向きは失礼だというのも分かりますよね。ただ、葬儀で渡す場合は中身を取り出してしまうため、裏向きだって仏様は気にしないかもしれません。

なので、裏向きに関して突き詰めると、答えが迷宮入りしてしまうのでここで終了しますが、無難な選択をするならば、

「お札は裏向きにして、顔の上下はどちらにしても間違いではない。
ただ、複数のお札を入れる場合は、向きを全て揃えて入れる。」

程度の認識で大丈夫でしょう。

そして、もし将来自分が遺族の側に立った時、いただいた香典に対してあれこれ細かいことを気にしない、ということを頭の隅に入れておきましょう。

香典の入れ方 お札の上下の向きは?

お札の裏向きの理由と同様に、顔が上下どちらになるかについても様々な見解があります。
結果としては既にお話ししたように、どっちでも大丈夫なのですが、気にする人もいるでしょうし、ちょっとまとめてみました。

  • 弔事なので顔を下側にすることで「悲しみのため顔を伏せる」の意味を表すため。
  • 結婚式と反対にする(結婚式では顔を上にして喜びを表す)ため。
  • お札の金額の文字が中袋を開けて直ぐに見えるようにするため(葬儀におけるお金の緊急性を重要視)。

でも、真逆の見解もあります。

  • 弔事なので人物を上側にすると、目線が下を向く。そうすることで「悲しみのため顔を伏せる」の意味を表す。

「悲しみで顔を伏せる」は同じにしても、人物そのものを下にするのか、目線を重視するのかによって180度違ってしまうのですよね。

これは地域性もあるようですし、その地域で一般的な入れ方、風習が分かればそれに従うのが無難ですが、香典は喪主以外の人が開けてしまうケースが多いのですし、そこまで気にしないで良いのではないでしょうか。


香典の入れ方マナーで重要ポイントは?

このように、お札の入れ方1つにしても様々な説があり、どれが正しいのか分からない、と悩む人が出てくるかもしれません。今の世の中ネットを見れば様々な情報が氾濫している時代ですから、調べれば調べるほど訳分からなくて混乱してしまうものです。
ただ、その中でも、お札を入れる際の共通しているマナー「これだけは押さえておきたい」ということがありますので、ここでご紹介しておきます。

それは、

「袋に書いた金額と、実際の金額が一致していること」
「上包みの裏の折り返しは上側が垂れるようにすること」

です。

これは絶対に間違いないようにしてくださいね。
加えるならば、

「中袋は糊付けしない」

糊付けされると、受付係が困るのです。金額に間違いない、誰にもお金を抜かれないように、という配慮かもしれませんが、数多い香典を整理する受付係としては、手間のかかることをされると困るのですよね。香典は受付係のためのものではなく、故人や喪主に対するものであり、配慮は故人と喪主にすべきだ、という考え方もありますが、やはり、受付係は喪主の代理で行っているのですから、受付がやりやすいよう配慮することも大切だと思うのですよね。

時々、香典袋の種類によっては中袋に「封」が書かれている封筒もあるのですが、その文字の意味を考えると「糊付けしても良い」という解釈になりますが、やはり糊付けはしたくないものです。

また、
「新札を使わない」

ということもあります。新札だと「あらかじめ用意していた」ことを意味してしまうため、弔事においてはNGとされています。

ですが、あまりにも使い古したボロボロのお札も故人にお供えするのに如何なものかと思いますよね。ですから、どちらかというと、「ちょっと使った程度のお札」と考えて選ぶ方が無難です。もし適当なお札が見つからず新札しか無い場合は、新札を軽く折って折り目をつければ大丈夫です。

さいごに

お札の入れ方について、今は「裏向き」が一般的になっていますが、地域の風習や家の考え方などによって違うこともあります。

もしその地域における風習が分かれば、それに倣う方が良いでしょう。

ただ、繰り返しになりますが、香典は開けてしまえば向きなんてどうでも良いことになってしまうのですから、香典の入れ方で悩むのは勿体ないです。最初にご紹介した、一般的な入れ方でやれば大丈夫でしょう。

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