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言葉遣い

暑中見舞いと暑中お伺いの違いは?敬語の使い分けから考えよう!

暑中お見舞い申し上げます

というのが夏の季節の挨拶文だと思っていましたし、お中元の時期が過ぎた場合の贈答品は「暑中御見舞」とするのだと思っていました。ですが、とある人から

「目上の人に対しては『暑中お伺い』であるべきだし、夏の便りも『暑中お伺い申し上げます。』とするべきだよ。」

と指摘されたことがあります。最初は「この人何を言っているのだろう?」と思ったのですが、マナー本やネットで調べてみると、そういう説もあるそうですね。腑に落ちないこともあるので、この2つについて、マナーや敬語の使い分けの観点から考えてみました。

暑中見舞いと暑中お伺いの違いは?

マナーに関しては、「この場面ではこうすべきもの」と主張するケースも見受けられますが、時代と共に変化したり、地域によって異なるものもあります。元々は、「相手を嫌な気分にさせず心地良い時を過ごしてもらう」という配慮から生まれた決まりごとなんですよね。

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そして、今回の疑問である「暑中見舞い申し上げます」について、どこが悪いのかと聞いてみたところ、「見舞いというのは、目上の人が目下の人に言う言葉」ということでした。

お見舞いとは、上下関係で使い分ける言葉だったのでしょうか?

何か災害があった時に「災害見舞」などをお渡しすることもありますが、「目上の方から目下に」という意味であるならば、受け取った方に対して見下しているようでむしろ失礼な気がします。また、広告や各社サイトで見かける「暑中お見舞い申し上げます」はがき体裁のものは、企業側が上で消費者は完全に下に見られていることになり、マナー講師などが最初に噛みつきそうなところですが、ここの指摘はなさそうですね。。

また、上下関係の厳しさ正しさと言えば皇室なのですが、以下の記事がありました。

2012年2月19日
皇太子さまと秋篠宮さまは19日夕方、心臓の冠動脈のバイパス手術を受けた天皇陛下をお見舞いされた。

引用元:https://www.news24.jp/articles/2012/02/19/07200419.html

敬語などの言葉遣いに関しては、皇室の方々の話し言葉が一番正確ですし、取材する報道側も非常に神経を遣って文章を書きます。ですから、判断に迷う時には皇室関係の文章を確認するのは、正解への近道でもあります。

この引用記事中、皇太子さまよりも陛下の方が目上ですが、「見舞う」という言葉を使っていますね。ですから「暑中見舞い申し上げます」も、目上の方に対して使って構わない言い回しと考えられるでしょう。

では次に、「見舞う」と「伺う」の意味について確認していきましょう。

見舞い 伺い 意味は同じなの?

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「見舞う」と「伺う」について国語辞典には複数の意味がありますが、今回の内容に関係するのは次のようなものがあります。

  • 見舞う
    :病気の人や災難に遭った人を訪れ慰めたり、訪問できない場合に文書等で安否を尋ねる
    :訪問する、挨拶に行く
  • 伺う
    :聞く、尋ねる、問う、訪れる、訪問するの謙譲語。

「見舞う」という言葉には相手の安否を尋ねたり健康を気遣う意味があるように、「暑中見舞」には、「暑い季節になりましたが、如何お過ごしでしょうか。体調を崩していたりしませんか。」のような意味が込められています。

「見舞う」「伺う」共に、「訪問する」という意味はありますが、「見舞う」には相手のことを気遣う要素が含まれ、「伺う」にはその要素は含まれません。「暑中お伺い」では、「暑い中、伺います」ということであり、何を伺うのかが分からない文章になりますね。これが「暑中如何お過ごしかとお伺い申し上げます」までの文章であれば、意味が理解できるのですが。。

現代のマナー本やインターネット上のコピペの嵐では「暑中お伺い」が当然となっていますが、果たして日本語として正しいのかの疑問は、解消されないままです。

 

敬語の使い分けから「暑中お見舞い」を考える

敬語の観点からも、考えてみます。

「暑中お見舞い申し上げます」の「申し上げます」は謙譲語ですね。

謙譲語は敬語の1つであり、自分をへりくだって言う言葉、つまり、相手は自分よりも目上である際に使います。

なお、敬語は下記のように分類されますが、いずれも相手に対する敬意を表します。

  • 尊敬語
    :相手が動作する場合、かつ、相手を敬う言葉。(例:いらっしゃる、なさる)
  • 謙譲語Ⅰ
    :自分が動作する場合、かつ、自分をへりくだることで相手を立てる言葉。(例:伺う、申し上げる、頂戴する)
  • 謙譲語Ⅱ
    :自分が動作する場合、かつ、丁重に話す言葉。謙譲語Ⅰと違って動作の相手がいなくてもOK。(例:参る、いたす)
  • 丁寧語
    :丁寧な言葉。(例:です、ます、ございます)
  • 美化語
    :「お、ご」をつけるのが一般的な言葉(例:お茶、ご飯、お食事)

今回の「お見舞い」は謙譲語に区分されますが、美化語とも言えます。「お見舞いなさった」となれば尊敬語になります。
相手に敬意を表する言葉遣いであることは確かですから、失礼な表現にはあたりませんね。

 

さいごに

マナーは時代と共に変遷します。過去にはあり得なかったことが、時代の変化とともに認められるようになることは多々あります。でも、今回の場合はどうなのでしょうか。時代とともに変化したのではなく、いつから本当に使われていたのかもわからないものを、「これがマナー」とどなたかが言い出したものかもしれません。確かに、どこかでは使われていた表現なのでしょうが、古くからのマナーとして使われてきた表現ではありません。

マナーとは、相手に不快感を与えないよう、相手を思い敬意を表することです。一方的に、外野から押し付けるものでもありません。また、形ばかりを追いかけて、心を置き去りにするものでもありません。

「暑中お伺い」を否定するわけではありませんが、疑問に思ったり、違和感を覚えた時には、検索で答えを探すのではなく、分解して頭で考えてみることも大切ですね。

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