香典の文字は薄墨で書くのがマナーという話を聞きますが、喪中はがきの宛名も薄墨で書くべきでしょうか。
今回は、喪中はがきの宛名を書く時の注意事項として、薄墨にすべきか、横書きは問題あるのか、手書きで筆ペンやボールペンを使っていいのか等をお話しします。
喪中はがき宛名の色は黒でなく薄墨にすべき?
弔事の薄墨マナーとは?
香典に薄墨で書くのは、
「涙で墨が滲んでしまい薄くなった」
「急な出来事で墨をきちんと磨る時間がなく、読める程度の薄い色で書いて参上した」
という意味があります。
ですので、弔事は薄墨という認識のある人もいるようですが、弔事全部が薄墨である必要はありません。
法要や喪中はがきはあらかじめ予定が分かっていることなので十分な準備ができることから、黒色の墨で問題ないのです。
ということで、喪中はがきは黒色で大丈夫です。
喪中はがきの宛名の色について
喪中はがき=弔事
という点だと薄墨でも問題ないのではないか、と考えたくなりますよね。
でも、「郵便はがき」という観点からみると、問題があるのです。
というのも、郵便物は黒か青色のインクで書かれた郵便番号を機械で読み取って区分け作業するため、薄墨では読み取れない可能性もあります。
(現在の機械は非常に性能が良いので薄墨でも読み取れる、という意見もあるのですが、実際はどうか分かりません。)
宛名と弔事のマナーは切り離して考えることが大切です。
郵便物は手渡しする物ではないので、配達する人や区分けする機械が読み取りやすい必要があるのです。
マナーというのは「相手に対する気遣い」ですので、薄墨が身内を亡くした人への気遣いであるなら、宛名は配達する郵便局の人への気遣いであり、郵便局の決まりを守って読み取りやすい文字色にするのがマナーなのです。
はがき印刷ソフトの薄墨設定
弔事マナー=薄墨
という流れがあるためか、はがき印刷ソフトによっては「宛名印刷を薄墨にする・しない」という選択が可能です。
この場合、郵便マナーを考えると薄墨設定にしないで黒文字印刷すべきなのですが、「郵便番号部分だけ黒文字で住所氏名は薄墨」という設定のソフトもあるようです。
これなら郵便局の機械での読み取りは問題ないし、薄墨設定での印刷も問題ありません。
ただ、個人的には、葬儀のような緊急性のあるものに限り薄墨にする意味があるのであって、喪中はがきの場合は準備期間が十分確保できることですし、黒文字で問題ないと考えています。
喪中はがきの宛名は横書きでなく縦書きにすべき?
喪中はがきの宛名は縦書きにしなければならない、という決まりはありません。
ただ、日本語は元々縦書き文化だったため、その流れで郵便物は全て昔から縦書きとなっていました。
また、喪中はがきの文章も縦書きなのであれば、表裏は書き方を揃えるべきです。
そして、喪中はがきは厳粛な書面であるので、昔からの流れに従って縦書きのほうが無難です。
横書きは欧米文化が入ってからの流れであり、どちらかというとカジュアルなイメージを抱く人が多いですよね。
大量に発送する場合でパソコンなどの宛名印刷ができない場合に「横書きの宛名シール」を貼るという方法もありますが、正式な書面ですので出来れば避けた方が良いでしょう。
喪中はがきの宛名を手書き ボールペンでなく筆ペンか?
・印刷屋さんでの宛名印刷ができない
・筆耕に依頼するのができない
・自宅でパソコン印刷ができない
となると、残された方法は「手書き」になります。
印刷が主流な現在、手書きでも良いのだろうか?と悩むかもしれませんが、そもそも手紙やはがきは手書きが当たり前でしたし、丁寧な印象があるので全く問題がありません。
というか、手書きでやるのが大変だから皆さん印刷しているだけなのですよね。
喪中はがきの宛名を手書きする場合の道具については特に決まりはありません。
ただ、筆記用具の正式な物としては万年筆があり、ボールペンは略式といわれています。
ですので、ボールペンは避けた方が良いでしょう。
万年筆がない、使い慣れていないという場合は、ボールペンでも万年筆のような書き味になる物を選んだ方が良いですね。
そして、やはり筆や筆ペンが一番丁寧な印象があります。
筆ペンは数社から発売されていますが、書き味も若干違うので、書きやすいものを試してみると良いでしょう。
さいごに
喪中はがきの宛名の色や使う道具について迷うかもしれませんが、宛名部分は相手に届くために郵便局で情報を認識するための物であり、 相手に対するマナーではなく郵便マナーを考慮すべきなのです。
そのため、薄墨というのにこだわらず、読みやすい黒で書くほうが良いでしょう。