家族や故人のごく親しい友人などだけで、故人のお見送りをする「家族葬」は、コロナの影響や社会生活の変化、葬儀費用の高騰などの理由から、この数年注目を集め、増加傾向にあります。
「家族葬」というくらいですから、参列するのは家族が中心となりますが、どの程度参列者を呼ぶか、どのような内容で行うかなどの明確な定義はありません。故人や遺族の意向でその範囲や内容を決めるため自由度が高い一方で、判断が難しいことも考えられます。
今回は、家族葬の範囲やその判断基準、参列する人・参列しない人への連絡方法などをご紹介します。
家族葬の「家族」の範囲はどこまで?

家族葬の「家族」の範囲には明確な定義はありません。故人や遺族の意向で、その範囲を決めることができます。
家族葬とは?
家族葬とは、家族や故人のごく親しい友人などだけで、故人のお見送りをすることです。明確な定義はありませんが、公正取引委員会が暫定的に定めている定義(2016年)では、親族や親しいご友人など親しい関係者のみが出席して執り行う、参列者50名未満の葬儀を家族葬としています。
【家族葬】
参照:(平成29年3月22日)葬儀の取引に関する実態調査報告書 PDFの27ページ
親族や親しい友人など親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。通夜・告別式,火葬等は一般葬と同様に執り行われる。
※ 本調査においては,参列者50名未満の葬儀を家族葬と定義した。
10人程度の家族葬なら範囲は2等親
故人と二等身以内で家族葬を行う場合には10人程度で営むことができます。
【二等親以内の親族】
故人の配偶者、親(一等親)、子(一等親)、祖父母(二等親)、兄弟姉妹(二等親)、孫(二等親)
兄弟姉妹、子や孫が多い場合には、二等親以内の親族といっても10名を超えることもあるでしょうし、極端な話2〜3名で営むこともできます。
二等親以内の親族と、ごく親しい友人だけに列席していただくこともできます。
故人が自分の親の場合、親の兄弟、自分にとっての叔父叔母までは範囲に含まれますので、最小限の範囲と言えます。周りに気遣いをすることなく、ゆったりとお別れができる人数とも言えるでしょう。
10~30名程度の家族葬なら範囲は親戚+ごく親しい関係者
遺族に加え、親戚やごく親しい友人や仕事などの関係者などに列席していただくと、10〜30名程度になるでしょう。
遺族も、ほぼ全員が面識があるような感じです。家族葬でも一番多いパターンとも言われています。ほとんどの親戚にも列席していただく形になるので、「私だけ参列できなかった」などの親戚トラブルは回避できそうです。
30〜50名程度の家族葬なら範囲は親戚+友人や親しい関係者
親戚の他にも、親しい友人や、仕事やプライベートの活動で関係の深かった関係者などに列席していただくと、30名を超えることもあるでしょう。
交友関係の広さや、親戚の数にもよりますが、故人と関わりの深い方には一通り声をかけることができそうです。故人と親しくしていた方が「参列できなかった」というトラブルは回避できるでしょうが、故人や遺族の意向以上に葬儀日程が広く伝わる可能性が高くなり、お声がけしていない方が当日列席されるといったトラブルが起きやすくなるかもしれません。
家族葬も列席者数によって会場も費用も変わってきますので、早い段階で葬儀社に相談してみましょう。日本最大級の葬儀ポータルサイト「いい葬儀」であれば、全国対応ですし、詳細を決める相談にも乗ってもらえます。新しい葬儀のあり方への知識も豊富ですし、地域のしがらみとも関係ありませんので、生前健康なうちからでも気楽に相談できると思います。
家族葬の参列者の範囲で迷った時の判断基準は?

遺族が参列者の範囲を決めないと、葬儀の準備が進まなくなります。また、亡くなったことが親族や近所の人などの耳に入ってしまうと、そこから遺族の管理できない範囲に訃報は広まるものです。訃報が広まってしまった後では、家族葬をするので参列や香典、供物、弔問を辞退するというのは、なかなか言いづらいものです。
遺族個々人にも、それぞれの想いや希望するお別れの形があるかもしれませんが、家族葬をする場合には、早急に判断する必要があるのです。迷った場合の判断基準は、2つです。悲しみにくれているところに辛い判断ではありますが、割り切って考えることをお勧めします。
・二等親以内に限定する
・迷った人には参列の案内をする
二等身以内に限定する
一般葬ではなく、家族葬で営むと決めた場合で、どこまでの範囲とするか悩んでしまったら、二親等以内に限定されるケースが多いようです。
二等親であれば、上述のように「故人の配偶者、親、子、祖父母、兄弟姉妹、孫」ですから、まさに「家族」です。「故人の遺志により家族のみで執り行う」という説明もつきますので、不要なトラブルを回避し、周りの理解を得やすくなります。
親族や関係者には、訃報は早めに連絡すべきものですが、家族のみで葬儀を営む場合には葬儀終了後にお知らせしてもいいでしょう。
迷った人には参列の案内をする
家族葬とはいえ、親戚やごく親しい関係者にも参列していただく場合には、故人がすでに決めている場合を除けば、遺族がその範囲を判断することになります。
人数にもよりますが、判断に悩む場合には葬儀の案内をするのが無難です。故人との最後のお別れですから、葬儀終了後には取り返しがつきません。判断に悩むくらいであれば、列席いただく方が後悔しないでしょう。
家族葬のトラブルを避けるための連絡方法

家族葬では、一般葬にはないトラブルが発生しやすくなります。トラブルを回避する最大の対処法は「明確な連絡」につきます。
・訃報の連絡をする相手を限定する
・参列者には家族葬であることとその範囲を明確に伝える
・事後報告〜必ずしも葬儀前に訃報の連絡をする必要はない
葬儀前に訃報の連絡をする相手を限定する
訃報は早急に連絡するのが基本ですが、家族葬の場合には葬儀前に連絡する範囲や内容を限定し、家族間で明確にしておくといいでしょう。
まずは、家族や近親者の中で家族葬であることを理解することが大切です。家族や近親者から他の人へ訃報が伝わった際に、「家族葬」であることも伝えなければ、弔問や葬儀日程の問い合わせがあったり、弔電、香典、供物などが届くこともあります。悪意があるわけではなく、訃報とはそういうものですから、仕方がありません。
一度広まってしまうと、その範囲は家族で管理できなくなりますので、そこから家族葬であることを伝え理解していただくのには、かなりの労力が必要となります。家族を失い悲しみの中、家族葬への理解をいただくよう周りに説明するのは、酷なことです。そうならないためにも、訃報の連絡する相手や、連絡内容を限定しておくといいでしょう。
参列者には家族葬であることとその範囲を明確に伝える
家族葬に列席していただく親族や関係者には、葬儀の案内の際に、「家族葬」であることを明確に伝え、理解していただきましょう。
親族であれば何等親までか範囲を明確にし、友人や関係者であれば「友人代表として○○様だけ / ほんの数名だけ」と限定であることや、葬儀の案内をしていない方には葬儀後に遺族側からきちんとご報告することを、葬儀の案内とともにお知らせするといいでしょう。
葬儀の案内の時点で明確にお伝えし理解していただくことで、その方から訃報が広まることも回避できます。訃報のお知らせをした範囲を遺族が把握していれば、葬儀当日に急な参列者が来るなどのトラブルを回避できるようになります。
事後報告〜必ずしも葬儀前に訃報の連絡をする必要はない
限られた範囲で家族葬を執り行う場合には、列席者以外の方へは必ずしも葬儀前に訃報を連絡をする必要はありません。
本来、訃報は他界後早急に連絡するものではありますが、家族葬の場合トラブルを回避するためにも、葬儀後に「死亡通知状(死亡通知はがき、訃報はがき)」といった形で、お知らせすることもできます。
葬儀後も、弔問や香典、供物等を辞退する場合には、「死亡通知状(死亡通知はがき、訃報はがき)」にその旨を明記すれば理解は得られるでしょう。
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さいごに
家族葬の歴史はまだ浅く、20年程度と言われています。高齢化や葬儀費用の高騰に加え、コロナ禍の影響もあり、この数年で家族葬を選ぶ遺族が大幅に増加しているようです。年代や地域によっては、理解され難いこともあるかもしれませんが、社会全体としては理解が広がりつつあります。
家族葬には、明確な定義がなく、どこまで葬儀に列席していただくかは、故人の遺志か遺族の意向によります。参列いただく方にも、葬儀の案内をしない方にも理解を得るためには、初期の案内の仕方が極めて重要です。
家族が亡くなって葬儀までは、極めて慌ただしく細かなことを丁寧に確認するような時間も精神的余裕もありません。葬儀に関する話題はタブーなようでもありますが、いざというときに慌てたり、後悔することのないよう、健康で元気なうちに相談したり取り決めておくといいでしょう。
なお、家族葬についてより具体に詳しく知りたい方、家族葬の見積もり比較をしたい方は、日本最大級の葬儀ポータルサイト「いい葬儀」で専門家のノウハウをご確認ください。
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