実家じまいや墓じまい〜仏壇・位牌の移動(引越し)・買い替え・処分方法、改葬に必要な手続きは?

実家じまいや、墓じまい。社会生活や住環境、家族のあり方、信仰や考え方の変化もあり、社会問題ともなりつつあります。

簡単にできるものから、行政手続きが必要なもの、それなりの費用がかかるものと様々です。基本的な考え方や、必要な手続きをまとめておきます。

目次

仏壇とお墓 残すならどっち?

お墓の改葬(引越し)や仏壇や位牌の買い替え、移動などをする際には、閉眼供養(魂抜き)や開眼供養(魂入れ)営みます。

そういうものだと教えられ、そうしてきたので疑問を抱くことはありませんでしたが、お墓にも魂入れをし、位牌にも魂入れをしています。新しい仏壇にも魂入れをします。言い方は悪いですが、魂だらけです。そのすべてが必要なのか、仏壇がないとどうなるのか、、、そんな初歩的な疑問から、クリアにしていきます。

お墓とは?

お墓とは、遺骨を納め、故人やご先祖様を祀るためのものです。

新しいお墓は、開眼供養(魂入れ)をしなければただの石にすぎません。
新たに納骨する際には、改めて開眼供養し魂入れをしていただくことで、故人の魂が宿ります。

仏壇とは?

仏壇には、装飾されたスペースにご本尊が安置されています。ノリが軽くなってしまいますが、ミニチュア菩提寺、寺院の小型模型のようなものです。仏壇に毎日お参りすることは、寺院に毎日参拝する、ご本尊にお参りするのと同じ意味になるのです。

ご本尊の下に安置された位牌をお参りすることは、ご本尊に見守られ、ご本尊の元に旅立った故人やご先祖さまにも見守られていることを実感する行為とされています。

位牌とは?

位牌には、戒名や故人の情報が記入されていますが、こちらも開眼供養(魂入れ)によって、故人の霊魂が宿ります

結局、お墓と仏壇、残すならどっち?

なんらかの事情で、墓じまいや仏壇の処分が必要になった場合、どちらを残すか、残さないか、などの選択に迫られることもありますが、正解はありません。自分たちの信仰、ライフスタイル、住環境などから判断することになります。

仏壇・お墓の関係性

  • お墓:ご本尊(仏様)を祀るもの
  • お墓:ご先祖様と故人を祀るもの

実家じまいで仏壇どうする?

実家じまいなどで仏壇をそのまま引き継げない場合には、いくつか対処法があります。

  • 仏壇を引っ越す
  • 仏壇を買い替える
  • 仏壇を処分する

いずれの場合でも、仏壇の閉眼供養(魂抜き)を寺院にお願いする必要があります。

仏壇の閉眼供養・開眼供養とは?

仏壇には、ご本尊が祀られていますので、移動の前後、新規購入時、処分時には供養を営みます

開眼供養・閉眼供養とは?

  • 開眼供養(かいげんくよう)〜魂を入れること
    ・開眼供養により、ただの箱が仏壇となります
    ・魂入れ、お性根入れ(おしょうねいれ)等という呼び方も
  • 閉眼供養(へいげんくよう)〜魂を抜くこと
    閉眼供養により、仏壇はただの箱となります
    魂抜き、お性根抜き等という呼び方も

仏壇の移動の前後にも供養を営むのは、ミニチュア寺院である仏壇をただの箱に戻し運びやすくするためです。

浄土真宗の場合は、魂入れや魂抜きという概念が無いため、入仏法要、遷仏法要(せんぶつほうよう)を営みます。

仏壇を引っ越す(移動)なら?

実家でそのまま引き継げない場合には、仏壇を移動させることができます。

仏壇の移動に必要なことは?

  • 移動先の置き場所の確認
  • 移動手段の確保
  • 移動前の閉眼供養(魂抜き)と移動後の開眼供養(魂入れ)

仏壇の移動先での置き場所を確認

何はともあれ、移動先での置き場所の確保が第一です。広さ・高さ・仏壇が傷まない場所が必要です。

仏壇に適した場所は?

  • 直射日光が当たらない
  • エアコンの風が直接あたらない
  • 風通しがよく湿気が少ない
  • 神棚の向かい側には置かない

ご本尊が安置されるミニチュア寺院ですが、方角などの細かい決まり事はありません。神棚と同じ部屋でも問題はありません。

ただし、神棚の向かい側は避けます。これは、どちらかにお参りしている際に、片方におしりを向けることになるからです。

仏壇にも雲切は必要?

仏壇の上に部屋がある場合には、ご本尊を人が踏みつけることのないよう「雲切文字」などを貼ります。

白い半紙等に「雲」「天」「空」等の文字を書いて、仏壇や神棚の上の天井に貼ることで、この上に存在するのは雲だけですよという環境にするのです。地域によっても考え方が異なりますので、菩提寺に確認すると間違いありません。

仏壇の移動手段の確保

仏壇は大きく重さもありますし、丁寧に扱う必要もあるので、専門業者や引越し業者に依頼して移動してもらいます。

移動するのは、僧侶に読経していただき、閉眼供養(魂抜き)をしていただいた後ですす。仏壇のサイズや移動距離、業者、地域によって作業費用がかなり異なるので、数社に見積もりを取るといいでしょう。

業者に依頼する場合でも、位牌とご本尊は自分で運ぶ必要があるかと思います。その際には、風呂敷や袱紗に包み、丁寧に運びましょう。

小さな仏壇であれば、自分で移動することもできますが、その場合でも閉眼供養(魂抜き)は営むのが、基本です。

移動前の閉眼供養(魂抜き)と移動後の開眼供養(魂入れ)

設置場所や業者が決まったら、寺院に相談し移動前の閉眼供養(魂抜き)と、移動後の開眼供養(魂入れ)をお願いしましょう。

お布施は寺院によって異なりますが、魂抜き・魂入れそれぞれお布施が1万円〜5万円程度お車代5千円から1万円(距離に応じて)が多いようです。移動先が離れている場合には、別の寺院の紹介を依頼してみましょう。

仏壇を買い替えるなら?

仏壇をそのまま引き継いだり、移動できない場合には、仏壇を買い替える方法もあります。

仏壇の買い替えに必要なことは?

  • 移動先の置き場所の確認
  • 移動前の閉眼供養(魂抜き)と移動後の開眼供養(魂入れ)

仏壇の買い替えの手順は?

仏壇を買い替える際の手順には決まり事はありませんが、次のような流れであれば無駄なく進められます。

仏壇の買い替えの手順は?

  1. 仏壇を置く場所を決める:仏壇を置ける場所の広さや高さも確認
  2. 新しい仏壇を購入
  3. 今の仏壇・ご本尊・位牌の閉眼供養(魂抜き)を営む
  4. 新しい仏壇・ご本尊・位牌の開眼供養(魂入れ)を営む
  5. 前の仏壇などを処分

仏壇を購入する際には、設置場所のサイズの確認はもちろんですが、今の仏壇のご本尊を安置できるかの確認も必要です。

仏壇を変えたらご本尊も変えるもの?
ご本尊や脇侍(わきじ)は、長年に渡り大切にするものです。仏壇を買い替えたからといって、安置できるスペースがあればご本尊や脇侍まで買い替える必要はありません。

仏壇のサイズを小さくする場合には、ご本尊が入らなくなる可能性があります。その場合にはご本尊や仏具も買い替える必要がでてきます。

最近では、コンパクトサイズの仏壇もたくさんあります。

仏壇の閉眼供養(魂抜き)と開眼供養(魂入れ)

仏壇を買い替える場合でも、閉眼供養(魂抜き)や開眼供養(魂入れ)を営む必要があります。

閉眼供養後は、仏壇はただの箱、ご本尊は像、位牌はただの木に戻りますので、そのまま移動や処分することができます

新しい仏壇が設置されたら、仏壇やご本尊、位牌の開眼供養をすることで供養の対象となります。

仏壇を購入すると、納品時に魂入れをした状態で設置してもらえることもありますが、ご本尊や位牌を移動する場合にはそちらの開眼供養(魂入れ)は必要です。宗派や寺院の考え方によっても異なりますので、手違いがないよう事前に菩提寺に相談しておくことをオススメします。

仏壇を処分するなら?

仏壇を処分する場合でも、仏壇やご本尊などの閉眼供養(魂抜き)をし、供養や信仰の対象からモノに戻して処分します。

仏壇の処分方法は?

  • 仏具屋に処分をお願いする
  • 菩提寺でお焚き上げしてもらう
  • 自治体の粗大ごみとして出す
  • 不用品回収業者に依頼する

仏具屋に処分をお願いする

仏壇の買い替えがあれば、納品(設置時)に処分をお願いできるケースが多いです。

費用はサービスだったり、追加料金が必要だったり、それぞれですので、購入前に確認しておくといいでしょう。

菩提寺でお焚き上げしてもらう

寺院によっては、お焚き上げしてもらうこともできます。

ただ、近年は環境への配慮などから受け入れに制限のある寺院も増えていますので、お願いできるかどうかは寺院次第です。仏壇の移動や買い替え、あるいは供養の相談をする際に、お焚き上げ料も含めて確認しておくといいでしょう。

自治体の粗大ごみとして出す

閉眼供養(魂抜き)をした仏壇、ご本尊、位牌などは、供養や信仰の対象からモノに戻っています。気が引けるかもしれませんが、粗大ゴミなどとして処分しても問題ありません。

位牌などは小さいので、家庭ゴミとして処分できますが、仏壇は大きいと家から運び出すだけでも困難な可能性があります。運び出し可能であれば、一番安く済む方法ではあります。

不用品回収業者に依頼する

不用品回収業者などにお願いすることもできます。

費用はかかりますが、自力で運び出す必要はありませんし、仏具屋や専門業者、寺院へのお焚き上げ料を考えると、安く済む方法です。

仏壇処分後の供養や位牌はどうする?

仏壇を処分した場合の供養や位牌の扱いの考え方です。

仏壇なしなら供養はどうする?

ミニチュア寺院である仏壇はなくても、日々の供養はできます。

故人との関係が近ければ、遺骨の一部を手元におき手元供養することもできますし、香炉・花立て・ローソク立ての3点があれば家でも供養できるとの考え方もあります。

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仏壇なしなら位牌はどうする?

仏壇の移動や処分した場合、位牌は手元に残す方法と処分する方法とあります。

仏壇なしなら位牌は?

  • 位牌のみを残す
  • 位牌は永代供養してもらう
  • 位牌も一切処分する

位牌のみを残す

位牌のみを手元におき供養することもできます。

位牌を動かす(引越し)場合にも、基本的に移動前の閉眼供養、移動後の開眼供養が必要です。位牌が複数ある場合には、まとめることもできます。

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位牌は永代供養してもらう

位牌には、ご先祖様や故人の霊魂が宿ります。自分の家に安置できず、処分することに抵抗がある場合には、菩提寺で位牌の永代供養をしていただくこともできます。

位牌の永代供養は、寺院により対応が異なります。

  • しばらくの間は位牌堂などに位牌を安置し、契約期間が過ぎたらお焚き上げを行う
    ※ 寺院により契約期間もそれぞれですが、33回忌が目処
  • 位牌自体はすぐにお焚き上げを行い、過去帳に戒名を書き連ねて供養する

他にも、月単位や年単位で一時預かり供養を受けている寺院もあります。

菩提寺、墓じまいしている場合には近隣の寺院に相談してみるといいでしょう。

位牌も処分する

位牌は、日常的な参拝や供養の対象ではありますが、閉眼供養(魂抜き)後であれば、ただの木ですから、家庭ゴミとして処分することができます。

あまりにも心無い対応に思えるかもしれませんが、ライフスタイルや住宅事情もありますし、そもそも仏壇や位牌は日常的にお参りする対象です。今まで、家に仏壇がなく、お盆やお正月、お彼岸などにお墓参りをしていたのであれば、今までと何も変わりません。

墓じまいや遺骨の永代供養の手続きは?

墓じまいとは?

墓じまいとは、今あるお墓から遺骨を取り出し、お墓を撤去し、墓地の区画を更地に原状回復し、寺院や霊園に返却することです。言い方を変えれば、お墓の片付けです。

遺骨の埋葬は、「墓地・埋葬に関する法律」で手続きが定められているため、菩提寺や墓地管理者に断りなく他の場所に移すことができません。そのため、さまざまな費用が発生します。

【墓じまいに関わる費用】

  • 閉眼供養のお布施:3〜10万円程度
  • 離檀料:5〜20万円程度
  • 墓の解体・撤去費用
  • 行政手続き費用:合計数千円程度

墓じまい後の新しい納骨先に関わる費用は別途かかります

お墓などへの納骨のほか、寺院や霊園の永代供養墓地や納骨堂、樹木葬や散骨などの自然葬に対応している業者に依頼する方法もあります。いずれにするかで、費用はかなり異なります。

納骨せず自宅供養でも構いませんが、遺骨を廃棄したり、自宅の庭に埋葬することはできません

閉眼供養のお布施

仏壇や位牌同様、お墓から遺骨を取り出し、お墓に宿る故人の魂を抜き取る儀式が、閉眼供養です。この供養を営むことで、お墓はただの石に戻ります。

お墓の閉眼供養では、お布施の相場は3〜10万円程度と言われています。宗教や宗派、菩提寺の考え方、菩提寺と家の関係、地域慣習など、さまざまな要因で異なります。

離檀料

今までのお墓が寺院にある場合、墓じまいをし菩提寺から離れる場合には離檀料がかかります。

離檀料の相場は、5〜20万円程度とも言われていますが、中には100万円以上要求され、トラブルになるケースもあるようです。

離檀料といっても、お布施のひとつです。基本的に、法的根拠はありませんし、寺院からの言い値で決まるものなので、曖昧な部分が多いのも事実です。他の法要などのお布施と比べ高額になるのは、寺院側が今後のお付き合いのことを考えなくてもいいからとも言えるでしょう。

寺院側から高額な離檀料を要求された場合、断ることもできます。ただ、その場合、スムーズに墓じまいできるかは、わかりません。。

お墓を建てる際に、菩提寺と交わす「墓地使用許可証」などの契約書に、離檀料が明記されている場合には、契約として成立しているため注意が必要です。

離檀料がかからない方法は?
墓じまいはしても、菩提寺の永代供養墓や納骨堂に納骨する場合には、離檀料はかかりません。ただし、納骨堂では年間の管理費、永代供養墓では永代供養料を納める必要があります。

墓の解体・撤去費用

墓じまいする場合には、お墓を建てるために借りていた場所(墓地)を、更地にして菩提寺に返却する必要があります。

墓地の広さや、墓石や石碑の大きさ、数量といった墓石や墓地の規模によっても費用は異なりますが、1平方メートルあたり5〜10万円程度が目安です。墓地やその周辺が狭く、重機が入れないような場合には、さらに費用がかかります。

撤去解体なので自力でなんとか、、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際厳しいでしょう。撤去するには人力だけでは困難ですし、基本的には産業廃棄物として廃棄するようになります。費用はかかりますが、潔く石材店に依頼する方が無難です。

寺院などの指定石材店があれば、そちらに依頼するしかありませんが、指定がなければ複数の石材店から見積もりをとり、費用を比較してみるといいでしょう。

行政手続き費用

墓じまいには、行政手続きも必要です。発行元により金額が異なりますが、いずれも1通あたり数百〜1,500円と少額の費用です。

墓じまいに必要な主な書類

  • 埋蔵証明書(埋葬証明書)…今のお墓の管理者から取得
  • 受入証明書…新しい納骨先から取得
  • 改葬許可証…埋蔵証明書と受入証明書を提出の上、自治体から取得

自分で手続きをするのが困難な場合には、行政書士等に依頼することができます。依頼内容にもよりますが、数万円〜十数万円程度かかります。

永代使用料とは?

お墓を建てる際には、「永代使用料」を払いますが、これは墓地の賃借料です。

墓地の区画を購入しているわけではなく、後継がいれば、その家で代々その墓地の区画を使用できるという、永代使用権を得るための費用なのです。その証として、寺院や墓地の管理事務所などから「永代使用承諾書」といった使用許可証が発行されます。

墓じまいをしたら、今後はお墓を使わないわけですから、お墓の区画使用権を管理者(所有者)にお返ししなければなりません。

お墓の管理費を払わないとどうなる?
お墓をそのままにし、管理費等を払わず放置することもできますが、長い間管理費の支払いをしない(管理費の時効は5年)場合、お墓は無縁墓として墓地の管理者に撤去・処分されることがあります。遺骨は、墓地内の永代供養の合祀墓や公営の無縁塚に埋葬されるのが一般的です。

墓じまいには、手間も時間も費用もかかります。信仰や考え方次第では、今後放置されるお墓は激増しそうですね。。

墓じまいで取り出した遺骨の扱いは?

墓じまいで取り出したご先祖様の遺骨の供養方法はさまざまです。

【遺骨の供養方法】

  • 改葬
    ・新しくお墓を建て、お墓のお引越しをする
    ・納骨堂に納める
    ・樹木葬や散骨などの自然葬
    ・永代供養
  • 自宅供養、手元供養 など

改葬とは?

改葬とは墓地・霊園等にに納めた遺骨を、他の墓地・霊園等に移すことです。移す先は、お墓に限らず、納骨堂、寺院や霊園の永代供養墓地、樹木葬や散骨などの自然葬も含まれます。

遺骨の埋葬は、「墓地・埋葬に関する法律」で手続きが定められているため、菩提寺や墓地管理者に断りなく他の場所に移す(改葬する)ことができません。そのため、さまざまな手続きや費用が発生します。詳細は、後述しています。

新しくお墓を建て、お墓のお引越しをする

元のお墓を墓じまいして、新しい/別のお墓にお引越しすることができます。

その際には、閉眼供養(遺骨の移動前)と開眼供養(移動後)のほかに、移転先の墓地や霊園で契約し「永代使用料」や管理費等が発生します。新しくお墓を建立する場合には、墓石購入や建立費用もかかります。

「お墓を移すのはよくない」という噂もあるようですが、仏教ではお墓を移すとバチがあたるいうような考え方はありませんので、ご安心ください。
閉眼供養で魂を抜いたお墓は、ただの石に戻るのです。
故人の魂は、供養によって納まるところに納まっているのですから、心配は不要です。

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納骨堂に納める

寺院や霊園などには、「納骨堂」もあります。その名の通り、遺骨を納める場所のことです。墓地の区画にお墓を建てるのではなく、屋内のスペースに骨壷をそのまま安置することができます。

形式もさまざまで、ロッカー形式や、上段下段のある納骨壇(位牌や遺骨をおけます)、納骨堂の中に墓石を置く室内墓所などがあります。1人用から家族用などもあります。

永代使用料の他に年間管理費等がかかります。永代供養料、開眼供養、納骨費用、位牌などの費用が含まれることもありますし、それぞれ別途かかる場合もあり、費用には幅があります。

樹木葬や散骨などの自然葬

樹木葬などの埋葬や、散骨などもあります。法に則った手続きが必要ですので、自宅や思い出の場所に自由に埋葬したり散骨できるわけではありません

お墓がないので、今後の管理費などが発生せず、お墓参りも不要になるため近年増えつつある供養方法です。

ただ、一度自然葬をすると取り替えしがつきません。遺族の中に寂しさを感じたり、迷いがあるような場合には、急いで結論を出さない方がいいでしょう。

永代供養

永代供養とは、ご先祖様の遺骨を菩提寺や公営霊園などの永代供養墓地などに納骨し、永代に渡り供養を寺院や霊園に任せることです。お墓の後継者や墓守の心配や、無縁仏になるリスクがありません

家のお墓であれば、寺院や霊園等に年間管理料は支払いますが、実際には自分たちで管理します。

永代供養では、「永代供養料」として1遺骨あたり5万円~30万円程度契約時に支払います。その後全く費用がかからないこともありますし、年間管理料が数千円〜2万円程度かかることもあります。

年間管理料が発生する場合、期間が限られている、契約者の存命中のみかかる、遺骨を個別安置する場合のみかかるなど、お墓の種類や墓地、霊園によって異なります。

大きなお墓の下に血縁関係のない複数の遺骨をまとめて埋葬する「合祀墓(ごうしぼ)」(合同墓、共同墓、合葬墓などとも言います)の場合には、開眼供養はありませんが、個別の納骨スペースがあったり、寺院内の位牌堂に位牌を安置する場合などには、開眼法要を執り行います。

自宅供養・手元供養

遺骨を定められた手続きを取らずに、埋葬したり散骨するのは違法ですが、自宅に安置する分には法に触れません自宅供養手元供養と呼ばれる供養方法もあります。

ただ、自宅供養する場合には、遺骨の保管方法にも配慮が必要ですし、管理している方がなんらかの事情で管理できなくなったり、亡くなった場合には、遺された側が困ることにもなりかねません。一時的なものと考える方がいいかもしれませんね。

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墓じまいの手続きは?

墓じまいをするには、行政手続きやお墓のある寺院・霊園等での手続きが必要です。

寺院や霊園に墓じまいの相談をする

墓じまいするにも、今お墓のある寺院や霊園の永代供養墓地に移すにも、別の墓地へ引越しするにも、寺院や霊園の許可が必要になります。今後の納骨場所や供養方法、費用などを含めて検討し、確認する必要がありますので、まずは相談してみましょう。

ご先祖様のお墓ですから、後のトラブル予防のためにも、自分たち夫婦や家族だけでなく、兄弟姉妹や親族にも事前に理解を得る必要があります。話が進む前に、早めに相談することをオススメします。

納骨された遺骨から、一部の故人の遺骨のみ取り出す、骨壷から一部の遺骨だけ取り出す(分骨)し、残りはお墓に残す場合には墓じまいは不要です。

改葬許可を申請する

改葬許可申請は、今あるお墓の市町村役場に申請します。

改葬とは墓地・霊園等にに納めた遺骨を、他の墓地・霊園等に移すことです。移す先は、お墓に限らず、納骨堂、寺院や霊園の永代供養墓地、樹木葬や散骨などの自然葬も含まれます。

【改葬許可証のもらい方は?】

  1. 改葬許可申請書 〜 今のお墓のある役所・役場から(ダウンロード可)
    現在納骨されている故人の情報や、改葬する理由などを必要事項を記入
    お墓のある寺院や霊園などからも記名押印してもらう
  2. 埋葬証明書(遺骨埋葬証明書、納骨の事実を証する証明書等)
    ・お墓のある寺院や霊園等が発行
    ・遺骨がお墓に納骨されていることを証明する書類
    ※ 地域によっては、改葬許可申請書の書式に含まれることもあります
  3. 使用許可書(受入証明書等)をもらいます
    ・今後納骨等をする寺院や霊園等で発行
  4. 申請
    ・今のお墓の市区町村役場に改葬許可申請書使用許可証等を提出
    ※ 改葬許可申請には、申請者の身分証明書、代理人であれば委任状も必要です
    ※ 遺骨と申請者の関係確認のために、戸籍謄本などが必要な場合もあります
  5. 改葬許可証の発行

遺骨が古く詳細がわからない、現在のお墓が墓地管理者のいない「地域墓」などの場合には、他の書類が必要な場合もあります。申請前に、自治体担当者に確認し、適切な書類を準備しましょう。

閉眼供養(魂抜き)

お墓から遺骨を取り出し、お墓の閉眼供養を執り行います。

閉眼供養を営み、お墓からご先祖様や故人の魂を抜くことで、お墓がただの石に戻ります。

お墓の解体・撤去

石材店にお墓の解体と撤去をしてもらい、墓地を更地に戻し、墓地の管理者(寺院や霊園等)に墓地の区画を返却します。

永代供養を営む(必要に応じて)

永代供養をお願いする寺院や霊園に、遺骨と改葬許可証を持参し、納骨の手続き納骨法要、開眼法要を営みます。

*****

生活スタイルや、家族の在り方が変わりつつある現代では、墓じまいを検討したり、墓じまいをする必要に迫られることも増えつつあります。それなりの手間と費用はかかりますが、難しいことではありません。必要性を感じたら、早めに検討し対応しておくことをオススメします。

実家の事例

参考までに。。

私の実家でも、数年前に墓じまいをしました。

墓じまいする際に、菩提寺で永代供養をお願いするか、離檀料を払い他の永代供養墓地で改葬するか、悩みました。菩提寺には、墓地の中に大きい合祀墓があり、その中に永代供養のスペースがあります。永代供養料を支払うと、その中の一角を与えられ安置されます。

この永代供養料が、1霊当たり30万円とのこと。実家の場合は、合わせて6霊でした。

30万円×6霊=180万円

驚きです。。。

総費用が高額になる場合には、別の永代供養墓地を場所を探す予定でしたが、幸い住職さんが良心的な方(母曰く)だったようで、33回忌まで営んだご先祖様の分は一霊3万円に。年忌法要をまじめに営むと、値引きされるということなのでしょうか??

それで、安心した母は、菩提寺にお任せし永代供養していただきました。菩提寺の永代供養墓地に納めるため、今回離檀料は発生しませんでした。実際には、菩提寺から「一式95万円」との提示でしたので、閉眼供養が20万程度、法要1回程度のお布施ということのようです。

【実家の墓じまい費用】 
費用総額 〜 一式95万円
・永代供養料:3万円×4霊+30万円×2霊=72万円
・閉眼供養
※ 離檀料なし
※ 墓の解体・撤去費用別途

なんやかんやと、一式で150万ほどでした。

仏壇や位牌処分、墓じまい時の注意点

仏壇や位牌の処分や、墓じまいをすると元に戻すことはできません

自分だけであれば構いませんが、自分の兄弟姉妹や親戚(特に親の兄弟姉妹など)にも、相談するか、事前に報告しておくことが大切です。

閉眼供養(魂抜き)をすればモノに戻りますので、処分してもバチ当たりではありませんが、信仰や考え方によっては、言いがかりや不要なトラブルの原因となります。

実家の片付けは社会問題として広く知られるようになりましたが、お墓や仏壇の場合、信仰や先祖供養にも関わりますので、もう少し話も複雑になります。

残せるものであれば、残した方がいいのでしょうが、ライフスタイルによっては現実的ではないことも多々あります。

選択肢はいくつかありますので、周りとも相談しながら、ご自身にとって物理的にも精神的にも負担のない方法を選ばれることを願っています。

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この記事を書いた人

アラカン夫婦の備忘録

これからの人生をより心豊かに、より穏やかに生き抜くため知恵や情報をツラツラ綴っています

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